中国の伝統的な卵料理「ピータン」
中国の伝統的な卵料理である「ピータン(亀皮蛋)」。アヒルの卵を発酵させて作った料理であるこのピータンは、中華料理の前菜としても有名ですね。
寒天状の茶色い白身に、緑黄色になった黄身、そして独特なアンモニア臭…万人受けする食品とは言えないかもしれませんが、その下ごしらえや調理法によっては驚くほど食べやすくなります。今回は、入手したピータンをなるべく食べやすい形にして実際に食していきたいと思います。
その他、ピータンの歴史や栄養価等についても詳しくご紹介。ピータンは一体どうやって作られているのか。そしてどのような経緯で食べられるようになったのか…有名な中華料理の1つである「ピータン」。是非一度ご賞味あれ。
※本記事は所属選手の実際の食レポです。
「ピータン」とは?
アヒルの卵を木炭・石灰・泥・茶葉・塩などに漬け発酵させた、中国の伝統料理
強いアルカリ性が卵を変化させたもの
「ピータン(皮蛋)」とは、アヒルの卵に木炭・石灰・泥・茶葉・塩などを塗り付け発酵させた、中国の伝統的な卵料理です。塗り付けられるこれらの物には強いアルカリ成分が含まれており、それが卵の内部にまで浸透してタンパク質を変化させた結果、このような寒天状・ゼリー状の卵になります。
ピータンには鶏卵やウズラの卵を用いる場合もありますが、基本的にはアヒルの卵が使用されています。
アヒルはマガモが品種改良されたもの
「アヒル」とは、カモ目・カモ科・マガモ属に属するマガモを品種改良した家畜(家禽)の一種です。そのため、生物学的にはマガモと同種の生物であると言えます。ちなみに、このアヒルと原種マガモを交配させたものが、アイガモとなります。
アヒルは食用・観賞用として世界中で広く飼育されておりその、その身はもちろんのこと、卵も食用にされています。しかしこの卵は生で食べることはできず、発酵させたり(ピータン)、孵化直前のものを茹でたり(バロット)、もしくはそのまま塩茹でしたりなど、加熱して食されることがほとんどとなります。
「ピータン」の栄養価とその歴史
そのはじまりは偶然の発見から!?ビタミン・鉄分・ルテインなどの注目成分が豊富
ピータンには、免疫機能を高めるビタミンAやカルシウムの吸収を促進させるビタミンDなどに加え、血液中にあるヘモグロビンの主成分となる鉄分も豊富に含まれています。
またこのピータンには、目を守る成分として有名なルテインの他、認知症・動脈硬化・脂肪肝の防止や美肌効果などが期待できるレシチンも多く含有されています。なお、アヒルの卵の栄養価は発酵してピータンになる間に高まるようです。卵に塗り付けた木炭や石灰などの影響であるとされています。
発酵することにより、その栄養価はさらに向上!
ピータンの歴史は古く、そのはじまりは明時代にまで遡ると言われています。灰に埋もれていたアヒルの卵を試しに食べてみると、意外にも美味しかった…そんな逸話が発祥だとのこと。とても信じられませんが、このような偶然が産んだ食物は世界中に存在しています。
ピータンは、アヒルの卵の表面に木炭・石灰・泥・茶葉・塩などを混ぜ合わせたものを塗り付け、もみ殻をまぶし、カメで2カ月程発酵することにより完成します。
卵(白身)の表面にうまみ成分であるアミノ酸が結晶化したものが高級品とされており、この結晶が松の模様に見える事から、「松花蛋」とも呼ばれているそうです。
「ピータン」料理の実食レポート
切って放置し臭いを飛ばす!まわりの泥はしっかり洗って食べること
さてそれでは実際に、ピータンーを調理していきたいと思います。しかしいざを目の前にすると…本当に食べられるものなのか疑いたくなりますね。完全に見た目は乾いた泥団子。ではまず、この表面の泥を落としていきましょう(予め泥が取り除いてある商品も多く存在します)。
見た目はもみ殻をまとった泥団子
これがなかなかしっかりと卵にコーティングされており、洗いきるのに若干時間がかかりました。泥に含まれている茶葉の良い香りがします。
卵は淡い青色
アヒルの卵とご対面します。大きさは鶏卵よりもやや大きめ?そして色は白でなく、淡い青色をしています。さてここから卵を割っていくのですが…先ほどの泥がきちんと落ち切っているか今一度チェックしましょう。
万が一泥が口の中に入ってしまうと、泥に含まれる炭酸ナトリウムの影響で舌が痺れるような感覚に陥ってしまうとのことです。十分に確認してから殻を割っていきましょう。
茶黒く染まったゼラチン質の卵があらわに
ついに現れました、ピータンです。黄身までは見えませんが、半透明になっています。色も茶色というか黒色というか、コーヒーゼリーのようにも見えますね。しかし、匂いはかなり強烈!アンモニア臭というか、独特な香りが立ち込めています。この臭みを緩和させる方法として、ピータンをカットした状態で20分程放置しましょう。
空気に触れさせ、臭いを飛ばす
包丁越しに伝わるその柔らかさ。そして黄身の禍々しさ。切るとますます香りが強くなったような気がしなくもないですが、信じてこのまま20分程放置してみます。するとどうでしょう、確かに香りが弱くなった!どうやら空気に触れることでその香りが飛んでいくようです。
そしてあらかじめ切っておくと、そのままの状態で放置するよりも空気に触れる面積が多くなるため、より効果的に香りを飛ばすことができます。
気になるそのお味は?
臭いほどのクセはない?ワサビ醤油との相性は抜群!
それでは実際に食べてみます。臭いは最初よりも断然弱くなっていますが、鼻を近付けるとやっぱり健在。なかなか勇気がいりますね。とにかく…まずはそのまま一口…おや、臭いほどのクセはないですね。食感に関しては、白身はゼリーよりも固く、そして黄身はチーズに似ていますね。
臭いとは裏腹に、意外と食べやすい
正直最初は一口でギブアップするのではないかと思っていましたが、予想以上に食べやすくびっくりしました。といってもやはり万人受けする食べ物とは言いがたいかもしれません。では続いて、醤油を付けて食べてみたいと思います。
醤油とワサビがとても合う!
卵自体に塩味はないため、醤油はかなり合いますね。より一層食べやすくなりました。そしてワサビを少し付けると、これが美味しい!今までは喰わず嫌いで避けていましたが、買ってみて正解でした。皆様も是非一度ご賞味あれ!