腕相撲(アームレスリング)では引く力がとても大切ですが、技によって引き方が全く異なります。本記事では、トップロール(吊り手)とフック(噛み手)それぞれの引き方とその力の入れ方を解説します。
真後ろに引くわけではない
初心者の方が誤解している引き方が「真後ろに引く」というものですが、これだと相手の力のほうが上回っている場合、有利になるどころか「自分の肘を自分で伸ばす(開く)」ことになってしまい完全に不利です。
また、力任せに後ろに引くやり方は、筋力差が大きい場合では通用しますが、技でも何でもなくただの力比べになってしまいます。
腕相撲を競技化したアームレスリングには、大きくはトップロール(吊り手)とフック(噛み手)と呼ばれる二つの技があり、それぞれに引き方が違います。
そして、その引く力はテクニックですので、当然「自分に有利で相手に不利」なように力が作用します。
腕相撲の技の二種類
トップロールとフックとがある
腕相撲やアームレスリングには、てこの原理で相手の指先を吊り上げて倒すトップロールと、自分が有利な位置に手首を巻き込んで倒すフックとがあります。
この二つの技で引き方が異なってきますので、まずはその技の特性を知ることが重要です。
トップロールとフックの技の特長については、下記の記事で具体的に動画をまじえて解説していますので、そちらをご参照ください。
※トップロールとフックの両方の特性を併せ持つサイドアタックという技もあります。
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トップロールの引く力
トップロールの引く力は「テコの原理」です。つまり、図のように肘を支点として身体全体を下方に落とし、その結果相手の指先を吊り上げるようにして、斜め上後方に引きます。
これにより、相手の指先は伸びてしまい、力が発揮できない状態になりますので、そのまま回旋動作(回内回旋|自分の手の甲が上になる方向に回す)を加え、さらに相手の指と肘を伸ばしてから倒します。
トップロールの引く力を鍛える器具
トップロールハンドル
トップロールハンドルはアームレスリングの吊り手に重要な「ヘッドの筋力」および「親指の壁の力」を鍛えるためにデザインされたトレーニング器具で、これらの重要部位に集中的な負荷が加わるように卵形にデザインされています。
JAWA所属のアームレスリング選手による使用方法の解説動画がこちらです。あわせて、ご参照ください。
トップロールハンドルは、人差し指付け根付近に集中的な負荷を加えることが可能です。
▼入手方法
フックの引く力
フックの引く力は「背中の力」です。これは、一般的にイメージされている「腕の力で引く」のとは大きく異なります。
具体的には、前腕を回外回旋(手の平が上を向く方向に回す)させつつ、自分の小指側で相手の手首を押さえつけ(下敷きにして)、肘の角度はそのままで背中の筋力で相手の手を引き下げて力が出ない状態にします。
雑巾を絞る動作にイメージが似ていることから、アームレスリングの世界では「絞る」とも呼ばれる引き方です。
なお、フックという技は非常にバリエーションが多く、この説明の引き方はいわゆる「下噛み」と呼ばれる技のやり方です。
トップロールのようにテコの原理を使い、肘を支点に斜め上後方に拳を突き上げるようにする噛み方や、サイドプレッシャーを使って真横にスライドする噛み方などもあります。
フックの引く力を鍛える器具
フックハンドル
フックハンドルは海外では「デボンララット・ハンドル」と呼ばれており、アームレスリングの神様と言われる世界チャンピオン、デボン・ララット選手の考案で開発されたトレーニング器具です。
こちらは、JAWA所属選手によるフックハンドルを使った実際のトレーニング動画です。
通常の握り方で小指側を集中的に鍛えられるほか、上下逆にグリップすることで高い位置でのフック強化=トップロール対策にもなります。
▼入手方法