ジムでのバーベル筋トレメニューのやり方を、筋肉部位別(大胸筋・背筋・肩・腕・腹筋・下半身)に詳しく解説します。また、細マッチョになるための負荷回数設定や一週間のプログラムについてもご紹介します。
バーベル筋トレの特徴
バーベル筋トレは全てのウエイトトレーニングの基礎であり、筋トレBIG3種目を含め、とれも効率的・高負荷で筋肉を鍛えられる方法です。
ダンベルと違い両手でウエイトを扱うので、より高重量が扱え、マシンと違いウエイトのブレを自身でとめながら動作をする必要があるので体幹インナーマッスルも同時に供されるといったメリットがあります。
反面、各種目を適切にターゲットの筋肉に効かせるためにはテクニックやフォーム習得が必須となります。
まずは全身の筋肉部位を理解する
どのような目的であれ、身体を鍛える場合にまず知っておきたいのは、鍛える対象となる筋肉の部位と連動性・作用です。
全身の筋肉はその作用と連動性から以下のように部位分けされます。
①上半身の押す筋肉
大胸筋・三角筋・上腕三頭筋など
②上半身の引く筋肉
広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋など
③体幹の筋肉
腹筋群・脊柱起立筋・回旋筋など
④下半身の筋肉
臀筋群・大腿四頭筋・大腿二頭筋など
さらに詳しい筋肉名称と作用については下記の筋肉図鑑をご参照ください。
▼さらに詳しい筋肉の構造と作用
【筋肉名称デジタル図鑑】胸・背中・腕・腹・下半身・インナーマッスルの名前と鍛え方
筋繊維の種類と細マッチョになるための負荷回数設定
筋力トレーニングの対象となる骨格筋は筋繊維が束となって構成されていますが、その筋繊維には主に速筋と遅筋の二種類があり、さらに速筋は2つのタイプに分けられます。そして、それぞれに特性が異なり、トレーニングでの適正反復回数も異なります。
①遅筋(筋繊維タイプⅠ)
1分以上の持久的な運動において、持続的に収縮する筋繊維です。トレーニングをしても筋肥大は起こらず、筋スタミナが向上します。筋トレにおいては20回の反復で限界がくるような軽負荷でトレーニングを行います。
②速筋(筋繊維タイプⅡa)
30~60秒程度のやや持久要素もある瞬発運動において、持続的かつ瞬発的に収縮する筋繊維です。トレーニングによってやや筋肥大するとともに筋スタミナも向上します。筋トレにおいては12~15回程度の反復で限界がくるような中負荷でトレーニングを行います。
③速筋(筋繊維タイプⅡb)
30秒未満の瞬発運動において、爆発的に収縮する筋繊維です。トレーニングによって強く筋肥大します。筋トレにおいては6~12回程度の反復で限界がくるような高負荷でトレーニングを行います。
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
▼厚生労働省公式ページ
参照記事:筋トレ目的別の適切な負荷回数設定
細マッチョトレーニングの鍛え方
細マッチョトレーニングでは部位ごとにボリュームアップするのか引き締めるのかを明確に分けてトレーニングしますが、一般的に理想とされる細マッチョ体型になるための部位ごとの適切な1セットあたりの反復回数は以下の通りです。
・大胸筋:ボリュームアップ(15回)
・三角筋:ボリュームアップ(15回)
・上腕三頭筋:引き締め(20回)
・広背筋:引き締め(20回)
・僧帽筋:引き締め(20回)
・上腕二頭筋:ボリュームアップ(15回)
・腹筋群:引き締め(20回)
・下半身:引き締め(20回)
細マッチョになるための二つのアプローチ
痩せ体形かぽっちゃり体形かで異なる
一般的に、細マッチョの基準とされるのがBMI22前後、体脂肪率15%前後ですが、このような体形になるためには現状の自分の体形によって二つのアプローチがあり、それは以下の通りです。
①痩せ体形の場合:まず筋肥大バルクアップ筋トレを行う
②ぽっやり体形の場合:まず引き締めダイエット筋トレを行う
そして、BMI22前後・体脂肪率15%前後の体形の場合、またはトレーニングによってそうなった場合は、筋肉を維持したり、より見栄えのよい形にするために、筋繊維TYPE2aをターゲットにした15回前後の反復で限界がくる負荷回数設定で「細マッチョ筋トレ」を行っていきます。
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細マッチョ筋トレの一週間の組み方
筋肉はトレーニングを行うと筋繊維に微細な損傷を受け、その回復に24~72時間が必要になります。そして、回復するときにはトレーニング前よりも筋密度が向上して回復する特性があり、これを超回復と言います。そして、この超回復を適切に繰り返すことで筋密度を上げていくのが細マッチョ筋トレの基本です。
超回復前に筋肉に負荷を与えてしまうと、筋肉は筋密度が上がるどころか、逆に縮小してしまいますので、いかに超回復を妨げずに高い頻度でトレーニングを行うかがポイントですが、一日に全身全てをトレーニングしてしまうと72時間はトレーニングができないので、週3回程度の頻度で行うのが限界になってきます。
そこで、全身の筋肉をグループごとにローテーションで鍛えていき、超回復を行いながら高頻度でトレーニングをしていくメソッド「部位分割法|スプリットトレーニング」を導入するのがもっとも効率的です。
その分割方法例は以下のようになります。
週一日目:上半身の押す筋肉+体幹部の筋肉
週二日目:下半身の筋肉+有酸素運動
週三日目:上半身の引く筋肉+体幹部の筋肉
この分割法ですと、超回復を妨げず、なおかつ週3回のトレーニングで常に代謝の高い状態も維持することが可能です。
それでは、次の項目からは全身の筋肉部位別の鍛え方・筋トレメニューを解説していきます。
大胸筋のバーベルトレーニング
バーベルベンチプレス
大胸筋・三角筋・上腕三頭筋と上半身の押す筋肉グループ全体に効果の高いのが、筋トレBIG3の一つベンチプレスです。
肩甲骨をしっかりと寄せ、肘がバーの真下にくるようにコントロールして挙上を行うのがポイントです。
また、軽くアーチを作り(ブリッジを作り)行うことで、より効率的なトレーニングが化膿になります。
◆バーベルベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、80cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える
②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる
③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす
④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる
⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
ストリクトに効かせるためには、勢いをつけてシャフトをバウンドさせないようにすることと、腰を浮かせないようにすることが大切です。
なお、ベンチプレスは上半身の押すトレーニング全ての基本となるバーベル筋トレ種目ですので、はじめから自己流でやらず、専門家の正しいやり方・フォームなどを知ってから取り組むことが大切です。
インクラインベンチプレス
バーベルインクラインベンチプレスは大胸筋上部に対して効果の高い種目です。ブリッジを作ると挙上方向が通常のベンチプレスと同様になってしまうので、あまり高いブリッジはおすすめしません。
また、セット終盤で腰を浮かせがちですが、これも大胸筋上部に効果のある軌道からずれることになりますので、ベンチにしっかりと背中をつけて行ってください。
◆インクラインベンチプレスのやり方と動作ポイント
①インクラインベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、80cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える
②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる
③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす
④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる
⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋上部と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
腰を浮かせると、せっかくの大胸筋上部に効果のある軌道が失われますので、最後までしっかりとベンチに腰をつけて行なってください。
デクラインベンチプレス
バーベルデクラインプレスは大胸筋下部に効果的なトレーニング種目です。限界近くでブリッジを強くする(やや腰を浮かせるの)ことでさらに追い込むことが可能です。
また、さらに追い込みたい場合は、大きく腰を浮かせるのも一つの手段ですが、それよりは補助者をつけることをおすすめします。
◆デクラインベンチプレスやり方と動作ポイント
①デクラインベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、80cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える
②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる
③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす
④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる
⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
ワンポイントアドバイス
セット終盤で少しだけ腰を浮かせることで、セルフ補助が可能ですが、はじめから腰浮きありきの重量設定はおすすめしません。
リバースグリップベンチプレス
インクラインベンチがない場合でも大胸筋上部に負荷を加えられるのが、リーバースグリップベンチプレスです。
どうしても、ラックアウトが不安定になりますので、必ずセーフティーバーを用い、できれば補助者をつけて行ってください。
◆リバースグリップベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、60~70cm前後の手幅でシャフトを逆手にグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える
②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる(補助者をつけることを推奨)
③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす
④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる
⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋上部と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
補助者がいない場合は、通常グリップでラックアウトして、いったんシャフトをセーフティーバーの上に置き、グリップを逆手に握りなおしてから行うことをおすすめします。
ワイドグリップベンチプレス
ワイドグリップベンチプレスは大胸筋外側に効果の高いベンチプレスのバリエーションで、通常のベンチプレスより拳一つ分ほど広くグリップ幅をとって行います。
なお、肘を張りだしすぎると肩を痛めるリスクがありますので注意してください。
◆ワイドグリップベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、90cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える
②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる
③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす
④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる
⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
本種目は、肩甲骨の寄せが甘いと、特に肩関節に大きな負担がかかりますので注意してください。
ベントアームプルオーバー
大胸筋全体に縦方向の刺激を与えられるだけでなく、胸郭の拡張にも効果的なのがベントアームプルオーバーです。広背筋ターゲットのストレートアームプルオーバーと違い、肘を曲げるのが大きな特徴です。
大胸筋のトレーニングだけでなく、大胸筋の土台となる胸郭を広げる効果もありますので、大胸筋トレーニングの仕上げとして組み込みたい種目と言えます。
◆バーベルベントアームプルオーバーのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肘を曲げてバーベルを胸の上で構える
②肩甲骨を寄せながら、肘を曲げたままダンベルを頭の後ろに下ろす
③肘を曲げたまま、肩甲骨を開きながらバーベルを上げていく
④ダンベルを元の位置まで上げたら、肘を絞り、やや顎を引いて大胸筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
大胸筋に効かせるためには、動作中常に胸の筋肉の動きを意識するようにしてください。
三角筋のバーベルトレーニング
バーベルショルダープレス
三角筋のバーベルトレーニングの基本となるのがバーベルショルダープレスです。反動を使うと刺激が体幹に逃げてしまうので、立って行うよりも座って行うシーテッドプレスがおすすめです。
また、肘が体幹より後ろにくるフォームで行うと肩を痛めるリスクがありますので注意してください。
◆バーベルショルダープレスのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばし、肩の高さでシャフトをグリップして構える
②背中が丸くならないように視線を上に向け、腕を上に押し出していく
③腕を押し出したら、腕をしっかりと伸ばし三角筋を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
三角筋は背筋や大胸筋に隣接しているため、肩甲骨を動かしてしまうと負荷がそれらの体幹表層筋に逃げてしまいますので、セット中は肩甲骨を動かさないことが大切です。
バーベルアップライトロー
三角筋の筋トレは、大胸筋や背筋群と隣接しているため負荷が体幹に逃げやすく、三角筋を的確に鍛えるのはやや慣れが必要ですが、このバーベルアップライトローはあまりテクニックが必要なく、初心者の方におすすめの方法です。
上体を反らせたり、肩甲骨を寄せて背筋を使ったりしないように意識して行ってください。
◆バーベルアップライトローのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばし、腕を伸ばした位置でシャフトをグリップして構える
②肘を先行させて、肩甲骨を寄せないように気をつけて、バーベルを真上に引き上げていく
③バーベルを肩の高さまで引き上げたら、ウエイトに耐えながら筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肩甲骨を寄せる動作をしてしまうと背筋群に負荷が逃げてしまうので注意してください。
バーベルフロントレイズ
バーベルフロントレイズは数少ないバーベルで三角筋前部を集中的に鍛えることのできる種目です。反動を使ったりのけぞると背筋群に刺激が逃げてしまいますので気をつけてください。
また、膝の屈伸を使っても負荷が全身に分散しますので、直立して行える重量設定をすることが大切です。
◆バーベルフロントレイズのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばし、腕を伸ばした位置でシャフトをグリップして構える
②上半身を反らせないように気をつけ、肘を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せずにバーベルを前に上げていく
③バーベルを肩の高さまで上げたら、ウエイトに耐えながら同じ軌道で元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
上半身を反らせたり、肩甲骨を寄せる動作を行うと負荷が背筋群に逃げてしまうので注意してください。
バーベルリアデルタローイング
バーベルリアデルタローイングは三角筋後部を集中的に鍛えることのできる種目です。通常のバーベルローイングと違い、肘を張り出し、背筋群をできるだけ使わずに胸に向けてバーベルを引き上げます。
腰に不安のある方は、インクラインベンチにうつ伏せにもたれて動作を行うとよいでしょう。
◆バーベルリアデルタローイングのやり方と動作ポイント
①前傾姿勢を作り、腕を伸ばした位置でシャフトをグリップして構える
②肩甲骨を寄せないように気をつけてバーベルを引き上げていく
③バーベルを肩の高さまで引き上げたら、ウエイトに耐えながら同じ軌道で元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肩甲骨を寄せる動作を行うと負荷が背筋群に逃げてしまうので注意してください。
上腕三頭筋のバーベルトレーニング
バーベルナローベンチプレス
上腕三頭筋を鍛えるためのバーベル筋トレの基本となるのがナローグリップでのベンチプレスです。肘を閉じて行うと上腕三頭筋長頭に、やや開いておこなうと内側頭と外側頭に効果があります。
なお、肘を開くフォームではグリップ幅を狭くしすぎると手首関節に負担がかかりますので、肩幅より拳一つ分程度グリップを狭めるにとどめることをおすすめします。
◆ナローグリップベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、60~70cm前後の手幅でシャフトをグリップして構える
②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる
③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす
④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる
⑤しっかりと肘を伸ばし上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
肘を外に張り出すと上三頭筋短頭に、肘を絞って行うと上腕三頭筋長頭に効果があります。
バーベルフレンチプレス
複合関節運動・コンパウンド種目のあとに、上腕三頭筋を追い込むのに最適なのが単関節運動・アイソレーション種目がバーベルトライセプスエクステンション(バーベルフレンチプレス)です。
図のようにベンチに仰向けになって行うとライイング形式はどちらかと言えば上腕三頭筋短頭に効果があります。
上腕三頭筋長頭は肩甲骨と接合しているという特性があり、完全伸展→完全収縮のフルレンジで鍛える場合は、ベンチに座り頭上に肘を上げて行うシーテッド形式のほうが効果的です。
◆バーベルフレンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肘を曲げ、バーベルを顔の上で保持して構える
②肘の位置を動かさないように気をつけて、肘を伸ばしていく
③しっかりと肘を伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肘の位置を動かすと大胸筋に負荷が逃げてしまうので、肘の位置をしっかりと固定して行うことが大切です。
背筋群のバーベルトレーニング
バーベルデッドリフト
背筋群に効果が高く、基本トレーニングと言えるのが筋トレBIG3の一つでもあるデッドリフトです。足を閉じ気味にし外側でバーをグリップする「ルーマニアンデッドリフト」と足を大きく開き内側でバーをグリップする「スモウデッドリフト」の2種類があります。
手足の長い人は前者、短い人は後者が向いています。また、競技ではなくトレーニングとして行う場合は、ルーマニアンデッドリフトのほうがおすすめです。
膝がつま先より前に出ないこと、胸を張り背中を反らせること、やや視線を上にすることが主なポンとです。また、高重量では左右の手を互い違いに保持するオルタネイトグリップがおすすめです。
◆バーベルデッドリフトのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばし、足を肩幅程度に開き、膝がつま先よりも前に出ないようにお尻を突き出し、足の外側でシャフトをグリップして構える
②まずは膝を伸ばす動作で初動を行い、バーベルが床から浮いたら、肩甲骨を寄せながら立ち上がりバーベルを引き上げていく
③バーベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる
④ある程度コントロールした速度で元に戻り、反動を使わずに再びバーベルルを引き上げていく
◆ワンポイントアドバイス
腰を曲げ、背中が丸まった状態で動作を行うと腰に対して大きな負担がかかりますので、視線を上に向け、背すじを伸ばすことを意識してください。
なお、デッドリフトもバーベル筋トレの基本となる種目ですので、はじめから自己流の癖をつけず、専門家による情報を知った上で取り組むことが大切です。
ベントオーバーローイング
広背筋中央部と僧帽筋に効果的なのがバーベルベントオーバーローです。膝がつま先より前に出ないことに留意し、胸を張り背中を反らせるとともに、やや視線を上に向けて行うのが正しいフォームです。
また、バーベルを引いてくる軌道は「太ももをバーこすりながら」引き上げるフォームが正しいやり方になります。
◆バーベルベントオーバーローのやり方と動作ポイント
①前傾姿勢を作り、腕を伸ばした位置でシャフトをグリップして構える
②肩甲骨を寄せながら、太ももにシャフトを沿わせるようにしてバーベルを引き上げる
③バーベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
腰に不安のある場合は、インクラインベンチを使ってうつ伏せに構えると腰への負担が大幅に軽減されます。
バーベルショルダーシュラッグ
僧帽筋を集中的に鍛えることのできるのがバーベルショルダーシュラッグです。肩甲骨を完全に寄せきることで僧帽筋も最大収縮します。
また、バーベルを下ろした時に背中を丸めると、負荷が分散するだけでなく、腰に負担がかかりますので注意してください。
◆バーベルショルダーシュラッグのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばして立ち、肘を伸ばし腕を下ろした位置でシャフトをグリップして構える
②肘を伸ばしたまま肩甲骨を引き寄せてバーベルを引き上げていく
③肩甲骨を引き寄せたら、顎をやや上げて僧帽筋を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肩関節や肘関節を動かしてしまうと、僧帽筋から負荷が逃げてしまいますので肩甲骨を寄せる動作だけに集中して行ってください。
バーベルプルオーバー
大胸筋狙いのプルオーバーと違い、肘を伸ばしてグリップを広くとるストレートアームプルオーバーは広背筋を中心とした背筋群に効果があります。
◆バーベルプルオーバーのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肘を伸ばして胸の上でバーベルを構える
②肘を伸ばしたまま、肩甲骨を開きながらバーベルを頭の後ろに下ろす
③肩甲骨を寄せながら、肘を伸ばしたままでバーベルを元の位置まで上げていく
④バーベルを上げたら、肘を外に張り出し肩甲骨を寄せきって背筋群を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
動作の最後に肩甲骨を寄せて背筋群を収縮させることが大切で、そのためには肘を外に張り出すようなテンションをかけます。
バーベルグッドモーニング
背部インナーマッスルの脊柱起立筋に対して高い効果があるのが、バーベルグッドモーニングです。腹筋よりもその拮抗筋の脊柱起立筋群に効果のある種目です。
おじぎをしている仕草に動作が似ていることから、グッドモーニングの名称がつけられましたが、実際には頭は常に前を向いた状態で行ってください。
なお、脊柱起立筋はインナーマッスルですので、20回程度の反復ができる軽めの重量設定でトレーニングします。
また、反動を使ったり、腰を90度以上深く曲げると腰に強い負担がかかりますので、十分に注意してください。
◆バーベルグッドモーニングのやり方と動作ポイント
①バーベルを肩に担ぎ、背すじを伸ばして構える
②背中を丸めないように気をつけ、上半身を倒していく
③上半身を倒したら、ゆっくりと効かせながら元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
背中が丸くなると腰を痛めるリスクがありますので、前を見て背すじを伸ばした状態を保ってください。また、転倒のおそれがありますので、上半身は90度以上倒さないようにします。
上腕二頭筋のバーベルトレーニング
バーベルカール
上腕二頭筋の基本バーベル筋トレ種目がバーベルカールです。動画のようなEZバーを使うと手首に対する負担が軽減されるのでおすすめです。
本来、肘を曲げる動作には前腕の回旋動作が連動しています。それを直線軌道で真っ直ぐのバーを使って行うと、ねじれ負荷が手首関節に集中します。
直線のバーを使う場合は、手首関節保護のため(回旋動作ができるように)、小指を握り過ぎないようにしてください。
◆バーベルカールのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばして立ち、腕を伸ばした位置で肩幅よりやや狭い手幅でシャフトをグリップして構える
②肘の位置を動かさないように注意し、肘を曲げてバーベルを持ち上げていく
③ベーベルを持ち上げたら、ウエイトに耐えながら筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肘の位置を動かすと僧帽筋に負荷が逃げやすくなりますので、しっかりと肘の位置を固定して行うことが大切です。
バーベルリバースカール
上腕二頭筋とその共働筋の上腕筋および前腕筋群にも効果の高いのがバーベルリバースカールです。この種目もEZバーの使用がおすすめです。
また、限界まで追い込む場合は、握力がなくなりバーベルを落としやすい種目ですので、リストストラップの使用をおすすめします。
◆バーベルリバースカールのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばして立ち、腕を伸ばした位置で肩幅よりやや狭い手幅でシャフトを逆手でグリップして構える
②肘の位置を動かさないように注意し、肘を曲げてバーベルを持ち上げていく
③ベーベルを持ち上げたら、手首を反らせて前腕筋群を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
バーベルを持ち上げたポジションで手首を反らせることで、前腕筋群を強く収縮させることが可能です。
バーベルドラッグカール
本来、アイソレーション種目(単関節運動)であるバーベルカールに肘を引きこむ動きを加え、背筋も動員するコンパウンド種目(複合関節運動)としたのが、こちらのバーベルドラッグカールです。
肘を後ろに引くため、手首へのねじれ負荷を抑えて限界まで上腕二頭筋短頭を追い込むことが可能です。
◆バーベルドラッグカールのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばして立ち、腕を伸ばした位置で肩幅よりやや狭くシャフトをグリップして構える
②肘を後ろに引きながら、肘を曲げてバーベルを持ち上げていく
③バーベルを持ち上げたら、同じ軌道でウエイトに耐えながら筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肘関節を後ろに引くときに肩甲骨を寄せてしまうと負荷が僧帽筋に逃げてしまうので注意が必要です。
下半身のバーベルトレーニング
バーベルスクワット
大臀筋・大腿四頭筋・大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋といった下半身の筋肉全体に非常に効果の高いのが筋トレBIG3の一つでもあり「キングオブトレーニング」とも呼ばれるバーベルスクワットです。
膝がつま先より前に出ないこと、胸を張り背中を反らせること、やや視線を上にすること、斜め後ろにしゃがむことなどが主なポイントです。
◆バーベルスクワットのやり方と動作ポイント
①足を肩幅程度に開き、背すじを伸ばし、バーベルをかついで構える
②膝がつま先よりも前に出ないように気をつけ、お尻を突き出しながらしゃがんでいく
③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
◆ワンポイントアドバイス
椅子に座る要領で動作をすると正しいフォームになります。また、背中が丸くならないように、視線をやや上に向けるのがコツです。
バーベルフロントランジ
バーベルランジはハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)に効果的なバーベルトレーニング種目です。膝がつま先より前に出ないように注意して行ってください。
なお、後ろにした脚に意識を集中し、後ろ脚主働で動作を行うとより強くハムストリングスに負荷をかけられます。
◆バーベルランジのやり方と動作ポイント
①片側の足を前に出し、片側の足を後ろに引き、バーベルかついで構える
②前にした足の膝がつま先よりも前に出ないように、斜め後ろにしゃがんでいく
③前にした足の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
④所定回数を行った後、足の前後をかえて再び同様の動作を行う
◆ワンポイントアドバイス
前にした足を主働で行うと大腿四頭筋に、後ろにした足を主働で行うとハムストリングスに効果があります。
バーベルサイドランジ
太ももの内側にあるインナーマッスルの内転筋群に効果的なのがバーベルサイドランジです。インナーマッスルは高重量で鍛えても怪我のリスクが上がるだけですので、20回程度の高レップ低負荷でトレーニングを行ってください。
◆バーベルサイドランジのやり方と動作ポイント
①足を大きく開き、バーベルをかついで構える
②片側の膝を曲げてしゃがんでいく
③曲げたほうの足の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、伸ばしたほうの足で身体を引き寄せるようにして立ち上がる
④反対側にしゃがんでいく
◆ワンポイントアドバイス
曲げたほうの足を主働で行うと大腿四頭筋に、伸ばしたほうの足を主働で行うと内転筋群に効果があります。
スティッフレッグドデッドリフト
膝をほぼ伸ばした状態でデッドリフトを行うスティッフレッグドデッドリフトは、ハムストリングスを集中的に鍛えることのできるバーベル筋トレ種目です。
高重量を追求するのではなく、軽めの重量でしっかりとハムストリングスのストレッチを行いながら効かせることがポイントです。
◆バーベルスティッフレッグドデッドリフトのやり方と動作ポイント
①足を閉じ、背すじを伸ばし、バーベルを保持して構える
②膝を伸ばしたまま、上半身を前に倒していく
③ハムストリングスに十分にストレッチをかけたら元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
本種目は重量を狙うのではなく、いかにハムストリングスを丁寧にストレッチングさせるかが重要です。
具体的な週3回のバーベル筋トレメニュー
ここからは、具体的な一週間のプログラムメニューを例示していきます。各セット数は目安ですので、体力にあわせて増減してください。また、トレーニングの順番は筋トレの基本的な順序である「複合関節運動」→「単関節運動」または「高負荷トレーニング」→「低負荷トレーニング」の順になっていますので、そのまま実施してください。
週1回目の筋トレメニュー
①バーベルベンチプレスを2~3セット
②バーベルデクラインベンチプレスを1~2セット
③バーベルインクラインベンチプレスまたはバーベルリバースグリップベンチプレスを1~2セット
④バーベルワイドグリップベンチプレスを1~2セット
⑤バーベルショルダープレスまたはバーベルアップライトローイングを2~3セット
⑥バーベルナローベンチプレスまたはバーベルフレンチプレスを2~3セット
⑦バーベルフロントレイズまたはバーベルフェイスプルを1~2セット
⑧腹筋運動
週2回目の筋トレメニュー
①バーベルスクワットを2~3セット
②バーベルフロントランジを2~3セット
③バーベルサイドランジを2~3セット
週3回目の筋トレメニュー
①バーベルデッドリフトを2~3セット
②バーベルベントオーバーローを2~3セット
③バーベルプルオーバーを1~2セット
④バーベルカールまたはEZバーカールを2~3セット
⑤バーベルプリチャーカールまたはバーベルドラッグカールを1~2セット
⑥バーベルリバースカールをを1~2セット
⑦腹筋運動
細マッチョ筋トレメニュー一覧
下半身トレーニングのやり方と組み方
また、トレーニング方法別の細マッチョメニュープログラムについては下記をご参照ください。
チューブ筋トレの細マッチョメニュー
ダンベル筋トレの細マッチョメニュー
なお、最新の筋トレメニュープログラムは下記の記事をご参照ください。
全バーベル筋トレ種目一覧
大胸筋の筋トレメニュー
バーベルベンチプレス
バーベルインクラインプレス
バーベルデクラインプレス
バーベルワイドグリッププレス
バーベルリバースグリッププレス
背筋の筋トレメニュー
バーベルデッドリフト
バーベルベントオーバーロー
バーベルプルオーバー
バーベルショルダーシュラッグ