腕相撲(アームレスリング)において、効率的に勝ち、なおかつ肩が痛くならない(痛めない)ために最適な構え方・肩の固定方法について解説します。
アームレスリングの主な2つの技
アームレスリングには主に2つの技があり、それは一般的な腕相撲にも応用することができます。その技とはトップロール(吊り手)とフック(噛み手)で、それぞれの概要は以下の通りです。
また、典型的な動画も掲載しますので、あわせてご参照ください。
トップロール(吊り手)
トップロール(吊り手)は、肘を支点としてテコの原理で相手の指先を斜め上後方に吊り上げ、さらに回内回旋(手の甲が上を向く方向に捻る)を加えて、相手の指先から肘を伸ばして倒す技です。ちょうど、くぎ抜きのイメージです。
フック(噛み手)
フック(噛み手)は、回外回旋(手の平が上を向く方向に捻る)を加えながら小指の付け根で相手の手首を押さえ込み、斜め下後方に引き倒す技です。ちょうど、雑巾を絞るイメージです。
※アームレスリングの技は多彩で、このほかにも、後方に捻り上げながら上をとるハイフック(上噛み)や、サイドプレッシャーを使って一気に真横に倒すサイドアタック(横倒し)などがあります。
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全身の力を伝えるためには肩を固定
腕相撲やアームレスリングで勝つためには、全身の力を手に集中させる必要があります。そのためには、下半身から発生する力を体幹で増幅し、肩関節や肘関節といった可動部分でロスをしないようにする必要があります。
このため、肩関節と肘関節は終始固定して動作を行うのが基本です。
これは、トップロール・フック・サイドアタックなどの技の種類を問わずに共通事項です。
肩の最適な固め方
トップロールは内側・フックはやや外側
肘を固定するためには、肘は肩よりも内側において固定する必要があります。
そして、使う技の種類によって、前腕が回旋がしやすい位置、つまりトップロール(吊り手)なら内側(肘がへその近く)で固定し、フック(噛み手)ならそれよりもやや外側で固定するのが最適です。
肩の固定に使う筋肉
腕相撲における肩の固定に使われる主な筋肉と作用は以下の通りです。
①広背筋
肩関節の内転(腕を閉じる)・内旋(腕を内に捻る)・伸展(腕を後ろに引く)
②大円筋
広背筋の深層に位置するインナーマッスルで同様の作用を持つ補助筋
③大胸筋
肩関節の内転(腕を閉じる)・内旋(腕を内に捻る)・水平内転(腕を閉じる)
※このほかに伸展(腕を前に出す)作用もあります。
④三角筋前部
内転(腕を閉じる)・内旋(腕を内に捻る)
⑤三角筋後部
肩関節の内転(腕を閉じる)・伸展(腕を後ろに引く)
※三角筋は前部・中部・後部に分けられ肩関節の多様な動き(内転・外転・伸展・屈曲・内旋・外旋)の作用を持ちますが、腕相撲に主に関与するのは上記の作用です。