EMS-04ヅダ陸戦試験運用機

ジオン系

MS-06系の量産化以前、ツィマッド社が高機動試作機「ヅダ」を地上戦へ転用する目的で製作した陸上運用試験型。

原型機のヅダは宇宙空間での加速性能を重視した機体であり、軽量な脚部と大推力スラスターを特徴としていた。しかし地上運用では、その細身の脚部が不整地での接地安定性を欠き、射撃姿勢や長距離行軍時の負担が問題となった。そこで本試験型では、脚部装甲を大幅に大型化し、膝下から足首にかけてザク系に近い重装甲構造へ改修。足裏の接地面積も拡大され、泥濘地や荒地での踏破性を高めている。

カラーリングは、地上部隊で運用されるザク系MSとの共通性を意識したグリーン系に変更された。オリーブドラブを基調に、濃緑とグレーを組み合わせた実戦的な塗装が施されており、原型機の実験機然とした淡青色の印象はほとんど残っていない。機体各部には試験番号「603」と陸上運用試験を示すマーキングが残され、あくまで制式量産機ではなく評価機であったことを示している。

背部の大型推進器はそのまま残されているが、地上では主推進装置というより、短距離跳躍や姿勢制御、斜面突破時の補助ブースターとして使用された。宇宙用の過剰な推力は地上では扱いにくく、運用テストでは加速時の機体負荷、脚部フレームへの衝撃、着地時の安定性が重点的に検証された。

武装はザク・マシンガン系の実体弾火器とヒートホークを中心とし、右腕には携行火器、左背面にはシールドを装備。高機動試作機としての性格を残しつつも、地上戦での継戦能力と整備性を確認するため、実戦部隊に近い装備構成が採用された。

結果として、本機はヅダ本来の鋭い高機動性をある程度失った一方、地上用MSとしての安定性は大きく向上した。しかし構造の複雑さと推進系の扱いにくさは完全には解消されず、制式採用には至らなかった。

それでも本機で得られた脚部強化、重量バランス調整、地上用スラスター制御のデータは、のちの局地戦用MS開発に少なからぬ影響を与えたとされる。

MS-603T ヅダ陸上運用試験型。

それは、宇宙を駆けるために生まれた試作機が、重い脚で大地を踏みしめた、もうひとつの可能性である。

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