20年以上の選手活動・指導実績をもとに、器具なしで行う筋トレ=自重トレーニングのなかから、胸筋・背筋・腕・肩・腹筋・下半身の部位別に、特に筋肥大に効果的な種目を厳選するとともに、それぞれの動作のポイントを動画をまじえて解説します。あわせて、超回復理論にもとづく自重筋トレの限界を超えた最強の鍛え方や効果的なプロテインの飲み方もご紹介します。
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▼筋トレと食事についての情報
まずは鍛える筋肉部位を知る
胸筋・背筋・三角筋・上腕筋群・腹筋群・大腿筋群
身体を鍛える上で、まず大切なことは鍛える対象である筋肉の部位・名称・作用を知ることです。それらを知った上でトレーニングに取り組むのと、知らないままトレーニングをしていくのとでは、結果に大きな差が出ます。
まずは、各筋肉部位について、可能な限りわかりやすく解説します。
大胸筋の構造と作用
胸の筋肉である大胸筋は、上部・下部・内側・外側の四部位に分けられます。それぞれ、腕を斜め上に押し出す(上部)、腕を斜め下に押し出す(下部)、腕を前で閉じる(内側)、腕を前に押し出す(外側)という作用があります。
背筋の構造と作用
背中の筋肉である背筋には、広背筋(背中の上側部)、僧帽筋(首の後)、長背筋群(背骨沿い)があり、それぞれ、腕を下に引く(広背筋)、腕を後に引く(僧帽筋)、上半身を起こす(長背筋群)という作用があります。
三角筋の構造と作用
肩の筋肉である三角筋は、前部・中部・後部の三部位に分けられます。それぞれ、腕を前に上げる(前部)、腕を横に上げる(側部)、腕を後ろに上げる(後部)という作用があります。
上腕筋群の構造と働き
上腕筋群は上腕二頭筋(腕の前側の筋肉)と上腕三頭筋(腕の後側の筋肉)の二部位に分けられます。それぞれ、腕を曲げる(上腕二頭筋)、腕を伸ばす(上腕三頭筋)という作用があります。
腹筋群の構造と作用
腹の筋肉である腹筋群は四層構造をしており、表層から腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋と折り重なっています。それぞれが連動し、体幹を曲げる・捻るといった作用があります。
大腿筋群の構造を作用
大腿筋群は、大腿四頭筋とハムストリングス(大腿二頭筋+半腱様筋+半膜様筋)の二部位に分けられます。それぞれ、脚を伸ばす(大腿四頭筋)、脚を曲げる(ハムストリングス)という作用があります。
自重トレーニングの基礎知識
自重トレーニングは毎日やっていいのか?
とても多い誤解に、自重トレーニングはウエイトトレーニングではないから毎日やってもいい、というものがありますがこれは間違いです。
自重トレーニングは自身の体重を負荷に使う「セルフウエイトトレーニング」ですので、立派なウエイトトレーニングです。そして、ウエイトトレーニングである以上、行うと筋繊維はダメージを受け、その超回復には48~72時間の休息が必要です。
ですので、毎日全身を自重トレーニングで鍛えるのではなく、一般的なウエイトトレーニング同様に全身をいくつかの部位にわけて一週間をかけてローテーションで鍛えていく、部位分割法=スプリットトレーニングを行うのがもっとも効率的です。
自重トレーニングの長所と短所
自重トレーニングは器具なしでいつでもできるのが最大のメリットですが、これ以外にも、自重トレーニングは複数の筋肉と関節を同時に使う「複合関節運動」=「コンパウンド種目」ですので、実際のスポーツ競技の動作に近いことから、体幹インナーマッスルを含めてより実戦的な筋力を鍛えることが可能なことも大きな長所です。
一方、自重トレーニングには個別に筋肉を鍛える「単関節運動」=「アイソレーション種目」がないため、特定の筋肉部位を集中的に鍛えるのが難しいのが短所です。また、かけられる負荷に限界があるので、体重をはるかに超えるような負荷のバーベル筋トレなどに比べると筋肥大効果が得にくいこともデメリットですが、これは後述するメソッドを組み込むことでかなり解消されます。
自重トレーニングには限界がある?
自重トレーニングに使える負荷は、マックスで自分の体重ですので、体重以上の負荷をかけられるバーベルやマシントレーニングに比較すると、少なくとも筋肥大の観点からは限界があります。
ただし、これはいわゆるゴリマッチョと言われるパワー競技や重量級格闘技選手のような筋肥大は無理ということであり、一般的に「鍛えた身体」や「細マッチョ」と呼ばれるレベルの身体になるのには、自重トレーニングだけでも十分可能です。
また、自重トレーニング種目によってはウエイト負荷を追加することも可能な種目あり、この場合は限界なく高負荷で鍛えることができます。
自重トレーニングで筋肥大する方法
速筋と呼ばれる筋繊維をターゲットに鍛える
よく言われる誤解に「自重トレーニングでは筋肥大できない」というものがあります。これは、あるレベルに筋肉が肥大・強化されると、筋肥大する筋繊維である「速筋」を鍛えるのに適切な反復回数以上に反復動作ができるようになるためです。
速筋は8~15回の反復回数で限界がくる負荷で発達・筋肥大するのですが、20回以上の反復動作では、筋肥大しない遅筋(持久筋)が主として働きます。
腕立て伏せで例えると、10回できていたのが100回できるように鍛えてもあまり筋肥大しません。強くなればなるほど、ゆっくりと動作をし、あくまで8~15回の反復で限界がくるように動作すれば筋肥大するのです。
自重トレーニングの限界を超える負荷のかけ方
「器具なしで体重だけで行う」という狭い意味での自重トレーニングの概念からは外れますが、リュックなどに重りを入れ、それを背負うことで通常の自重トレーニングの限界を超えた筋肥大を得ることができます。これは、広い意味での自重トレーニングと考えることができます。
スロートレーニングを行う
負荷を追加する方法以外にも、通常の自重トレーニングの限界を超えて筋肥大をさせる方法があります。それが、スロートレーニングです。筋肉は10回前後の反復で限界がくるように鍛えることで筋肥大しますが、動作をできる限りゆっくりと行い、10回前後で限界がくるように動作スピードを調整することで、大きな筋肥大効果が得られます。
トレーニングチューブを使って負荷を増やす
道具を使うので、厳密には自重トレーニングではない部分もありますが、トレーニングチューブを使うことで通常の自重トレーニングの限界を超える負荷を筋肉に与えることが可能です。
上図のように工夫次第で、腕立て伏せ系・懸垂系・腹筋系・スクワット系の各種目の負荷を増加させることが可能です。
当ジム運営ショップでは、品質確認を行った海外製品を輸入してリーズナブルにご提供しています。
チンニング・ディップベルトを使う
自重トレニングの負荷を増加させるための専用器具として、チンニング・ディップベルトと呼ばれるものがあり、これを使いウエイトを追加することで高強度・高負荷のトレーニングが可能になります。
自重トレーニングの頻度
毎日同じ部位を鍛えてはいけない
超回復理論を考慮して一週間のプログラムを組む
よくありがちな誤解の一つに「自重トレーニングはウエイトトレーニングと違い毎日やっていい」というものがあります。筋肉は鍛えると筋繊維が破壊され、その超回復には、部位によりますが72~24時間が必要です。これは、ダンベル・バーベルトレーニング=フリーウエイトトレーニングと全く同じで、超回復前にその筋肉部位をトレーニングすると、超回復が追いつかず、筋肉は萎縮していきます。
なぜならば、自重トレーニングは”BODY WEIGHT TRAINIG”=ボディーウエイトトレーニングであり、ウエイトトレーニングの一種だからです。
なお、各筋肉部位のおおよその超回復期間は以下の通りです。
○大腿筋筋・背筋群などの大きな筋肉:72時間
○大胸筋・上腕筋群などの中くらいの筋肉:48時間
○腹筋・前腕・ふくらはぎなどの筋肉:24時間
週3回の自重トレーニングの具体例
週一回目:胸筋系の筋トレメニュー
さらに詳しい胸筋系部位別筋トレ
【大胸筋の筋トレ大全】上部・下部・内側・外側の鍛え方を完全解説
【肩の筋トレ大全】三角筋前部・中部・後部とローテーターカフの鍛え方
【上腕三頭筋の筋トレ大全】長頭と短頭それぞれの鍛え方を完全解説
週二回目:下半身の筋トレメニュー
②ブルガリアンスクワットorフロントランジ:2セット
さらに詳しい背筋系部位別筋トレ
さらに詳しい腹筋部位別筋トレ
週4回の自重トレーニングの具体例
週一回目の筋トレ(胸+腹)
①腕立て伏せまたは足上げ腕立て伏せまたは斜め腕立て伏せまたは膝つき腕立て伏せを2~3セット
②ディップスを2~3セット
③クランチを1~2セット
④レッグレイズを1~2セット
⑤クランチツイストを1~2セット
週二回目の筋トレ(下半身)
①自重スクワットを2~3セット
②ブルガリアンスクワットを2~3セット
③シシースクワットを2~3セット
週三回目の筋トレ(背筋+腹)
②パラレル懸垂を2~3セット
③バックエクステンションを2~3セット
④クランチを1~2セット
⑤レッグレイズを1~2セット
⑥クランチツイストを1~2セット
週四回目の筋トレ(肩+腕)
①ワイド腕立て伏せまたはパイクプッシュアップを2~3セット
②ナロー腕立て伏せを2~3セット
③逆手懸垂またはを2~3セット
それでは、ここからは、先に解説した筋肉部位別に特に効果の高い自重筋トレ種目をご紹介していきたいと思います。
大胸筋の自重トレーニング
大胸筋の構造・作用・鍛え方
大胸筋の部位名称と起始停止
読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~第6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜
大胸筋全体の自重筋トレ:腕立て伏せ
大胸筋全体に効果的な自重トレーニングが腕立て伏せです。手は肩幅よりやや広く置き、背筋を伸ばし、行ってください。また、身体を最大に押し上げたポジションで、やや顎を引くことにより大胸筋が最大収縮し、効果が高まります。
なお、身体を押し上げる時に息を吐くのが正しい呼吸方法です。
◆腕立て伏せのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手を床につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構える
②手の真上に肘がくる位置を保ち、肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり腰を曲げたりせずに身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
大胸筋を完全収縮させるためには、顎をやや引くようにしてください。
◆筋肥大のためのポイント
腕立て伏せで筋肥大をするためには、いかに大胸筋に負荷をかけられるかにかかってきます。大胸筋に対して最も負荷が強い位置は「スティッキングポイント」とも呼ばれ、肘が90度で上腕が床と並行になる位置です。
身体を押し上げる時も下がる時も、そのスティッキングポイントで一度動作を止め、十分に大胸筋に対して負荷を加えるようにするのがバルクアップのコツです。
なお、筋力的に腕立て伏せが十分にできる方は、さらに高負荷が筋肉にかかる足上げ腕立て伏せやディプスを行うことをおすすめします。
初心者向きの大胸筋トレ:インクラインプッシュアップ
腕立て伏せが苦手な初心者や女性におすすめなのがインクラインプッシュアップです。台の上などに手をことで、強度が下がります。効果のある筋肉部位は通常の腕立て伏せとほぼ同様です。
それでも上手く腕立て伏せができない方は、斜めに壁に手をついて行う壁腕立て伏せか、次の膝つき腕立て伏せを行ってください。
◆インクラインプッシュアップのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手を台につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せ、足を台の上に乗せて構える
②手の真上に肘がくる位置を保ち、肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり、逆に腰を曲げたりしないように気をつけて身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
筋力に合わせて負荷を増減させるためには、台を高くすると低強度に、台を低くすると高強度になります。
女性向きの大胸筋トレ:膝付き腕立て伏せ
それでも腕立て伏せができない、という方におすすめなのが膝をついて腕立て伏せを行う膝つき腕立て伏せです。どなたでも簡単に実践できます。
なお、肘を開き気味に行うと大胸筋に、肘を閉じ気味に行うと上腕三頭筋に効果があります。
◆膝つき腕立て伏せのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手を台につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せ、膝を床について構える
②肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり、逆に腰を曲げたりしないように気をつけて身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
はじめは無理に深く身体を下ろさず、筋力がついてきたら徐々に床まで身体を下ろすようにしてください。
誰でもできる大胸筋トレ:バランスボール腕立て伏せ
膝をつくかわりにバランスノールの反発力を補助に使って腕立て伏せをする方法もあります。
この方法に慣れてきたら、次はバランスボールの上に乗って腕立て伏せを行うなど、徐々に負荷を増やしていくとよいでしょう。
◆バランスボール腕立て伏せのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、手をバランスボールの両端につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構える
②手の真上に肘がくる位置を保ち、肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり、逆に腰を曲げたりしないように気をつけて身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
バランスボールの反発力を使うと筋力の補助になるほか、一回一回揺れを止めるようにすると体幹インナーマッスルも鍛えられます。
大胸筋上部の自重筋トレ:足上げ腕立て伏せ
足上げ腕立て伏せは大胸筋上部に効果があります。お腹を突き出すと、せっかくの斜め上への軌道が普通の腕立て伏せと同じになるので気をつけてください。どちらかと言えば、腰をやや曲げるくらいのフォームがよく効きます。
◆足上げ腕立て伏せのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手を床につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せ、足を台の上に乗せて構える
②手の真上に肘がくる位置を保ち、肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出さないように気をつけて身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
お腹を突き出すとせっかくの大胸筋上部に負荷がかかる軌道が、通常の腕立て伏せ同様になってしまうので、どちらかと言えば少し腰を曲げ気味にするフォームが効果的です。
◆筋肥大のためのポイント
やや高度なテクニックになりますが、直線動作で足上げ腕立て伏せを行うのではなく、すくい上げるよな軌道で動作を行うと、大胸筋上部~大胸筋下部にかけて縦方向の負荷が加わるので、筋肥大に効果的です。
体幹も鍛えられる大胸筋上部の筋トレ:バランスボール足上げ腕立て伏せ
バランスボールを使って足上げ腕立て伏せを行うと、不安定な動作のなかで体幹インナーマッスルも同時に鍛えることができます。
◆バランスボール足上げ腕立て伏せのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手を台につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せ、足をバランスボールの上に乗せて構える
②手の真上に肘がくる位置を保ち、肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり、逆に腰を曲げたりしないように気をつけて身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
もう一つバランスボールを用意し、手もバランスボールに乗せて行うと、さらに体幹インナーマッスルを高強度で鍛えることが可能です。
大胸筋下部の自重筋トレ:リバース腕立て伏せ/ディップス
腕を後ろにして行うリバース腕立て伏せ(またはディップス)は、大胸筋下部に効果の高い種目です。自宅の椅子などを流用して行うことが可能です。
肘をあまり開かないように注意して行うのがポイントです。
◆ディップスのやり方と動作ポイント
①デップスバーをグリップし、胸を張り肩甲骨を寄せ、足を浮かせて構える
②肩甲骨を寄せたまま、脇をしめ、身体をやや前傾させて身体を下ろす
③上腕が床と平行になるまで身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま身体を押し上げる
④身体を押し上げたら、しっかりと肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
ディップスで肩を痛めないためには、身体を前傾させることと、肩甲骨をしっかりと寄せて動作することが重要です。
◆筋肥大のためのポイント
大胸筋下部に対して負荷を強めたい場合は、前傾しつつやや斜め前に身体を下ろすような軌道で行ってください。また、上腕三頭筋を集中的に鍛えたい場合は、真っ直ぐ真下に身体を下ろすとともに、脇をしめて肘を閉じるフォームで行うと効果的です。
競技者のコメント
ディップスが肩に効いてしまうという疑問はよくありますが、その原因は主に以下の通りです。
①真下または斜め後ろに身体を下ろしている|ディップスが肩に効いてしまう場合の、良くないケースが「真下または斜め後ろに身体を下ろしている」というフォームです。
②脇が開いて肘が横に張り出している|ディップスが肩に効いてしまうもう一つのケースが、脇が開いて肘が横に張り出し、結果として上腕三頭筋短頭と三角筋を動作に使ってしまっているというものです。
③肩甲骨を寄せていない|ディップスだけでなく、大胸筋のトレーニング全般に言えることですが、肩甲骨を引き寄せずに肩が前に出たフォームだと、負荷が大胸筋に直接加わらず、肩に逃げる(三角筋や肩関節に負荷がかかる)ことになります。
特殊な腕立て伏せ:リバースグリップ腕立て伏せ
逆手でグリップをして行うリバースグリップ腕立て伏せは、大胸筋上部に効果の高いプッシュアップのバリエーションです。
特殊な腕立て伏せ:アーチャープッシュアップ
アーチャープッシュアップは、大きく片側に偏った状態での腕立て伏せ動作を交互に行うバリエーションです。大胸筋外側から内側にかけての横ラインに高い効果があります。
特殊な腕立て伏せ:タイプライタープッシュアップ
タイプライタープッシュアップは、身体を下ろした状態で大きく左右にスライド動作を行う腕立て伏せのバリエーションです、大胸筋外側から内側にかけての横ラインにとても有効な種目です。
特殊な腕立て伏せ:急降下爆撃腕立て伏せ
急降下爆撃腕立て伏せは、正式名称をダイブボンバープッシュアップという米国式の高強度腕立て伏せバリエーションです。
高強度腕立て伏せ:トリプルクラッププッシュアップ
トリプルクラッププッシュアップは、力強く跳ね上がり手を三回も叩く、高難易度の腕立て伏せです。
高強度腕立て伏せ:片手腕立て伏せ
片手腕立て伏せは高負荷で大胸筋を鍛えられるプッシュアップバリエーションです。
胸郭トレーニングも大事
大胸筋の土台を広げるメソッド
また、大胸筋を発達させていくためには、大胸筋自体の筋トレだけでなく、その土台となる胸郭を広げていくことも非常に重要です。
▼胸郭の拡張トレーニング
三角筋の自重トレーニング
三角筋の構造・作用・鍛え方
三角筋の部位名称と起始停止
読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部|中部(側部)|後部
起始:鎖骨外側前縁|肩甲骨肩峰|肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面
三角筋の自重筋トレ:パイクプッシュアップ
三角筋を効率的に鍛えることのできる自重トレーニングがパイクプッシュアップです。腰を大きく曲げたまま動作するのが特徴です。
肘関節が体幹より後ろくるフォームで行うと、肩関節に強い負荷がかかりますので、必ず肘は身体の前側に置くように気をつけてください。
◆パイクプッシュアップのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手を床につき、背すじを伸ばし、腰を大きく曲げ、甲骨を寄せて構える
②手の真上に肘がくる位置を保ち、肩甲骨を寄せたまま、斜め前方に身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を斜め後方に押し上げる
◆ワンポイントアドバイス
三角筋に負荷のかかる、腕を上方に押し出す軌道になるように、身体を斜め前に下ろすことが大切です。
◆筋肥大のためのポイント
なお、さらに負荷強度を高めたい場合は、脚を椅子などにおいて足上げパイクプッシュアップを行ってください。
三角筋の自重筋トレ:ワイド腕立て伏せ
大胸筋外側とその部位に連動する三角筋に効果的な自重トレーニングがワイド腕立て伏せです。手幅を大きくとるため、角度的に手首を痛めやすいので、プッシュアップバーを併用するとさらに効果的です。
◆ワイドグリップ腕立て伏せのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、片幅より広く手幅をとって手を床につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構える
②肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり腰を曲げたりせずに身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
◆ワンポイントアドバイス
手幅を広くとった場合、肩甲骨の寄せが甘いと特に肩関節に大きな負担がかかりますので、しっかりと肩甲骨を寄せて動作を行ってください。
高強度腕立て伏せ:逆立ち腕立て伏せ
逆立ち腕立て伏せは三角筋と上腕三頭筋を高負荷で鍛えられる種目ですが、難易度が高いためパイクプッシュアップ→足上げパイクプッシュアップという段階で練習するのがおすすめです。
上腕三頭筋の自重トレーニング
上腕三頭筋の構造・作用・鍛え方
上腕三頭筋の部位名称と起始停止
読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭|外側頭|内側頭
起始:肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面
停止:尺骨肘頭
上腕三頭筋の自重筋トレ:ダイヤモンド腕立て伏せ
大胸筋内側と上腕三頭筋に効果的な自重筋トレが、親指と人差し指でダイヤモンド型を作って、狭い手幅で行うダイヤモンド腕立て伏せです。なお、肘を閉じる(体幹に近づける)ことで上腕三頭筋への負荷が増加します。
◆ダイヤモンド腕立て伏せのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、親指と人差し指でダイヤモンド型を作って手を床につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構える
②肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり腰を曲げたりせずに身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
肘をあまり絞って行うと手首に負担がかかりますので、肘は外に張り出すようにしてください。
上腕三頭筋の自重筋トレ:ベンチディップス
上腕三頭筋に負荷を集中できる自重トレーニングがベンチディップスです。肘をできるだけ閉じて行うことで、効率的に上腕三頭筋に負荷をかけることができます。
◆ベンチディップスのやり方と動作ポイント
①足を前に伸ばし、肩甲骨を寄せ、手を身体の後ろ側について構える
②身体を真下に下ろしていく
③上腕が床と平行になるまで身体を下ろしたら、肘を伸ばして身体を押し上げていく
④身体を押し上げたら、肘をしっかりと伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
肩甲骨を寄せずに動作を行うと肩関節に強い負担がかかりますので注意してください。
◆筋肥大のためのポイント
肩甲骨に接合している上腕三頭筋長頭の特性上、肘関節が肩関節よりも上になる深さまで身体を下ろすことで筋肉が最大伸展し、効果が倍増します。
背筋群の自重トレーニング
背筋群の構造・作用・鍛え方
広背筋の部位名称と起始停止
読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜
僧帽筋の部位名称と起始停止
読みかた:そうぼうきん
英語名称:trapezius muscle
部位詳細:上部|中部|下部
起始:後頭骨上項線・外後頭隆起・頚椎棘突起|第7頚椎・第1~3胸椎棘突起|第4~12胸椎棘突起
停止:肩甲棘・肩峰
広背筋の自重筋トレ:ノーマル懸垂
広背筋に非常に効果的な自重筋トレが、自重筋トレの王道である懸垂です。懸垂といえば、バーより上に顎を出すことに固執しがちですが、そのイメージでは背中が丸まり広背筋を完全に収縮させることができません。バーに胸をつけにいく意識をしてください。
また、胸を張り、背中を反らせて身体を引き上げ、最後に肩甲骨を寄せて背筋群を完全収縮させるとさらに効果的です。
◆懸垂のやり方と動作ポイント
①肩幅よりも広い手幅でバーをグリップして構える
②肩甲骨を寄せながら、腕を曲げて身体を引き上げていく
③身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④コントロールした速度で身体を下ろし、反動を使わずに再び身体を引き上げる
◆ワンポイントアドバイス
顎をバーより上に出すのではなく、バーに胸をつけにいく軌道で動作を行い、背筋群を完全収縮させることが重要です。
◆筋肥大のためのポイント
懸垂には二箇所の負荷ポジションがあり、それは肘が90度の位置と肩甲骨を完全に寄せきった位置です。この二箇所のポジションを勢いで動作せず、一度止まるくらいのスピードで行うと、一気に負荷強度が高まり筋肥大に効果的です。
競技者のコメント
懸垂・チンニングに関してよく言われることに、「バーから顎を出して1回」というものがあります。しかし、背筋トレーニングとしての懸垂・チンニングとして考えた場合は、それは非常に非効率な方法と言えます。「顎をバーより上にする」イメージに固執すると、顎を突き出そうと背中が丸まった状態となり、背筋群はほとんど収縮せず、上腕屈筋群で動作を行ってしまうことになります。
僧帽筋の自重筋トレ:パラレル懸垂
グリップを縦にして行うパラレル懸垂では、広背筋のなかでも中央部に強い負荷を加えて鍛えることができます。
◆パラレル懸垂のやり方と動作ポイント
①手の平が向き合うようにバーをグリップして構える
②肩甲骨を寄せながら、腕を曲げて身体を引き上げていく
③身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④コントロールした速度で身体を下ろし、反動を使わずに再び身体を引き上げる
◆ワンポイントアドバイス
顎をバーより上に出すのではなく、バーに胸をつけにいく軌道で動作を行い、背筋群を完全収縮させることが重要です。
僧帽筋・広背筋の自重筋トレ:斜め懸垂
また、どうしても自宅に懸垂する環境が作れないという方は、この動画のように机などを流用した斜め懸垂でも広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋を鍛えることができます。
◆斜め懸垂のやり方と動作ポイント
①肩幅よりも広い手幅でバーをグリップし、背すじを伸ばして構える
②肩甲骨を寄せながら、腰を曲げたりお腹を突き出したりせずに体を引き上げていく
③身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④コントロールした速度で身体を下ろし、反動を使わずに再び身体を引き上げる
◆ワンポイントアドバイス
顎をバーより上に出すのではなく、バーに胸をつけにいく軌道で動作を行い、背筋群を完全収縮させることが重要です。
上腕二頭筋の自重トレーニング
上腕二頭筋の構造・作用・鍛え方
上腕二頭筋の部位名称と起始停止
読みかた:じょうわんにとうきん
英語名称:biceps
部位詳細:長頭|短頭
起始:肩甲骨関節上結節|肩甲骨烏口突起先端
停止:橈骨粗面
上腕二頭筋の自重筋トレ:逆手懸垂
逆手懸垂は僧帽筋と上腕二頭筋に負荷が集中する腕立て伏せのバリエーションです。手幅を狭めると、より上腕二頭筋に負荷が強くかかるようになります。
なお、上腕二頭筋をターゲットにする場合は、あえて肩甲骨を寄せずに腕の力だけで身体を引き上げると効果的です。
◆逆手懸垂のやり方と動作ポイント
①肩幅よりも狭い手幅でバーを逆手にグリップして構える
②肩甲骨をあまり寄せずに腕の力で身体を引き上げていく
③身体を引き上げたら、ウエイトに耐えながらゆっくりと筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肩甲骨を寄せると背筋群に負荷が逃げてしまいますので注意してください。
◆筋肥大のためのポイント
上腕二頭筋はコンセントリック収縮(肘を曲げる動作)よりもエキセントリック収縮(肘が伸びないように耐える動作)のなかで強く筋肥大します。このため、逆手懸垂でも身体を下ろす時、肘が90度の位置で一度停止し、上腕二頭筋に対してエキセントリック収縮の負荷を加えるようにしてください。
体幹の自重トレーニング
体幹の構造・作用・鍛え方
腹筋群の部位名称と起始停止
読みかた:ふっきんぐん
英語名称:abdominal muscles
部位詳細:腹直筋|外腹斜筋|内腹斜筋|腹横筋
起始:恥骨稜・恥骨結合・恥骨結節|第5~12肋骨外面|胸腰筋膜深葉・上前腸骨棘・鼡径靭帯・腸骨稜|第7~12肋軟骨内面・鼡頚靭帯・上前腸骨棘
停止:剣状突起・第5~7肋軟骨外面|鼡径靭帯・腹直筋鞘前葉・腸骨稜外唇|第10~12肋骨下縁・腹直筋鞘・精巣挙筋|剣状突起・白線・恥骨
脊柱起立筋の部位名称と起始停止
読みかた:せきちゅうきりつきん
英語名称:erector spinae muscle
部位詳細:腸肋筋|最長筋|棘筋
長背筋群=脊柱起立筋+多裂筋+回旋筋など
腹直筋上部の自重筋トレ:カールアップクランチ
腹直筋上部に効果的な自重筋トレが腹筋トレーニングの定番であるカールアップクランチです。息を吐きながら上体を起こし、腹筋を曲げきった場所で息を吐ききるようにしてください。
これにより、腹筋群が完全収縮して効果が倍増します。
◆カールアップクランチのやり方と動作ポイント
①膝を曲げて仰向けになり、頭の後ろで手を組んで構える
②息を吐きながら上半身を起こしていく
③上半身を起こしたら、息を全て吐いて顎を引き腹直筋を完全収縮させる
④効かせながら元に戻る
⑤反動を使わずに再び上半身を起こしていく
◆ワンポイントアドバイス
呼吸と顎の動作を意識して腹直筋を最大収縮させることが大切です。また、反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので注意してください。
競技者のコメント
いずれにせよ、腹筋の筋肉はその性質上、20~30回以上の高反復回数で鍛える必要があります。そして、このことからよく誤解されてしまうのが「回数をやればやるほど効果がある」ということです。回数をこなそうとすると、当然のように腹筋動作は速くなり、さらには反動や勢いを使って反復動作を行うということになりがちです。
腹直筋下部の自重筋トレ:レッグレイズ
腹直筋下部に効果の高い自重筋トレがレッグレイズです。反動を使うと腰を痛めやすいので、足を上げる時も、下げる時もゆっくりと動作するとともに、セット中は足を床につけないようにしてください。
なお、足を必要以上に上げると、負荷がなくなってしまうので床に対して45度の角度で止めるのが、もっとも効果的です。
◆レッグレイズのやり方と動作ポイント
①仰向けになり、足を伸ばして構える
②息を吐きながら足を上げていく
③足を45度ほど上げたら、息を全て吐いて顎を引き、腹直筋を完全収縮させる
④コントロールした動作で足を下ろす
⑤反動を使わず再び足を上げていく
◆ワンポイントアドバイス
呼吸と顎の動作を意識して腹直筋を最大収縮させることが大切です。また、反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので注意してください。
腹直筋の高強度自重筋トレ:ジャックナイフ
ジャックナイフはクランチとレッグレイズを同時に行うような種目で、腹直筋を高強度で鍛えることが可能です。
なお、反動を使って腰を反らせるようなフォームで行うと腰に強い負担がかかりますので、セット中は常にコントロールした動作を行ってください。
◆ジャックナイフのやり方と動作ポイント
①仰向けになり構える
②息を吐きながら、上半身と下半身を床から浮かせていく
③上半身と下半身を床から浮かせたら、息を全て吐いて顎を引き、腹直筋を完全収縮させる
④コントロールした動作で両手両足を下ろす
⑤反動を使わず再び両手両足を上げていく
◆ワンポイントアドバイス
呼吸と顎の動作を意識して腹直筋を最大収縮させることが大切です。また、反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので注意してください。
初心者向き下腹筋トレ:リバースクランチ
体力的にレッグレイズを行うのが難しい人におすすめの、比較的強度の低い腹直筋下部トレーニングがリバースクランチです。レッグレイズと違い足の角度は固定したまま、腹筋を収縮させて足を上に持ち上げる動作に集中して行ってください。
◆リバースクランチのやり方と動作ポイント
①仰向けになり、足を伸ばし上に上げて構える
②息を吐きながら、腰を浮かせて足を上げていく
③足を上げたら、息を全て吐いて顎を引き、腹直筋を完全収縮させる
④コントロールした動作で足を下ろす
⑤反動を使わず再び足を上げていく
◆ワンポイントアドバイス
呼吸と顎の動作を意識して腹直筋を最大収縮させることが大切です。また、反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので注意してください。
腹筋群全体に効果のある体幹トレーニング:フロントプランク
腹筋群全体に効果のある体幹トレーニングがフロントプランクです。背すじを真っ直ぐのばし、30~60秒の静止をしてください。
なお、呼吸は鼻から吸って口から吐くようにすると、腹筋の力が抜けずに行えるので効果が高まります。
◆フロントプランクのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、肘をついて背すじを伸ばして構える
②そのまま、お腹を突き出したり、腰を曲げたりせず静止する
③静止中は鼻から息を吸って口から吐く腹式呼吸を行う
◆ワンポイントアドバイス
肘を伸ばして手をついて行うことで強度を上げることが可能です。
外腹斜筋と内腹斜筋の自重筋トレ:クランチツイスト
体幹を捻る筋肉である外腹斜筋と内腹斜筋に効果的なトレーニングがクランチツイストです。息を吐きながら上体を起こすのは、シットアップと同じ要領です。
肘が対角線の膝に当たるように身体を大きく捻ってください。
◆クランチツイストのやり方と動作ポイント
①仰向けになり、足を四の字に組み、手を頭の後ろで組んで構える
②息を吐きながら上半身を起こし、上げたほうの膝と対角線の肘を合わせにいく
③膝と肘を合わせたら、息を全て吐いて顎を引き、腹直筋および腹斜筋を完全収縮させる
④ゆっくりと効かせながら元に戻る
⑤所定の回数を行ったら、足を組み替えて反対側も同じように動作する
◆ワンポイントアドバイス
比較的小さな動きで腹筋群を全体を鍛えられる種目ですが、ゆっくりとした動作で確実に効かせるのがコツです。
腹斜筋の高強度筋トレ:ロシアンツイスト
比較的軽い負荷で腹斜筋を鍛えることのできる種目がロシアンツイストです。セット中は足を床につけないように気をつけてください。
◆ロシアンツイストのやり方と動作ポイント
①お尻を支点にV字姿勢をとり構える
②V字姿勢を保ったまま、左右に大きく上半身を捻る
③所定の回数を行ったら、ゆっくりと効かせながら両足を下ろす
◆ワンポイントアドバイス
できるだけ大きな動きで身体を捻り、腹斜筋を最大伸展・最大収縮させるのがポイントです。
腹斜筋に効果のある体幹トレーニング:サイドプランク
サイドプランクは腹斜筋に効果の高い体幹トレーニングです。背すじを真っ直ぐにし、静止姿勢を30~60秒間維持してください。
フロントプランクと同様に、呼吸は鼻から吸って口から吐くのがベストです。
◆サイドプランクのやり方と動作ポイント
①床に横向きになり、肘をついて背すじを伸ばして構える
②そのまま腰を上げたり下げたりせずに静止する
③静止中は鼻から息を吸って口から吐く腹式呼吸を行う
◆ワンポイントアドバイス
肘を伸ばして手をついて行うことで強度を上げることが可能です。
脊柱起立筋の自重筋トレ:バックエクステンション
長背筋群=脊柱起立筋を鍛えるための自重筋トレ種目がバックエクステンションです。腰を痛めやすくなるので、反動を使わないように気をつけてください。
床の上で行うノーマルのバックエクステンションのほかに、バランスボールの上で行う方法や、専用のローマンベンチを使うハイパーバックエクステンションなどのバリエーションがあります。
◆バックエクステンションのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、頭の後ろで手を組んで構える
②上半身を起こしていく
③上半身を起こしたら、顎を上げて脊柱起立筋をしっかりと収縮させる
④効かせながら元に戻る
⑤反動を使わずに、再び上半身を上げていく
◆ワンポイントアドバイス
反動を使わずに、いかに丁寧にゆっくりと効かせるかが重要で、速い動作で繰り返すと腰を痛めるリスクがありますので注意してください。
脊柱起立筋の体幹トレーニング:アームレッグクロスレイズ
長背筋を鍛えるのにおすすめの体幹トレーニングがアームレッグクロスレイズです。対角線になる手足を交互に水平にあげる動作を行います。
なお、手足は必要以上に高く上げる必要はなく、水平の高さで真っ直ぐに伸ばすことを意識して行ってください。
◆アームレッグクロスレイズのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり、背すじを伸ばし、両手両足を床について構える
②対角線の手と足は床についたまま、もう一対の手足を水平に伸ばして静止する
③所定時間静止したら、元に戻る
④先ほどとは逆の手足を水平に伸ばして静止する
◆ワンポイントアドバイス
手足は高く上げる必要はなく、いかに真っ直ぐに伸ばすかが大切です。
脊柱起立筋を鍛える腕立て伏せ:ブリッジプッシュアップ
バックブリッジプッシュアップは、通常の腕立て伏せとは正反対でブリッジを作って行う自重トレーニング方法です。脊柱起立筋を中心とした長背筋群全体に高い効果があります。
下半身の自重トレーニング
下半身の構造・作用・鍛え方
臀筋群の部位名称と起始停止
読みかた:でんきんぐん
英語名称:gluteus muscles
部位詳細:大臀筋|中臀筋|小臀筋
起始:腸骨稜・腸骨翼|腸骨翼殿筋面・腸骨稜|腸骨翼
停止:大腿筋膜外側部・大腿骨粗面|大腿骨大転子尖端|大腿骨大転子前面
大腿四頭筋の部位名称と起始停止
読みかた:だいたいしとうきん
英語名称:quadriceps
部位詳細:大腿直筋|外側広筋|内側広筋|中間広筋
起始:腸骨下前腸骨棘・寛骨臼上縁|大腿骨大転子外側面・転子間線・殿筋粗面|大腿骨粗線内側唇|大腿骨前外側面
停止:膝蓋骨上縁・脛骨粗面|膝蓋骨上外側縁・頸骨粗面|膝蓋骨上内側縁・脛骨結節|膝蓋骨・頸骨粗面
ハムストリングスの部位名称と起始停止
読みかた:はむすとりんぐす
英語名称:hamstrings
部位詳細:大腿二頭筋長頭|大腿二頭筋短頭|半膜様筋|半腱様筋
起始:坐骨結節|大腿骨粗線外側唇・外側筋間中隔|坐骨結節|坐骨結節内側面
停止:腓骨頭|腓骨頭|脛骨内側顆・斜膝窩靭帯|脛骨粗面内側
内転筋群の部位名称と起始停止
読みかた:ないてんきんぐん
英語名称:adductors muscles
部位詳細:大内転筋|長内転筋|短内転筋|薄筋|恥骨筋
腸腰筋群の部位名称と起始停止
読みかた:ちょうようきんぐん
英語名称:iliopsoas
部位詳細:腸骨筋|大腰筋|小腰筋
下腿三頭筋の部位名称と起始停止
読みかた:かたいさんとうきん
英語名称:triceps muscle of calf
部位詳細:腓腹筋外側頭|腓腹筋内側頭|ヒラメ筋
起始:大腿骨外側上顆|大腿骨内側上顆|腓骨頭・脛骨後面
停止:踵骨隆起|踵骨隆起|踵骨隆起
大腿筋全体の自重筋トレ:スクワット
大腿筋全体に非常に効果的な種目が「キング オブ トレーニング」ろも称されるスクワットです。上半身は、終始、胸を張ってやや背中を反らせたニーベントスタイルと呼ばれるフォームをキープしてください。膝関節を痛めないように、膝はつま先より前には出さず、椅子に座るイメージで斜め後に腰を下ろすようにすると効果的です。
また、上手くしゃがめないという方は、かかとの下に数センチの板をしくと動作がやりやすくなります。
◆自重スクワットのやり方と動作ポイント
①足を肩幅程度に開き、背すじを伸ばして構える
②膝がつま先よりも前に出ないように気をつけ、お尻を突き出しながらしゃがんでいく
③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
◆ワンポイントアドバイス
椅子に座る要領で動作をすると正しいフォームになります。また、背中が丸くならないように、視線をやや上に向けるのがコツです。
◆筋肥大のためのポイント
スクワットにおいて、大腿四頭筋に対してもっとも強い負荷がかかるスティッキングポイントは、膝関節が90度のポジションです。この位置で一旦動作を止めて負荷をしっかりとかけることで、効率的に大腿四頭筋を筋肥大させることが可能です。
競技者のコメント
スクワットは「キング オブ トレーニング」と呼ばれるほど効果の高い筋トレ種目ですが、やり方を間違えると重篤な怪我(特に膝)を引き起こしますので、ぜひ、この機会に正しいフォームを知ってください。そのポイントは2つです。つまり、横方向と縦方向の「膝とつま先」の位置関係です。
大腿四頭筋の自重筋トレ:シシースクワット
大腿四頭筋を集中的に鍛えることのできる特殊なスクワットがシシースクワットです。慣れないうちは転倒を防ぐため、柱などを軽く保持して行うと安全です。
足は肩幅以上には開かず、膝を並行に保って動作するのがポイントです。
◆シシースクワットのやり方と動作ポイント
①柱などにつかまり、背すじを伸ばして構える
②上半身を反らせ、のけぞるようにしてしゃがんでいく
③膝が90度になるまでしゃがんだら、同じ軌道で立ち上がる
◆ワンポイントアドバイス
動作がやりにくい場合は、前後に少し足をずらして構えてください。
ハムストリングスの自重筋トレ:ブルガリアンスクワット
大腿二頭筋を中心としたハムストリングスを集中的に鍛えることのできる種目がブルガリアンスクワットです。上半身のフォームや膝とつま先の位置関係は通常のスクワットに準じて行ってください。後にした足を中心に動作をすることで、ハムストリングスへの負荷が増加します。
なお、構えるのが苦手なほうの足の置き方からセットを始めると、最後までトレーニングできます。
◆ブルガリアンスクワットのやり方と動作ポイント
①片足を前に出し、片足を後ろの台などに乗せて構える
②前にした足の膝がつま先よりも前に出ないように、斜め後ろにしゃがんでいく
③前にした足の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
④所定回数を行った後、足の前後をかえて再び同様の動作を行う
◆ワンポイントアドバイス
構えにくいほうの足の置き方から先にセットを行なったほうが、やりやすくなります。
ハムストリングスの自重筋トレ:フロントランジ
フロントランジはブルガリアンスクワットの強度を落としたようなスクワット系種目です。後ろにした足を中心に動作を行うことでハムストリングスに効果があります。
◆フロントランジのやり方と動作ポイント
①片側の足を前に出し、片側の足を後ろに引いて構える
②前にした足の膝がつま先よりも前に出ないように、斜め後ろにしゃがんでいく
③前にした足の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
④所定回数を行った後、足の前後をかえて再び同様の動作を行う
◆ワンポイントアドバイス
前にした足を主働で行うと大腿四頭筋に、後ろにした足を主働で行うとハムストリングスに効果があります。
内転筋群の自重筋トレ:サイドランジ
サイドランジは、太もも内側のインナーマッスルである内転筋群に効果の高い自重トレーニングです。伸ばしたほうの足を中心に動作を行うのがポイントです。
◆サイドランジのやり方と動作ポイント
①足を大きく開いて構える
②片側の膝を曲げてしゃがんでいく
③曲げたほうの足の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、伸ばしたほうの足で身体を引き寄せるようにして立ち上がる
④反対側にしゃがんでいく
◆ワンポイントアドバイス
曲げたほうの足を主働で行うと大腿四頭筋に、伸ばしたほうの足を主働で行うと内転筋群に効果があります。
筋トレ効果を高めるストレッチ
筋トレの効率を良くし、効果を高めるためにはトレーニングの前・中・後それぞれにストレッチを行うことをおすすめします。筋トレ前・中・後のストレッチは効果や行う意味が違いますが、それは以下の通りです。
○筋トレ前:筋肉を温めるアップの効果があり、あわせて神経系を運動をするモードに切り替える意味があります。
○筋トレ中:筋肉が冷めるのを防ぎ、血行を上げ疲労物質が蓄積するのを予防しパフォーマンス維持の意味があります。
○筋トレ後:筋肉を冷まし、緊張した筋肉の収縮感を取り除くことで神経系を休息モードに切り替える意味があります。
ストレッチの基本的なやり方として、ストレッチをする対象筋肉の作用と収縮方向を理解し、その筋肉の逆方向に伸ばしてストレッチを行います。
また、反動を使ったようなやり方は怪我のリスクがあるため、ゆっくりと静かに少しずつストレッチをしていくことが非常に重要です。
全身を一気に鍛える自重筋トレ
今回は全身を四つの部位に分け、一週間をかけてローテーションで鍛えていくスプリットトレーニングのメニュープログラムを中心にご紹介していますが、この項目では、週一回の自重トレーニングで鍛えていきたい方におすすめの「全身を一気に鍛える」自重トレーニング方法をご紹介します。
このトレーニング方法は、かのブルース・リーも好んで行っていたと言われています。
スパイダーマンプッシュアップ
スパイダーマンプッシュアップは、通常の腕立て伏せで鍛えられる大胸筋・三角筋・上腕三頭筋だけでなく、下半身の筋肉全体と体幹インナーマッスルにも効果の高いトレーニング方法です。
ハイブリッド腕立て伏せ:ゲッコープッシュアップ
ゲッコープッシュアップは、スパイダーマンプッシュアップに前後の動きを加え、さらに全身への効果を強化した腕立て伏せです。
ハイブリッド腕立て伏せ:グラスホッパープッシュアップ
グラスホッパープッシュアップは下半身の大きな捻り動作を加えることで、腹斜筋や回旋筋など体幹の筋肉群にも効果の高い腕立て伏せです。
ドラゴンフラッグ
ドラゴンフラッグはブルースリー自身が発案・考案者とされる腹筋運動のなかでも最高強度を誇るトレーニング方法です。腹筋群以外にも上半身を引き寄せ固定するため、僧帽筋・広背筋・上腕二頭筋にも効果があります。
ジャンププッシュアップ
ジャンププッシュアップは、立ち上がってジャンプする動作のなかで下半身全ての筋肉が鍛えられるとともに、腕立て伏せ動作で大胸筋・三角筋・上腕三頭筋も鍛えることが可能です。
チューブトレーニングで仕上げ
自重トレーニングには筋肉を個別に鍛える単関節運動=アイソレーション種目がありませんので、より筋トレ効果を得たい場合は、自重トレーニングの後にトレーニングチューブを使って筋肉を個別に追い込むことをおすすめします。
各筋肉部位別に最適な単関節チューブトレーニングをご紹介していきます。
大胸筋:チューブチェストフライ
チューブフライは手を合わせた状態から、さらに前方に腕を押し出す動作をすることで大胸筋が完全収縮し効果が高まります。
三角筋:チューブサイドレイズ
三角筋中部の仕上げトレーニングに最適なチューブトレーニングがチューブサイドレイズです。
上腕三頭筋:チューブトライセプスエクステンション
チューブトライセプスエクステンションは、肘を開き気味で行うと内側頭と外側頭に、肘を閉じ気味で行うと長頭に効果があります。
上腕二頭筋:チューブカール
チューブカールは、手の向きを上向き、下向き、横向きと変えることで上腕二頭筋の各部位をまんべんなく鍛えることが可能です。