オデッサ鉱山攻防戦における連邦軍の敗北は、地球連邦軍に大きな教訓を残した。従来のジム系MSと陸上戦艦を中心とした正面突破戦術では、ジオン公国軍が投入した重陸戦モビルアーマー群に対抗しきれなかったのである。特に、ヒルドルブ先行量産型による長距離砲撃、ビグラング級陸戦艇による広域索敵、ビグザム級陸戦艇による重火力防衛網は、連邦軍の進撃速度を完全に奪った。

この反省から連邦軍が開発したのが、RGZ-91 リ・ガズィ量産型〈ジムヘッド〉である。
本機は、可変機構を備えた量産型MSとして設計され、オデッサ再攻略作戦における高速突破・砲撃誘導・対重MA攻撃を主任務とした。頭部は量産性と整備性を重視し、既存のジム系センサーユニットを発展させた簡易型ヘッドを採用。そのため、原型機に比べて高級機然とした印象は薄いが、前線整備部隊からは「ジムの延長で扱える可変機」として高く評価された。

最大の特徴は、バック・ウェポン・システムを簡略化した大気圏内用飛行ユニットである。これにより、本機は短時間ながら航空機的な高速侵攻が可能となり、ジオン軍の砲撃陣地や鉱山防衛線を上空から突破できた。モビルスーツ形態ではビームライフル、シールド、腕部グレネードを用いた標準的な白兵戦に対応し、ウェイブライダー形態では対地ミサイルと大型ビーム砲によって、ヒルドルブやダブデ級改修車体を上面装甲から攻撃する。

ジムヘッド仕様とされた理由は明確である。オデッサ再攻略には少数の高級機ではなく、一定数を揃えられる高速可変MSが必要だった。高性能な専用頭部や複雑なセンサー系を廃し、ジム系列の部品と教育体系を流用することで、パイロット転換と補給整備の負担を抑えたのである。
運用上は、単独で敵重MAを撃破する機体ではなく、ジムIII、ネモ、量産型ガンキャノン部隊と連携する突破指揮機として扱われた。リ・ガズィ量産型が上空から敵陣を攪乱し、砲撃座標を送信。後続の地上部隊がその隙に前進することで、かつてオデッサで連邦軍を苦しめたジオン重陸戦MA群の防衛網を切り崩すことを狙った。

一年戦争が長期化した世界において、本機は「ガンダムの量産型」ではなく、ジム系MSが可変機へ進化した戦場適応型量産機であった。オデッサを再び奪還するために生まれた、連邦軍の反攻意思そのものを象徴する機体である。


