女性が自宅で健康的に痩せるためのダイエット運動メニューを、無酸素運動(筋力トレーニング)および有酸素運動から抜粋してご紹介します。あわせて、それらの運動の標準的な消費カロリーについても解説します。
なお、ダイエット本来の意味は、ただ痩せる(体重減少)という意味ではなく、健康的に筋密度や筋量を増加させ、基礎代謝の高く体脂肪率が適切な体型・体質を目指すことであり、それが確実に健全で美しい身体になるための正しい手法です。
本記事での「ダイエット」はこれらのような認識・意味で表記しています。
厚生労働省によるダイエットに関する記載
一般的なダイエットは、身体活動などで消費するエネルギーよりも、食事で摂取するエネルギーを少なくすることで体重を減らします。一日の基礎代謝量は、成人男性約1,500キロカロリー、成人女性で約1,150キロカロリーです。
極端に摂取量を制限したり特定の食品のみを摂取する偏ったダイエットは、一時的には体重の減量が期待できますが、ストレスがたまるうえに必須栄養素の摂取量が不足し
(中略)
規則正しい生活を送り、食事ではエネルギー量(カロリー)を計算して、決して無理な状態とならないように調整しつつ、適度な運動を長く続けることが、ダイエットを成功させる秘訣です。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html
厚生労働省によるダイエット運動に関わる記載
フィットネスとは元来は体力という意味ですが、近年は健康の維持・増進を目指して体組成(体脂肪率)の正常化・心肺機能の向上・筋力強化・筋持久力や柔軟性の向上などを行う運動のことを表すようになりました。
主な運動として、ジョギング・水泳・エアロビクスダンス・ウォーキング・サイクリング・筋肉トレーニング・ヨガ・ティラピス・ストレッチングなどがあります。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-078.html
ダイエット運動の2種類
運動には大きく2種類があり、それは無酸素運動と有酸素運動です。
前者はグルコースをエネルギー源とし、後者は脂肪酸をエネルギー源としています。
主に、この違いは運動において主たる収縮をする筋繊維のタイプによって起こります。
有酸素運動とは
有酸素運動(ゆうさんそうんどう、Aerobic exercise、Cardio workout)とは、好気的代謝によってヘモグロビンを得るため長時間継続可能な軽度または中程度の負荷の運動をいう。
有酸素運動では、体内の糖質や脂肪が酸素とともに消費される。 これに対して、酸素を消費しない方法で筋収縮のエネルギーを発生させる運動を無酸素運動(むさんそうんどう; Anaerobic exercise)という。
筋力トレーニングとは
筋力トレーニング(きんりょくトレーニング)とは、骨格筋の出力・持久力の維持向上や筋肥大を目的とした運動の総称。目的の骨格筋へ抵抗(resistance)をかけることによって行うものは、レジスタンストレーニングとも呼ばれる。抵抗のかけ方にはさまざまなものがあるが、重力や慣性を利用するものや、ゴムなどによる弾性を利用するもの、油圧や空気圧による抵抗を用いるものが一般的である。重力による抵抗を利用する場合は特に、ウエイトトレーニングとも呼ばれる。
ウエイトトレーニングとは
ウェイトトレーニング(Weight Training)は、筋力トレーニングの1種目。バーベル、ダンベル、マシンまたは自重などを使い筋肉に負荷をかけ体を鍛えるトレーニング。主に筋力の増大、またはそれに伴う筋肉の増量などを目的とするトレーニングの総称。
狭義にはバーベルやダンベル、専用のトレーニングマシンを使用したトレーニングであり、広義にはそれに自重を利用したトレーニングも含む。
筋繊維の種類と無酸素運動・有酸素運動
骨格筋は、筋繊維が束状になって構成されていますが、その筋繊維には大きく「遅筋」と「速筋」があり、速筋は「速筋繊維Ⅱa」と「速筋繊維Ⅱb」に分けられます。それぞれの特性と筋力トレーニングでの負荷設定は以下の通りです。
遅筋(遅筋繊維Ⅰ)
持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。
持続的な有酸素運運動で鍛えられるほか、筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱa)
持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。
やや持続的かつ瞬発的な有酸素運動で鍛えられるほか、筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱb)
瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。
瞬発的な有酸素運動で鍛えられるほか、筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。
厚生労働省による筋繊維に関する記載
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-026.html
厚生労働省による運動に関する記載
ヒトが生命を維持するためには、生体内においてエネルギーを作り出すことが必要です。有酸素性エネルギー代謝は、そのエネルギー生成過程のひとつの経路で、主に脂肪酸をエネルギー源として利用します。このエネルギー代謝は、運動中においても重要な働きをしています。運動時には運動強度や運動時間により、無酸素性エネルギー代謝と有酸素性エネルギー代謝が、シーソーの関係でエネルギー源を供給しています。無酸素性エネルギー代謝では、グルコースが主なエネルギー源として利用され、有酸素性エネルギー代謝では、脂肪酸が主なエネルギー源として利用されます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-001.html
カロリー消費の2種類
運動に関わるカロリー消費には、大きく運動によるもの(運動エネルギー)と新陳代謝など非運動性身体活動によるもの(代謝エネルギー)があり、一般的な生活においては、その比率は運動エネルギー:代謝エネルギー=1:2とされています。
もちろん、意識的に運動を実施することで運動エネルギーの占める割合は上昇します。また、筋トレに代表される無酸素運動を実施した場合、筋繊維の受けたダメージを回復させるために基礎代謝エネルギーが大きく上昇します。
厚生労働省によるエネルギー代謝に関する記載
身体活動によるエネルギー消費は、運動によるものと、家事などの日常生活活動が該当する非運動性身体活動によるものの、大きく2つにわけることができます。個人差がありますが標準的な身体活動レベルの人の総エネルギー消費量(24時間相当)のうち、身体活動によって消費するエネルギー量は約30%を占めます。総エネルギー消費量(24時間相当)は、大きく基礎代謝量(約60%)・食事誘発性熱産生(約10%)・身体活動量(約30%)の3つで構成されています。そのうち、基礎代謝量は体格に依存し、食事誘発性熱産生は食事摂取量に依存するため、個人内での変動はあまり大きくありません。総エネルギー消費量が多いか少ないかは、身体活動量によって決まります。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html
それでは、ここからは各種の有酸素運動と代表的な無酸素運動(筋力トレーニング)をご紹介していきます。
①ウォーキング(有酸素運動)
30分で100~160kcalの消費
ウォーキングはもっとも手軽で誰でも取り組める有酸素運動です。有酸素運動としての効果を期待する場合は、息の上がらない程度の強度で30分以上の持続的な継続が必要です。
ウォーキングは外で行うことが一般的ですが、天候に左右されることや時間帯によっては女性にはリスクがあるため、自宅でのウォーキングマシンでの実施も盛んになってきています。
②ジョギング(有酸素運動)
30分で150~250kcalの消費
ジョギングはウォーキングよりも強度が高く、30分あたりの標準的な運動消費カロリーも1.5倍ほどになります。運動の苦手な方は、まずはウォーキングからはじめ、身体が慣れるにしたがってジョギングへと移行するのも一つの手段です。
ウォーキング同様、自宅でのジョギングマシーン(ランニングマシーン)での実施も普及してきています。
③サイクリング(有酸素運動)
30分で100~200kcalの消費
サイクリングはウォーキングやジョギングに比べ、膝関節や股関節への負担が少なく、より長時間の実施が可能なことが特徴です。また、身体への負担が少ないことから継続的な実施にも有利とされています。
天候をはじめとした外的要因に左右されず実施するためには、自宅用のエアロバイクの使用が有効です。
④なわとび(有酸素運動)
30分で200~500kcalの消費
なわとび運動はかなり強度の高い有酸素運動で、その30分あたりの運動消費カロリーもウォーキングの2~3倍になります。標準的な女性のダイエット運動として実施する場合は、息があまりあがらない程度に、インターバルをはさみながら断続的に30分以上行うと効果的です。
また、室内で行っても音が出ず、また床へのダメージのない「エアー縄跳び」などの用具も普及してきています。
⑤トランポリン(有酸素運動)
30分で100~160kcalの消費
トランポリンは単位時間あたりの運動消費カロリーがウォーキングとほぼ同様で、楽しみながら運動に取り組めることから、近年人気が上昇しており、家庭用の小型トランポリンなども流通しています。
⑥階段のぼり
30分で200~400kcalの消費
階段のぼりは強度の高い有酸素運動で、その30分あたりの運動消費カロリーもウォーキングの2~3倍になります。
一般的な女性のダイエット運動として実施する場合は、息が上がりすぎず、心拍が下がりすぎずの運動量に調整するため、適度なインターバルをはさみながら断続的に行うとよいでしょう。
⑦ジャンプ運動(有酸素運動)
30分で200~500kcalの消費
ジャンプ運動もかなり強度の高い有酸素運動で、その30分あたりの運動消費カロリーはウォーキングの2~3倍にもなります。具体的には30秒間ジャンプを続け、60秒間インターバルをとるのを1セットとし、10~20セットを実施します。
なお、ジャンプの仕方を「閉脚ジャンプ」「開脚ジャンプ」「前後ジャンプ」「左右ジャンプ」などと変えていくことで、下半身の筋肉に多角的な負荷を加えられる筋力トレーニング効果を加味していくことも可能です。
自宅での有酸素運動器具
自宅での使用に適した各種の有酸素運動器具に関しては、下記の記事で試用レポートを行っています。
筋トレと筋繊維の超回復
続いて無酸素運動(筋力トレーニング)について解説していきますが、筋力トレーニングと切り離すことのできない「超回復理論」について解説します。
運動を行い筋繊維に負荷をかけると、筋繊維はわずかな裂傷を負い、一定の回復期間の後にトレーニング前よりも強く・太くなって回復します。この生体反応を「超回復」と呼びます。
筋繊維に対する負荷としては、筋力トレーニングに代表される無酸素運動のほうが有酸素運動よりも高い傾向にあり、超回復とそれに必要な代謝エネルギーの発生量は前者のほうが高いとされています。
なお、筋力トレーニングとは、計画的に超回復を繰り返すことにより筋肉を強くしていく行為です。
厚生労働省による超回復とトレーニング頻度に関する記載
筋肉には疲労からの回復の時間が必要です。レジスタンス運動は標的の筋肉に負荷を集中する運動ですから、その筋肉に十分な回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があります。毎日行うのではなく、2-3日に一回程度、週あたり2-3回行うくらいの運動頻度が推奨されます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html
筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-092.html
⑧自重トレーニング(無酸素運動)
自重トレーニングはウエイト器具を使わないため、一般的に「ウエイトトレーニングではない」と誤解されており、さらには「毎日行ってもよい」と考えられがちですが、実際には「Self Weight Training」=「自分の体重をウエイトに使ったトレーニング」なので、他のウエイトトレーニングと同様に、超回復理論に沿ったプログラムで実施する必要があります。
また、自重トレーニングは筋トレに初めて取り組む初心者の方にとっては簡便で、筋力トレーニングの入門としては良い方法ですが、ウエイト器具を使ったフリーウエイトトレーニングやマシントレーニングほどの負荷を筋肉に加えるのは不可能ですので、本格的な筋力トレーニングとしては不向きです。
⑨ダンベルトレーニング(無酸素運動)
ダンベルトレーニングは、自宅でも本格的なフリーウエイトトレーニングが実施できる優れた方法です。また、複数の筋肉を同時に使う「複合関節運動・コンパウンド種目」だけでなく個別の筋肉だけを鍛えられる「単関節運動・アイソレーション種目」が豊富なことも大きなメリットです。
ただし、「上から引く動作」のトレーニングがないため、広背筋のトレーニングは懸垂系の自重種目やトレーニングチューブで代替えする必要があります。
⑩チューブトレーニング(無酸素運動)
チューブトレーニングはダンベルのように収納に場所をとらず、手軽なことから近年人気のトレーニング方法です。
基本的にはダンベルトレーニング同様に、複合関節接種目だけでなく単関節種目も豊富なことが特徴で、さらにダンベルでは実施できない「上から引くトレーニング」が可能なことが大きな特徴です。
⑪体幹トレーニング(無酸素運動)
フロントプランクに代表される静的な筋力トレーニングである体幹トレーニングは、ここまでご紹介したような動的な筋力トレーニングに比べるとインナーマッスルを集中的に鍛えることができることが特徴です。
動的な運動に苦手意識の強い方でも取り組みやすく、また、運動量に対して比較的効果の高い運動方法と言えます。
▼詳しい体幹トレーニングメニュー
簡単自宅体幹トレーニング|インナーマッスルを鍛えるダイエット方法
⑫バランスボールトレーニング(無酸素運動)
バランスボールトレーニングは、運動の苦手な女性でも楽しみながら取り組め、通常の筋力トレーニングで鍛えるアウターマッスルと体幹トレーニングで鍛えるインナーマッスルが同時に鍛えられるというメリットがあります。
バランス運動の効果に関する厚生労働省の情報
バランス能力とは、静止または動的動作における姿勢維持の能力のことで、この能力は感覚系・中枢司令系・筋力系などの要素によって決まります。高齢者においてはこのうちの筋力の要素がより重要であることが指摘されています。バランスボールなどのトレーニング器具を使ったトレーニングが実施されていますが、それらによる効果は研究により確認されています。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-009.html
▼詳しいバランスボールトレーニングメニュー
バランスボールの使い方|自宅で簡単にできる体幹トレーニングのやり方
具体的な週3回の部位分割筋トレプログラム
女性のためのダイエット筋トレメニュー例|一週間3回の自宅・ジム別プログラム
サーキットトレーニング
サーキットトレーニングは、一度に全身をくまなく鍛えられ、かつ有酸素運動効果も高いため、健康作りやダイエットに有効なトレーニングメニューです。
下記の記事では、その基本理論と効果的なやり方および具体的な組み方例をご紹介しています。
サーキットトレーニングメニュー|筋持久力向上と有酸素運動効果もある組み方例
運動の前後にはストレッチを
ダイエット運動を実施する前後に行いたいのがストレッチです。運動前のストレッチには筋肉をほぐして怪我を防止したり、交感神経を運動モードに切り替える働きがあります。
また、運動後のストレッチは筋肉のクールダウンになるだけでなく、副交感神経優位の休息モードに切り替える働きがあります。
ストレッチングに関する厚生労働省の記載
ストレッチングの効果
ストレッチングとは意図的に筋や関節を伸ばす運動です。体の柔軟性を高めるのに効果的であり、準備運動や整理運動の一要素としても活用されています。最近では美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-006.html
ストレッチングのやり方
ストレッチングを実施する際に注意すべき原則は5つあります。「1. 時間は最低20秒」「2. 伸ばす筋や部位を意識する」「3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす」「4. 呼吸を止めないように意識する」「5. 目的に応じて部位を選択する」ということです。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-007.html
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