アームレスリング歴25年の筆者が、長年の選手経験・指導経験・大会運営経験などから感じている「生まれつき腕相撲が強い人」の特徴をまとめました。
腕相撲の技|吊り手と噛み手
腕相撲の強さを論じる上で避けては通れないのが、その典型的な技(テクニック)です。
腕相撲(アームレスリン)には主に2つの技があり、それは一般的な腕相撲にも応用することができます。その技とはトップロール(吊り手)とフック(噛み手)で、それぞれの概要は以下の通りです。
また、典型的な動画も掲載しますので、あわせてご参照ください。
トップロール(吊り手)
トップロール(吊り手)は、肘を支点としてテコの原理で相手の指先を斜め上後方に吊り上げ、さらに回内回旋(手の甲が上を向く方向に捻る)を加えて、相手の指先から肘を伸ばして倒す技です。ちょうど、くぎ抜きのイメージです。
フック(噛み手)
フック(噛み手)は、回外回旋(手の平が上を向く方向に捻る)を加えながら小指の付け根で相手の手首を押さえ込み、斜め下後方に引き倒す技です。ちょうど、雑巾を絞るイメージです。
※アームレスリングの技は多彩で、このほかにも、後方に捻り上げながら上をとるハイフック(上噛み)や、サイドプレッシャーを使って一気に真横に倒すサイドアタック(横倒し)などがあります。
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腕相撲が強い人の特徴1|手が大きい
腕相撲において、手の大きさは圧倒的に有利な素質と言えます。手が大きいと、握った時に指先が相手の手の甲の深くまで届くため、相手にしたら吊り手で攻めるのが非常に難しくなります。
また、防御面だけでなく、攻撃面でも手が大きいと相手の拳全体をコントロールしやすく有利です。
腕相撲が強い人の特徴2|握力が強い
よく「握力は腕相撲の強さに関係ない」と言われますが、実際のところ決してそんなことはありません。
なお、ここで言う握力とは、いわゆる体力測定で計る「握りつぶす力=クラッシュ力」ではなく、「つまむ力=ピンチ力」や「握りを保持する力=ホールド力」のことです。
ピンチ力が強いと、相手の親指をつまんでコントロールしやすくなるため、特に吊り手(トップロール)を使うのに有利です。
また、ホールド力が強いと簡単には吊られませんので、噛み手(フック)にとても有利になります。
なお、握力は鍛えれば強くなりますので、トレーニング努力で向上させることが可能な後天的要素です。
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腕相撲が強い人の特徴3|腕が長い
腕相撲では、一般的に腕の長い人が有利になります。それは、相手の力が出ないようにできる吊り手(トップロール)の強さに直結するからです。
吊り手は字のとおり、相手の指先を斜め後ろ上方に吊り上げる技ですので、綺麗に決めるためには「相手よりも腕が長い」ことが重要です。
なお、腕の長い人は、逆に噛まれた(フックをかけられた)場合は一気に不利となります。
ですので、技を知っている人同士の勝負=アームレスリングの試合においては、腕の長さが圧倒的な有利とはなりませんが、技の知識がない素人同士の腕相撲では腕の長さは強さに比例します。
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腕相撲が強い人の特徴4|手首が強い
腕相撲(アームレスリング)は「前腕のスポーツ」と呼ばれることもあように、手首の強さ=前腕の筋力が非常に重要です。
具体的には以下のようになります。
トップロールに必要な手首の強さは、相手を吊り上げるためのヘッドの力=外転(橈屈)力およびロールして相手の手首を返す力=回内回旋力です。
フックに必要な手首の強さは、手首を巻き込むストロークの力=屈曲(掌屈)力および相手の手首を押さえ込むための回外回旋力です。
トップロール・フックそれぞれに必要となる手首の力の源となるのが、トップロールでは腕橈骨筋(わんとうこつきん)、フックでは前腕屈筋群です。
なお、前腕の筋力も鍛えれば強くなりますので、トレーニング努力で向上させることが可能な後天的要素です。
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