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ゴールドジムのグッズは多くのトレーニー(特に初心者~中級者)に人気がありますが、そのなかでも個人的に「これはどうなんだろう?」と常々感じているリストラップについて、実際の強度比較実験の結果を踏まえて個人的感想を述べたいと思います。
リストラップって何に使うの?
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リストラップには大きく分けて2つの使い方があると考えています。一つはもうみなさんご存じの手首の保護、もう一つはベンチプレスを斜め軌道で挙上するため、です。
筆者のバックボーンは「前腕のスポーツ」とも呼ばれるアームレスリングなので、前者の「手首の保護」目的でリストラップを使うのはあまり推奨していません。自身が扱う重量に対して、手首がグラつかない程度の前腕の筋力は「鍛えてつけよう」と考えており、所属選手にもそう指導してきました。
逆に、手首のサポート目的でリストラップを常用していると、いつまでたっても前腕が強くなりません。普通のトレーニングはリストラップを使わず、トレーニングの中で前腕の筋力を自然とつけていくのが効率的です。
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一方、ベンチプレスの斜め軌道挙上に関しては、がらりと考え方(リストラップの使い方自体)が変わります。
上の写真はベンチプレス世界チャンピオンの奥谷氏による実演ですが、このように完全に手首を曲げ、リストラップに手首の保持を預けて挙上を行います。
この場合、屈強なリストラップが絶対に必要です。
▼競技技術情報
この観点から考えた場合、ゴールドジムのリストラップは残念ながら全く使い物になりません。短すぎて薄すぎます。
斜め挙上ベンチプレスに使おうとすると、おそらく100kg以下でしか使えないと思います。
もちろん、一般的なトレーニング種目での手首補助(手首を真っ直ぐに保つなら)には十分使えるとは思いますので、誤解しないようにお願いします。
と言っても、どうせ手首補助に使うのなら、高重量ベンチ用のリストラップを使った方がサポート力は桁違いですが。
さて、ここまで記載したことが本当にそうなのか、これまでの実験結果を添えて解説します。
ゴールドジムのリストラップは短い?
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一般的なリストラップの長さは60cmですが、ゴールドジムのものは45cmしかありません。なので、サポート力も高重量用リストラップに比べるとかなり落ちます。
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上の写真はゴールドジムのリストラップと当サイト運営ショップオリジナルのリストラップの強度試験をしたものです。
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実験での伸び率を見るとおわかりいただけるように、2つのリストラップの強度はほぼ同等です。
しかしながら、この強度レベルのタイプを45cmで販売するのもちょっと心細いかなと思いますので、当ショップのものは長さを60cmにして強度を底上げしてます。
これでも、ベンチプレス斜め挙上だとせいぜい100kgまでで限界かなと考えています。
ゴールドジムのリストラップは薄い?
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※同一条件で比較するためLARA★STAR製リストラップは60cmを切り詰めて45cmにしています。
次に、ゴールドジムのリストラップは薄い(弱い)のか、ということを検証するために、当ショップで取り扱っているLARA★STAR製の高重量ベンチ用リストラップと強度比較実験を行いました。
ちなみに、厚みはうまく写真がとれませんでしたが、相当レベル違います。実際、筆者自身さまざまなメーカーのリストラップを毎日梱包発送していますので、リストラップの厚みは手が覚えていますが、正直、ゴールドジムのリストラップはかなり薄いです。
では、実際に5kgのウエイトを取り付けてみましょう。
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当然ですが、こうなります。
LARA★STAR製のリストラップは「マジでガチガチの高重量仕様(200kg以上の設計)」なので、比べるのがそもそも厳しいという話ではありますが。
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さらに実験は続きます。
IPF(世界パワーリフティング協会)公認のONI鬼リストラップ(左端)との比較です。ついでに格安普及品(右端)も比較しました。
やはり、当然こうなります。
ちなみに、鬼リストラップはやや軟らかめの設計なので、先ほどのLARA★STAR製のものよりは伸びていますが、この辺は好みと使用重量によりますので、どちらが良いかはなかなか断言できません。
が、いずれにせよ、真ん中と右端のリストラップは高重量ベンチプレスには使えません。
なお、鬼リストラップのなかでも最強仕様の鬼リストラップXXは、結果が当たり前すぎて比較試験はしていません。
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でもゴールドジムリストラップはかっこいい!
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今回は、正直な事、というか一目瞭然の実験結果写真付きの解説なので、あまり上手くゴールドジムのリストラップを褒めることができませんでしたが、やっぱりそれでもゴールドジム。かっこいいですね。もう、それでけで十二分なメリットがあると思います。高重量ベンチプレスにこだわらなければ、ゴールドジムのリストラップがお洒落でおすすめです。