冬が旬の海産高級食材、ナマコ!
日本人にとって馴染み深い海産高級食材の1つ「ナマコ」。予め切って味付けされているものを買う機会はあれど、ナマコを丸ごと一匹捌いた経験は無い…という方も多くいらっしゃるこではないでしょうか?そこで今回は実際に用意したなまこを使用し、その捌き方や洗い方、食べ方をご紹介していきたいと思います。また、よく見かける「赤ナマコ」と「青ナマコ」違いについても詳しくご説明していきます。
その他、なまこの歴史や栄養価等についても詳しくご紹介。ウニやヒトデの仲間であるナマコ…高級食材で味も絶品だというのはわかりますが、なかなか手が出しづらい見た目をしていますね。その外見から、食わず嫌いの方も多いのではないでしょうか?自ら一度捌いてみれば、その抵抗も無くなるかもしれませんよ?皆様も是非一度ご賞味あれ。
※本記事は所属選手による実際の食レポです。
「ナマコ」とは?
ウニやヒトデの仲間。赤・青・黒で食感や値段、食べ方が異なる
不気味すぎる海産高級食材
「ナマコ」とは、棘皮動物門・ナマコ綱に属する生物の総称です。食材の「ナマコ」と言えば一般的には、食用として一番多く流通しているマナマコ目のナマコ、「赤ナマコ」、「青ナマコ」、「黒ナマコ」を指し示します。近縁種であるこの3種はその体色がそのまま通り名として使われており、それぞれ味や食感、値段が異なります。
「赤ナマコ」は主に外洋の岩礁や礫底に生息しており、一般的には青ナマコよりも食感が強く美味であるとされ、高値で取引きされています。
「青ナマコ」は主に内湾の砂・泥底に生息しており、赤ナマコより比較的安値で取引きされています。この青ナマコよりも体色が黒っぽいものを「黒ナマコ」と呼んだりしますが、具体的に別種であるかどうかは定かではありません(赤ナマコと青ナマコは別種だとされています)。また黒ナマコに関してはそのまま食べるということは少なく、その多くは乾燥させて中華料理に使用するようです。乾燥させた黒ナマコは「黒いダイヤ」と呼ばれる高級食材になるのだとか…。ちなみに、高級な赤ナマコの内臓は日本三大珍味の1つ「コノワタ」になります。
ナマコはウニやヒトデなどと同様、棘皮動物と呼ばれる動物の仲間になります。棘皮動物の大きな特徴としては、その全てが海産だということ。真水(淡水)で生活している棘皮動物は、これまで確認されていません。不思議ですね。また彼らは体に水管系と呼ばれる器官を有しており、これにより運動や呼吸、排出を行なっています。海水をそのまま体に通す管のようなものだと考えて下さい。彼らはこの水管系内の水を利用して、管足と呼ばれる吸盤のついた足を自由自在に動かしています。逆に言えば、体に海水を取り込む事ができなければ、足を動かすことが出来ないのです。ナマコだけでなくウニやヒトデも、この細い透明な足を持っています。体の形状こそ違えど、同じ特徴を兼ね備えているわけです。
「ナマコ」の栄養価とその歴史
栄養豊富な海の朝鮮人参!?日本三大珍味のコノワタとは
冬場、市場に多く出回るナマコ。お正月シーズンに食べるというご家庭も少なくないのではないでしょうか?このナマコは90%近くが水分であるとされていますが、以外にも多くの栄養素を含有しています。ビタミンB・Eなどといったビタミン群をはじめ、鉄、亜鉛、タウリン、コラーゲンなども豊富に含まれています。またこのナマコには、「サポニン」も豊富に含まれています。サポニンは滋養強壮作用や抗酸化作用、血流改善などに効果的だとされており、漢方である朝鮮人参に多く含まれている栄養素としても有名ですね。そのためナマコは、「海の朝鮮人参」とも呼ばれているそうです。
滋養強壮や免疫力向上に最適な海の「朝鮮人参」
<ナマコの食文化は非常に古く、その起源は平安時代以前に遡ると言われています。日本最古の歴史書である「古事記」にも、「海鼠(コ)」という名で実際に登場しています。生のコ…ナマコ!これが名前の由来だとされています。縁起物としても扱われていナマコは当時からその高い薬膳効果が注目されており、漢方として使用されたり、また中国へも頻繁に輸出されていました。
ちなみに、ナマコの内臓の塩辛は「コノワタ」と呼ばれています。名前の由来はそのまんま、「コ(ナマコ)」の「ワタ(腸)」からきています。コノワタは「ウニ」や「カラスミ(ボラの卵巣)」に並ぶ日本三大珍味の1つとしても有名であり、かつては徳川幕府にも献上された由緒正しい日本固有の珍味です。
「ナマコ」料理の実食レポート
やっぱり酢の物が一番!?その詳しい捌き方・洗い方・食べ方について
さてそれでは実際に、入手したナマコ(丸ごと)を捌いて、酢の物にして食べていきたいと思います。スーパーで見かけることはあっても、その調理方法がわからない…という方も多いのではないでしょうか?丸ごと買って自身で捌いた方が間違いなく安上がりです!是非チャレンジしてみて下さい。
排泄腔は真横についている
まずはじめに、口と排泄腔を切り捨てていきます。簡単に言えば、両端を切るということです。ちなみに、ナマコの口は海底の泥や砂を濾しとって食べやすいように体の下側についていますが、排泄腔は真っ直ぐ真横についています。どちらにせよ、両端を切ってしまえばおのずと口と排泄腔の両方を取り除くことができるのです。
口は真下についている
続いて、包丁で縦真っ二つに切ります。切ったあとは中を綺麗に水洗いして、内臓を取り除きましょう。この時、腸をコノワタにして食べたい場合は捨てずにとっておきましょう。しかしコノワタは人によって得意不得意が大きく別れます…。良く言うのなら磯の香りが強い。悪く言えばかなり生臭い。さすがは日本三大珍味。
続いて切った身に塩を多めにかけ、コロコロ転がしながらヌメリをとっていきましょう。思っているより沢山のヌメリが出るでしょうが、問題はありません。そのうち身が溶けて無くなるのでは…?というくらいヌメリが出ます。あらかた出せたら、水で綺麗に洗っていきましょう。
塩をふってもみ込み、コロコロ転がす
下拵えした後のナマコは一回り小さくなる
塩揉みした後のナマコを、お好きな厚さにスライスしていきましょう。ナマコは歯応えが非常に強いため、多少薄く切ったとしても食感と存在感は十分!
ヌメリがまだ気になる場合は、切った状態でもう一度塩揉み・流水して下さい。
ポン酢に浸し、大根おろしやネギなどの薬味を添えれば完成です!もみじおろしやレモン汁などを加えても良いですね。
気になるそのお味は?
身にクセは無いけれど、コリコリとした食感はクセになる!
それでは実際に食べてみます。果たして、市販の切ってあるナマコと何か違いはあるのか…?今回使用した薬味は大根おろしにネギ、またレモン汁を少々かけています。
味自体にクセは無く、食感はコリコリ!
では一口…うん、凄くコリコリしている!そして何より身自体にクセがありません。「貝類は磯の臭いからちょっと…」という方にもおすすめです。見た目はあれですが、貝類がダメだと言う方にも食べやすい味をしています。またポン酢やレモン汁等の、酸味が強めな調味料との相性が抜群です。
やや癖がある?しかしコリコリとしてとてもいい味
ナマコは生息域によって味や食感が異なってくると言われています。個体によっては若干磯の香りが強かったりするのでしょうか?必ずしも「赤ナマコは〇〇!」、「青ナマコは〇〇!」というわけではないようです。
皆様も是非一度ご賞味あれ!