UC0080.08.04ジオン突撃宇宙軍極東主要都市降下作戦

架空戦記

一年戦争の長期化により、地球各地の旧国家軍は、連邦軍の指揮下で再編されつつも、それぞれの地域防衛任務を継続していた。

極東地域において、その中心となったのが自衛隊である。

戦争初期、自衛隊は通常兵器による対MS戦闘に苦戦を強いられたが、連邦軍から供与されたRGM系モビルスーツと、国内防衛用に改修された陸戦装備の導入により、UC0080年時点では限定的ながら独自のMS部隊を保有していた。

正式には連邦軍極東方面軍の指揮下に置かれていたが、実際の運用は日本列島防衛に特化しており、都市部、港湾部、山間部、沿岸防衛を想定した訓練が進められていた。

配備されていた主力は、RGM-79系ジムをベースにした陸上自衛隊仕様機である。

機体は市街地防衛向けにセンサー類と通信装備を強化され、カラーリングは白やブルーではなく、陸自迷彩または低視認性のグレーグリーン系に変更されていた。武装もビーム兵器だけに依存せず、90mmマシンガン、180mmキャノン、対MSバズーカ、携行式ミサイル、シールド、近接戦闘用装備を組み合わせた実戦的なものだった。

UC0080年8月4日未明。

ジオン突撃宇宙軍のチベ級・ムサイ級艦隊から、極東主要都市へ向けてMS降下部隊が投入された。

東京、横浜、横須賀、名古屋、大阪、神戸、呉、佐世保、福岡、沖縄方面に降下してきたのは、MS-06FZザクⅡ改降下作戦仕様、MS-18Eケンプファー極東降下制圧戦仕様、MS-09系重MS、そして水陸両用MS部隊であった。

ジオン軍の狙いは、極東の都市機能と軍事拠点を同時に叩き、連邦軍の太平洋方面作戦能力を麻痺させることにあった。

しかし、極東の空に降下してきたジオンMSを迎え撃ったのは、連邦軍だけではなかった。

自衛隊MS部隊である。

東京方面では、スカイツリー周辺、隅田川流域、湾岸部、高速道路網に自衛隊MS部隊が展開した。陸自仕様のジム部隊は、市街地を熟知した地上管制と連携し、橋梁、高架道路、河川敷、ビル街の死角を利用してジオンMSを迎撃した。

ケンプファー部隊は降下直後、圧倒的な火力と機動力で自衛隊の前線を突破した。

ジャイアント・バズが道路を吹き飛ばし、ショットガンが陣地を粉砕し、シュツルム・ファウストが高架下の防衛拠点を破壊した。MS-18Eの突進力は凄まじく、通常の防衛線で止められる相手ではなかった。

だが、自衛隊MS部隊は正面から押し返そうとはしなかった。

彼らは都市防衛戦を選んだ。

進路を誘導し、橋を落とし、高架道路を遮断し、射線の通る交差点へ敵を引き込む。MS単体の性能ではジオン側が優勢でも、地形と管制、砲兵、対MSミサイル、航空支援を組み合わせた防衛戦では、自衛隊側に地の利があった。

横須賀方面では、海上自衛隊系のMS運用部隊と連邦軍艦艇が連携し、港湾部に降下したジオン部隊を迎撃した。ザクⅡ改や水陸両用MSはドックと補給施設の破壊を狙ったが、岸壁背後に配置されたジム系MS、対MS砲、艦艇火力によって進撃を阻まれた。

名古屋・大阪・神戸では、工業地帯と港湾部が戦場となった。ジオン軍は輸送網と生産施設の破壊を狙ったが、自衛隊MS部隊は工場地帯の広い道路、倉庫群、港湾クレーンを遮蔽物として利用し、局地戦を展開した。

呉、佐世保、沖縄では、防衛戦はさらに激しかった。

これらの拠点は、連邦軍太平洋方面の海上戦力維持に直結していたため、自衛隊と連邦軍の混成部隊が重点的に配備されていた。降下したジオン部隊は強襲には成功したものの、直後から多層的な迎撃を受け、港湾部で足止めされた。

この戦闘において、自衛隊MS部隊はジオン軍のMSと比べて、必ずしも機体性能で上回っていたわけではない。

ケンプファーの瞬間火力。
ザクⅡ改の実戦経験。
ドム系MSの地上機動力。
水陸両用MSの沿岸突破力。

それらは、いずれも脅威であった。

しかし、自衛隊MS部隊には別の強みがあった。

自国の地形を知っていること。
都市交通網を把握していること。
民間避難と戦闘区域分離を同時に行えること。
戦車、ヘリ、砲兵、対MS火器との連携を前提に訓練されていたこと。

彼らはジオンMSを撃破するためだけに戦ったのではない。都市を完全に奪わせないために戦った。

東京スカイツリー周辺では、ケンプファー部隊と陸自MS部隊の激しい市街戦が発生した。ジオン側は短時間で防衛線を切り裂いたが、補給を受けられないまま戦闘が長引き、弾薬を消耗していった。

一方、自衛隊MS部隊は損害を受けながらも後退と再配置を繰り返し、連邦軍増援が到着するまで戦線を維持した。

結果として、ジオン軍は極東各都市に大きな被害を与えたものの、主要拠点の完全制圧には失敗した。

この戦闘は、ジオン軍にとっては地球反攻作戦の一環であり、自衛隊にとっては本土防衛戦であった。

連邦軍の戦争でありながら、極東の地上で実際にジオンMSを迎え撃ったのは、自衛隊MS部隊だった。

UC0080.08.04。
ジオン突撃宇宙軍、極東主要都市降下作戦。

それは、ジオンが地球へ再び突き立てた刃であり、同時に、自衛隊MS部隊が初めて大規模な本土防衛戦を戦った日でもあった。

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