一年戦争後期、ジオン地上軍の一部部隊が、旧式化したMS-05系を前線で強襲任務用に再改修した現地改修機。
本機は、後年のMS-18Eケンプファーに通じる「高機動で敵陣へ突入し、短時間で火力を集中投射して離脱する」という運用思想を、旧ザクの機体構造で無理やり実現しようとした実験的な陸戦機である。
ベースとなったMS-05は、本来ザクⅡ以前の旧式機であり、出力・装甲・運動性のすべてで後発機に劣っていた。しかし、地上戦線では補給不足と機体損耗が深刻化しており、旧式機であっても改修して投入せざるを得ない状況が続いていた。
MS-05ASは、そうした前線事情の中で、基地防衛や市街地奇襲、敵補給部隊への急襲を目的として改修された機体である。

最大の特徴は、機体各部に追加された推進補助装置と、強襲用の重武装である。
脚部には陸上機動用の補助スラスターと大型ショックアブソーバーが追加され、短距離の跳躍、瓦礫地帯での急制動、低姿勢での突撃が可能となった。肩部・腰部にも姿勢制御用の小型スラスターが増設されており、通常の旧ザクよりも遥かに荒々しい機動を見せた。
一方で、機体フレームそのものは旧式であるため、長時間の高機動戦には耐えられない。装甲も全面的に強化されたわけではなく、胸部、肩部、脚部正面など、突撃時に被弾しやすい箇所へ局所的に増加装甲を追加するに留まっている。
武装は、近距離での瞬間火力を重視した構成となっている。

両腕または腰部には大型シュツルム・ファウスト、ジャイアント・バズ、ショットガン系火器、予備弾倉ラックなどを装備。接近後に一斉射撃を行い、敵MSや装甲車両、陣地を短時間で制圧することを想定していた。
背部ランドセルは旧ザク用のものから大きく手が加えられ、燃料タンク、冷却ユニット、簡易推進器が外付けされている。配管や動力パイプは露出しており、整備性は高いが防御性は低い。いかにも前線基地で急造された現地改修機らしい、無骨で危うい外観となっている。
頭部は旧ザクの特徴を残しつつ、強襲時の目標捕捉を補助するため、モノアイ周辺に簡易照準センサーと防塵カバーが追加された。市街地や砂塵の多い戦場での運用を意識し、吸気口や関節部には防塵処理も施されている。
本機の戦術は単純である。
遮蔽物を利用して敵に接近し、短距離で火力を叩き込み、反撃を受ける前に離脱する。正面から撃ち合う機体ではなく、待ち伏せ、側面攻撃、夜間襲撃、市街地突入などで真価を発揮する。
ただし、旧ザクをベースにした無理な高機動化は各部に大きな負担をかけた。特に脚部関節、背部推進系、冷却系の故障が多く、帰還後に大規模な整備を必要とすることも珍しくなかった。
そのため、MS-05ASは量産機というよりも、熟練パイロットと整備班が一体となって運用する「前線部隊の一点物」に近い存在だった。
外観は、旧ザクの簡素で無骨なシルエットを残しながら、各部に追加装甲、外付けスラスター、予備弾倉、配管、武装ラックを盛り込んだ姿となる。旧式機に強引な近代化改修を施したことで、完成された兵器というより、戦場の必要に迫られて生まれた急造強襲機という印象が強い。
MS-05AS 現地改修強襲陸戦機は、ジオン地上軍末期の窮状と、現場の執念を象徴する機体である。
最新鋭機ではない。
高性能機でもない。
だが、限られた戦力で敵陣を突破するために、旧式の機体へ過剰な火力と機動力を与えた、極めて攻撃的な現地改修機だった。


