女性のボディメイクのための筋トレで大切なのが、それぞれの筋肉部位別の負荷重量・回数設定です。一般的に女性らしく美しいとされる身体を基準として、それぞれの筋肉にかける理想的な負荷について解説します。
厚生労働省のダイエットに関する記載
ダイエットの意味
ダイエットという言葉の意味は、本質的には適切な食事管理を指しますが、日本では「痩せること」と同じように使われています。
本来、英語の「diet」は日常的な食事・食べ物を意味します。日本では食事の量や種類を制限する食事療法のほかに、エクササイズや運動をして減量し、痩せた体型を目的とする「痩身」と同義に使われています。
一般的なダイエットは、身体活動などで消費するエネルギーよりも、食事で摂取するエネルギーを少なくすることで体重を減らします。一日の基礎代謝量は、成人男性約1,500キロカロリー、成人女性で約1,150キロカロリーです。
健康的なダイエット
ただ痩せるだけのダイエットはけっして健康的とは言えません。あくまでも、健康的な生活を前提に食事管理・運動管理を行うべきです。
食生活や生活習慣が多様化した現在では、過食や運動不足による「肥満」や「メタボリックシンドローム」がある一方で、不健康なダイエットなどによる「やせ」も社会問題となっています。楽しく健康でいきいきと過ごすためには、適切な体重の認識と体重管理が大切です。
多くの若い女性が持つ「やせ願望」やダイエット指向。実はその多くの者がやせる必要がないのに、偏った食生活を送ったり極端なダイエットを繰り返しています。若い女性の「やせ」は多くの健康問題のリスクを高め、さらに若い女性や妊婦の低栄養問題は「次世代の子ども」の生活習慣病のリスクを高めると危惧されています。
全身の筋肉の名前と作用
筋トレでトレーニングしていく全身の主な筋肉は、その作用によって4つのグループに分けられます。それぞれのグループに入る筋肉と具体的な作用は以下の通りです。
正しくダイエットを行い、美しくボディーメイクをしていくために基本的で大切な知識ですので、是非この機会に覚えてください。
上半身の押す筋肉のグループ
大胸筋(胸の筋肉)
大胸筋は胸の筋肉で、腕を前に押し出したり、腕を前で閉じる作用があります。バストの土台となる筋肉ですので、女性の胸回りのボリュームアップに重要な筋肉部位です。
三角筋(肩の筋肉)
三角筋は肩の筋肉で、腕を上・前・横・後ろに上げる作用があります。肩周りをすっきりさせたり肩こりの予防・解消に重要な筋肉部位です。
上腕三頭筋(二の腕後側の筋肉)
上腕三頭筋は二の腕後ろ側の筋肉で、肘を伸ばす作用があります。腕の中でもっとも体積が大きいので、二の腕を引き締めるのに重要な筋肉部位です。
上半身の引く筋肉のグループ
広背筋(背中側部の筋肉)
広背筋は背中の側部の筋肉で、腕を上や前から引き寄せる作用があります。上半身の中でもっとも体積が大きいので、鍛えることで全身の基礎代謝も向上します。
僧帽筋(背中中央の筋肉)
僧帽筋は首の後ろから背中中央部の筋肉で、腕を下から引き寄せる作用があります。肩こりの解消や予防に重要な筋肉部位です。
上腕二頭筋(二の腕前側の筋肉)
上腕二頭筋は二の腕前側の筋肉で、肘を曲げる作用があります。二の腕をすっきりと細くするために重要な筋肉部位です。
体幹の筋肉グループ
脊柱起立筋(背すじの筋肉)
脊柱起立筋は背すじの筋肉で、体幹を伸ばす作用があります。猫背を予防・解消し、美しい姿勢を作りために重要な筋肉部位です。
腹筋群(お腹の筋肉)
腹筋群はお腹の筋肉で腹直筋・腹斜筋・腹横筋から構成され、体幹を曲げたり捻ったりする作用があります。お腹を引き締めくびれを作るために重要な筋肉部位です。
下半身の筋肉グループ
大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)
大腿四頭筋は太もも前側の筋肉で、膝を伸ばす作用があります。太もも引き締めに重要なだけでなく、人体で最大の体積があるため、トレーニングすることで全身の基礎代謝が大きく向上します。
ハムストリングス(太もも後ろ側の筋肉)
ハムストリングスは太もも裏側の筋肉で、膝を曲げる作用があります。お尻の筋肉と強い連動性を持つので、ヒップアップに重要な筋肉部位です。
内転筋群(内ももの筋肉)
内転筋群は内ももの筋肉で、脚を閉じる作用があります。内ももの引き締めに重要な筋肉部位です。
臀筋群(お尻の筋肉)
臀筋群はお尻の筋肉で、大臀筋・中臀筋・小臀筋の三層構造をしており、脚を後ろに上げる作用があります。ハムストリングと同時に鍛えることでヒップアップに重要な筋肉部位です。
下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)
下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉で、つま先を伸ばす作用があります。ふくらはぎの引き締めに重要な筋肉部位です。
厚生労働省による筋肉に関する記載
骨格に沿って付いている筋肉のことで、その収縮によって身体を支え、動かしています。
一般的には単に筋肉という場合、この骨格筋のことを指します。自分の意志で動かすことができることから随意筋とも呼ばれ、組織上は横紋筋という種類になります。
これに対し内臓筋は平滑筋であり、自由に動かせるわけではないので不随意筋であるといえます。引用:eヘルスネット「骨格筋」
ボディメイクのための負荷回数設定
美しく綺麗に身体を引き締めたり、出したい部分をボリュームアップしてボディーメイクをしていくのに重要なのが、トレーニングする部位と目的(スリムダウンorボリュームアップ)によって、筋トレの負荷と回数を正しく設定することです。
目的別に最適な反復回数でターゲットにする筋繊維を鍛える
筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
遅筋(遅筋繊維Ⅰ)
持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。
パワー系スポーツ目的以外の多くの女性にとって、ムキムキにならないためにも刺激をしないほうがよい筋繊維です。
速筋(速筋繊維Ⅱa)
持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。
胸回りのボリュームアップやヒップアップなど部分的にボリュームを上げてボディメイクする場合に鍛える筋繊維です。
速筋(速筋繊維Ⅱb)
瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。
二の腕・背中・お腹・太ももなどをすっきりとダイエットしていくのに鍛える筋繊維です。
厚生労働省による筋繊維に関する記載
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。老化が早く、20歳前後から急速に衰えるといわれています。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。年齢を重ねても衰えにくいといわれています。骨格筋の収縮は、筋繊維の中にあるアデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれる化合物が分解してリン酸基がひとつはずれ、アデノシン二リン(ADP)になるときに発生するエネルギーを利用しています。
女性ボディメイク筋トレの部位別負荷設定
以上のことから、女性のボディメイク筋トレにおける各筋肉部位別の理想的な負荷設定は以下の通りです。
大胸筋:15回前後で限界がくる負荷
三角筋:20回前後で限界がくる負荷
上腕三頭筋:20回前後で限界がくる負荷
広背筋:20回前後で限界がくる負荷
僧帽筋:20回前後で限界がくる負荷
上腕二頭筋:20回前後で限界がくる負荷
腹筋群:20回前後で限界がくる負荷
大腿四頭筋:20回前後で限界がくる負荷
ハムストリングス:15回前後で限界がくる負荷
臀筋群:20回前後で限界がくる負荷
内転筋群:20回前後で限界がくる負荷
下腿三頭筋:20回前後で限界がくる負荷