無酸素運動としてダイエット効果の高い筋トレのなかでも、一度に全身をローテーションしながら鍛えるサーキットトレーニングは有酸素運動の効果も期待できます。そんなサーキット筋トレメニューから、自宅でも行える種目を厳選して具体的プログラムを例示します。サーキットトレーニングはダイエットに抜群の効果を発揮しますので、是非チャレンジしてみてください。
ダイエットには筋トレか有酸素運動か
筋トレのほうが効果的だが有酸素運動もあわせて行うのがベスト
筋トレと有酸素運動のどちらがダイエットに効果的かはよく議論されることですが、結論を言えば、筋トレのほうがダイエットには効果的とされています。
運動中しかカロリー消費が発生しない有酸素運動にくらべ、筋トレは運動後も筋肉痛を回復させるために数日間にわたり新陳代謝のカロリー消費があるからです。
しかし、筋トレだけ行うよりも、当然、有酸素運動も行ったほうがダイエット効果は高くなります。そこで、無酸素運動である筋トレを次々に行うことで有酸素運動の要素もあわせ持つ「サーキット筋トレ」が注目されています。
サーキットトレーニングのやり方
全身を短いインターバルでローテーションする
通常の筋トレでは同一の筋肉部位をまとめてトレーニングしていくため、一つのセットで最大筋力が発揮できるよう、セット間のインターバルは3~5分と比較的長く設定します。この場合、十分に息も整い、脈拍も落ち着くので有酸素運動としての効果はありません。
サーキットトレーニングではセット間のインターバルを30秒程度と短くして有酸素運動の要素も加えるかわりに、同じ筋肉部位を続けてトレーニングせず他の部位の筋トレをローテーションしていくことで、それぞれの筋肉に対しては十分なインターバルを与えていきます。
次の項目では、具体的なサーキットトレーニングのメニュープログラムをご紹介します。
サーキットトレーニングの順番
胸筋群→大腿筋群→背筋群→腹筋群とローテーションしていく
サーキットトレーニングではインターバルこそ短いものの、一つ一つの筋肉部位に対しては十分なインターバルをとります。
そのためには、連動性や拮抗性の高い「胸筋群と背筋群」や「腹筋群と大腿筋群」といった組み合わせを連続して鍛えることを避けるのが一般的です。
具体的には、胸筋群を1セットしたら次は胸筋群と関連性の低い大腿筋群を1セット、その次に大腿筋群と関連性の低い背筋群を1セット、そして背筋群と関連性の低い腹筋群を1セットというふうにトレーニング部位をローテーションしていきます。
また、さまざまな筋トレ種目をサーキットトレーニングに盛り込みたい場合は、必ず複合関節トレーニング(複数の関節と筋肉を使う動作)からローテーションし、仕上げとして単関節トレーニング(単一の関節と筋肉を使う動作)を行うようにします。
筋繊維の種類と負荷回数設定
筋繊維TYPE2b(速筋FG筋)
収縮が速く(Fast)、グリコーゲン(Glycogen)を消費する。30秒以内の瞬発動作で収縮し、鍛えると強く筋肥大する。10回前後の反復回数で限界がくる負荷設定でトレーニングする。筋肥大バルクアップ筋トレのターゲット。細マッチョ筋トレでは基本的には鍛えない筋繊維。
筋繊維TYPE2a(速筋FO筋)
収縮が比較的速く(Fast)、グリコーゲン(Oxygen)を消費する。60秒以内の瞬発的動作で収縮し、鍛えると筋肥大する。15回前後の反復回数で限界がくる負荷設定でトレーニングする。細マッチョ筋トレでのボリュームアップのターゲット。
筋繊維TYPE1(遅筋SO筋)
収縮が比較的遅く(Slow)、グリコーゲン(Oxygen)を消費する。60秒以上の持久動作で収縮し、鍛えると筋密度が向上し引き締まる。20回以上の反復回数で限界がくる負荷設定でトレーニングする。細マッチョ筋トレでの引き締めのターゲット。
サーキットトレーニングは、基本的に痩せるための筋トレ方法ですので、筋繊維TYPE1(遅筋SO筋)をターゲットにして20回以上の反復回数で限界がくるようにしてください。
自宅でできるサーキットトレーニング
自重筋トレとダンベル筋トレでプログラム
それでは、具体的な自宅サーキットトレーニングの例をご紹介します。自重トレーニングとダンベルトレーニングから種目を厳選しましたので、用意するのはダンベルだけです。
表記した数字の順に1セットずつこなしていってください。例示したプログラム通りに行えば、高いダイエット効果が期待できます。なお、各セット間のインターバルは30秒です。ローテーション間のインターバルは3~5分間とり、息を整えてください。
1ローテーション目(自重複合関節トレーニング)
①腕立て伏せ
腕立て伏せは、自宅で器具なしで大胸筋を鍛えられる基本的な自重トレーニングです。
腕立て伏せは、手幅を肩幅よりやや広くとり、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構えます。背中が丸まっていたり、逆にお腹を突き出したフォームだと大胸筋に対する負荷が分散しますので注意してください。
【正しいやり方と手順】
①肩幅よりやや広く手幅をとり、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構える
②肩甲骨を寄せたまま、肘が手の真上になるように身体を下ろす
③身体を押し上げ、最後に顎を引いて大胸筋を完全収縮させる
②スクワット
自重スクワットは自宅で器具なしで、簡単に高負荷で下半身を鍛えられる自重トレーニングです。
自重スクワットは下半身に対して非常に効果の高いトレーニングですが、やり方を間違えると腰や膝を痛めるリスクがありますので、事前に十分にフォーム練習を行ってから取り組んでください。
自重スクワットは、まず胸を張り、背中が丸まらないように背筋を伸ばして構え、そこからしゃがんでいきます。背中が丸まった状態で行うと、腰を痛めるリスクがありますので注意しましょう。
しゃがむときは、膝関節に負担がかからないよう、膝がつま先より前に出ないことを意識し、お尻をやや突き出して斜め後ろにしゃがんでいきます。
【正しいやり方と手順】
①胸を張り、背筋を伸ばして構える
②膝がつま先より前に出ないように意識し、お尻をやや突き出して斜め後ろにしゃがむ
③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、上を向いて立ち上がる
③バックエクステンション
バックエクステンションは、自宅で器具なしで脊柱起立筋を鍛えられる自重トレーニング種目です。
バックエクステンションはうつ伏せになり、構えます。この時に手の置き方により強度がかわり、手を腰のほうに伸ばすと強度が低くなり、手を前方に伸ばすと強度が強くなります。
標準的な強度で行う場合は、動画のように手を頭の後ろで組んでください。
バックエクステンションは反動を使わないのが最大のポイントです。上がるときに息を吐き、ゆっくりと息を吸いながら下ろしてください。
【正しいやり方と手順】
①うつ伏せになり構える
②上半身を起こし、一旦静止する
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
④反動を使わずに、再び上半身を起こしていく
④クランチ&ツイスト
クランチツイストは、腹直筋と腹斜筋を同時に鍛えられる効率的な腹筋自重トレーニングです。
仰向けになり、膝を曲げて構えます。膝を曲げて構えるのは、腰椎への負担を避けるためです。
構えたら、息を吐きながら上半身を起こしていき、完全に上半身を上げきる手前で左右に大きく身体を捻ります。
そして、さらに上半身を起こし、息を吐ききり顎を引いて腹直筋を完全収縮させます。
そこから身体を下ろし、再び上半身を起こしていきますが、この時に腰を反らせて勢いをつけると腰椎に強い負担がかかりますので、折り返し位置では一旦静止し、確実にコントロールした動きで動作を行ってください。
【正しいやり方と手順】
①仰向けになり、膝を曲げて構える
②息を吐きながら上半身を起こしていき、途中で左右に大きく身体を捻る
③上半身を起こしたら、息を吐ききり顎を引いて腹直筋を完全収縮させる
④ゆっくりと元に戻る
⑤反動を使わないように気をつけて、再び上半身を起こしていく
2ローテーション目(ダンベル複合関節トレーニング)
⑤ダンベルプレス
ダンベルプレスは大胸筋全体に効果的な、自宅での胸トレーニングの基本となるウエイトトレーニングです。
ダンベルプレスは、フラットベンチに仰向けになり、肩甲骨を完全に寄せて構えます。
肩甲骨の寄せ方がゆるいと、肩から初動することになり、小さな筋肉である三角筋に過負荷がかかってしまいますので、セット中は常に肩甲骨を寄せて動作を行ってください。
なお、ベンチ類がない場合は床の上で行っても効果はあります。
【正しいやり方と手順】
①肩甲骨を寄せ、ベンチに仰向けになり構える
②ダンベルの真下に肘を置き、ダンベルが肩のラインよりもヘソになるように深く下ろす
③やや顎を引き、ダンベルを押し上げる
④ダンベルを押し上げたら、腕を閉じる動作を加ええ大胸筋を完全収縮させる
⑥ブルガリアンスクワット
ダンベルブルガリアンスクワットは、片足を前に、片足を後ろに置いて行うスクワットのバリエーションです。基本的なフォームのポイントは通常のスクワット同様で、以下の通りです。
・胸を張る
・背中を反らせる
・顎を上げる
・膝をつま先より前に出さない
なお、前足を主体にして動作を行うと、シングルスクワットのように大腿四頭筋に高い負荷をかけられます。
逆に、後ろ足を主体にして動作を行うと、ハムストリングスから臀筋群に負荷を集中させることが可能です。
【正しい動作とフォーム】
①ダンベルを保持し、胸を張り背すじを伸ばし、片足を大きく前に置き、もう片足を後ろにして台などに乗せて構える
②前にした脚の膝がつま先より前に出ないよう斜め後ろに腰を下ろす
③前にした脚の太ももが床と平行になるまで腰を下ろしたら、後ろにした脚に力を入れて立ち上がる
⑦ダンベルローイング
ワンハンドダンベルローイングは背筋群に効果的な基本となる背筋ダンベルトレーニングです。
しっかりと胸を張り、前を見ながら背中が丸まらないように意識して動作を行ってください。
【正しいやり方と手順】
①片手をついて前傾姿勢を作り、もう片手でダンベルをグリップして構える
②肩甲骨を寄せながらできるだけ高くダンベルを引き上げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
⑧ダンベルクランチ
ダンベルクランチは腹直筋に効果的なダンベル腹筋トレーニングです。
まず、仰向けになり、ダンベルを胸の上で保持して構えます。
そこから、上半身を起こして息を吐きながらダンベルを上方へ上げていきますが、上半身を起こすことよりもダンベルを高く上げるイメージで行ったほうが、腹直筋に負荷が集中しやすくなります。
ダンベルを高く上げたら、息を吐ききり腹直筋を完全収縮させてください。この時に、顎をやや引くようにすると、さらに腹直筋が強く収縮して効果的です。
【正しいやり方と手順】
①仰向けになり、ダンベルを胸の上で構える
②息を吐きつつ上半身を起こしながらダンベルを高く上げる
③ダンベルを上げたら、息を吐ききり顎を引き、腹直筋を完全収縮させる
④ゆっくりと効かせながら元に戻り、反動を使わずに再び上半身を起こしていく
3ローテーション目(ダンベル単関節トレーニング)
⑨ダンベルフレンチプレス
ダンベルフレンチプレスはベンチなどに座り、頭の上でダンベル一つを両手で保持して構えます。
そこから、肘を曲げてダンベルを後ろに下ろしていきますが、この時に肘の位置を固定して肩を動かさないようにしてください。
肩関節が動く、つまり肘が前後してしまうとプルオーバー系の動作になり、負荷が大胸筋や広背筋に分散してしまいます。肘を頭の横でしっかりと固定し、肘から先だけで動作を行うようにしましょう。
ダンベルを下ろしたら、肘を伸ばすようにしてダンベルを頭上に押し上げますが、肘を開き気味に構えると上腕三頭筋外側の短頭に、閉じ気味に構えると上腕三頭筋内側の長頭に効果的です。
【正しいやり方と手順】
①ベンチに座り、肘の位置を固定してダンベル一つを両手を保持して頭上に構える
②肩関節を動かさないように気をつけて、ダンベルを後ろに下ろす
③肘を固定して肘から先だけでダンベルを頭上に押し上げる
⑩ダンベルレッグカール
ダンベルレッグカールはベンチにうつ伏せになり、足にダンベルを挟んで構えます。
そこから膝を曲げていきますが、この時に腰を反らせてしまうと負荷が背筋群に分散してしまいますので、上半身は反らさないように注意し、膝から先だけで動作を行ってください。
膝を90度に曲げたら、その位置でつま先を伸ばす動作を加えることで、ハムストリングスが完全収縮して効果が高まります。
また、本種目は膝を曲げる時のコンセントリック収縮(短縮性収縮)だけでなく、膝を伸ばして元に戻る時にもゆっくりとした動作でハムストリングスにエキセントリック収縮(伸長性収縮)を加えることが大切です。
【正しいやり方と手順】
①ベンチにうつ伏せになり、足にダンベルをセットして構える
②上半身を反らさないように注意し、膝から先を曲げていく
③膝を90度まで曲げたら、つま先を伸ばしてハムストリングスを完全収縮させる
④ゆっくりとエキセントリック収縮をかけながら元に戻る
⑪ダンベルカール
ダンベルカールは両手にダンベルを持ち、胸を張り、背すじを伸ばして構えます。
そこから、肘を前後に動かさないように固定して、肩関節が動くのを防ぐとともに、上半身を後ろに傾けないように気をつけてダンベルを持ち上げます。
肩関節が動いたり、上半身を反らせたりすると負荷が僧帽筋に分散してしまいますので、肘の位置をしっかりと固定し、直立姿勢を保って動作を行ってください。
ダンベルを持ち上げた位置で、小指が上を向く方向に前腕を回外回旋させると上腕二頭筋が完全収縮して効果が高まります。
また、本種目はダンベルを持ち上げる時のコンセントリック収縮(短縮性収縮)だけでなく、ダンベルを下ろす時にゆっくりとウエイトに耐えながら、上腕二頭筋にエキセントリック収縮(伸長性収縮)を加えることも大切なポイントです。
【正しいやり方と手順】
①胸を張り、背すじを伸ばし、ダンベルを保持して構える
②肘の位置を動かしたり、上半身を反らせたりしないように気をつけてダンベルを持ち上げる
③ダンベルを持ち上げたら、その位置で前腕を回外回旋させて上腕二頭筋を完全収縮させる
④ゆっくりと効かせながら元に戻る
⑫ダンベルレッグレイズ
ダンベルレッグレイズは腹直筋下部に集中的な効果があるダンベル腹筋トレーニングです。
ダンベルレッグレイズは、仰向けになり、足にダンベルを挟んで構えます。そこから、息を吐きながらダンベルを上げていきます。ダンベルは必要以上に高く上げる必要はなく、角度にして45度程度で十分です。
足を上げたら、息を吐ききるとともに、顎を引いて腹直筋下部を完全収縮させます。そして、足を下ろしていきますが、足を床に着けると腹直筋へのテンションが抜けてしまうので、足は床に下ろさないようにしてください。
足を下ろしたら、そこから再び足を上げていきますが、この時に反動を使ったり、腰を反らせて反復動作を行うと腰椎につい負担がかかりますので、一旦静止してから勢いを使わずに足を再度上げていくようにしましょう。
【正しいやり方と手順】
①仰向けになり、足にダンベルを挟んで構える
②息を吐きながら足を45度まで上げていく
③足を上げたら、息を吐ききり顎を引いてから直筋下部を完全収縮させる
④足をゆっくりと下ろし、床に着く手前で静止する
⑤反動を使わずに再び足を上げていく