アームレスリングの試合で、両者の手がスリップアウトして外れたときに使われるのがストラップです。
ストラップのJAWA・IFA公式ルールにのっとった巻き方を解説するとともに、使い方の技術的なコツについても解説します。
ストラップを使用する状況
JAWA・IFA公式アームレスリングルールでは、以下の場合にストラップを使用します。
①試合前に両者がストラップで試合を始めることを同意した場合
②通常の試合開始後、ニュートラルポジションにて故意によらないスリップアウトが発生した場合
JAWA公式ルールページより引用
8.1.故意によらず握り手がスリップアウトした場合はストラップマッチとなる。
8.2.ストラップ装着の手順は以下の通り
①トーナメントレフリーは選手に肘を置くように「エルボー」と告げる
②トーナメントレフリーは両者の肘の位置を調整して手の高さを合わせる
③アシスタントレフリーはストラップを巻く補助を行う
④トーナメントレフリーは手の甲が自分側にある選手からストラップを巻き始める
⑤トーナメントレフリーはストラップを巻く手首の位置を「アップ」または「ダウン」で選手に確認する(上下幅は手首のラインから1インチ以内)
⑥手首にストラップを巻くときに、トーナメントレフリーはゆるみがないか確認をする
⑦二人目の選手の手首にストラップがまかれた後、ストラップの先端を手首と手首の間をくぐらせる
⑧ストラップの締め付け強度はトーナメントレフリーがコントロールするが、両選手の同意があった場合のみ、さらに締めるまたは緩めることができる
⑨ストラップが巻き終わると、選手はグリップを開始する
ストラップの巻き方
巻き方の手順(公式ルール)
ストラップの公式ルールにのっとった巻き方については、こちらの動画をご参照ください。
要約すると以下の通りです。
①両者の手の平を合わせ「3つのリストストレート」をとる
②親指の間にストラップのバックル側を通す
③レフリーは巻く手首の位置を「アップ」か「ダウン」か選手に確認し、手の甲が主審側の選手から手首にストラップを巻く
④もう片方の選手にも「アップ」か「ダウン」かを確認して手首にストラップを巻く
⑤手首で交差したストラップの中をくぐらせるように先端を通し、バックルに差し込み固定する
IFAによるストラップの巻き方解説
IFA国際アームレスリング連盟によるストラップの巻き方の解説は次のようになっています。
【原文】
In this case POINT A to POINT 2 is longer than POINT B to POINT 2, and POINT C to POINT 3 is far removed from wrist bone. This limits maneuverability to downwards only. While being strapped it’s very important to set your palm as high as possible.
【翻訳】
この場合、POINT AからPOINT 2はPOINT BからPOINT 2よりも長く、POINT CからPOINT 3は手首の骨から遠く離れています。これにより、操縦性は下向きのみに制限されます。ストラップを付けている間は、手のひらをできるだけ高く設定することが非常に重要です。
引用ページ:https://en.armpower.net/training/63/fighting-in-straps
ストラップのコツ
トップロールの場合
写真上段:スタート前
写真下段:スタート後
ストラップを巻いた状態でトップロールを使う場合、スタート前にはヘッド人差し指付け根をできるだけ高く上げてバックプレッシャーをかけます。
スタート後は、手の甲と手首のストラップを引きながら、手首を回内回旋します。これにより、相手の手の平は上を向き、技がかかった状態になります。
通常のトップロールの場合、相手の指先を攻めるようにしますが、ストラップの場合は相手の指先ではなく自身に巻かれたストラップ2箇所(手の甲と手首)を引くようにすることがポイントです。
実際の試合におけるストラップマッチでトップロールが入った写真がこちらです。
※2011年JAWA全日本マスターズ選手権本戦決勝(筆者)
フックの場合
写真上段:スタート前
写真下段:スタート後
ストラップを巻いた状態でフックを使う場合、まず親指を真上に突き上げるようなテンションをかけ、相手の手の平のラインを自分の人差し指付け根ラインよりも下になるように構えます。
ゴーがかかったら、まず手首を回外回旋して相手の手首を下敷きにします。そして、フックが決まったら親指を斜め後ろ上方に向けて立てるとともに、回内回旋のプレッシャーをかけつつ引いていきます。
※ここで紹介した二つのストラップ技術は、いずれもマジョレン氏による理論です。