筋力トレーニング(筋トレ)の適切な頻度は週何回なのでしょう?
それはトレーニングの目的によって異なり、筋肥大目的とダイエット目的では考え方も違ってきます。
まずは、筋トレの頻度を考える上でベースとなる超回復理論について解説していきます。
超回復とは何か
破壊された筋繊維が強く太くなる生理機能
筋トレの効果を出すために不可欠な要素が、筋肉の超回復とその理論です。
筋トレで負荷のかかった筋肉は、筋繊維に微細な裂傷が発生します。そして、ダメージを受けた筋繊維は、一定の回復期間をおいて、鍛える前よりも強く太くなって回復します。
この一連の生体反応を超回復と呼び、筋トレ(筋力トレーニング・筋肉トレーニング)とは、適切で意図的な超回復を繰り返すことによって、筋力向上や筋肥大を達成する行為なのです。
超回復前に筋トレをすると
筋トレによって破壊された筋肉を超回復前に再度筋トレで破壊するとどうなるでしょう?
答えは簡単です。回復しきれていない状態での筋トレ負荷で、筋繊維が破壊され続けると、筋肉はどんどん弱く小さくなってしまいます。
「筋トレを毎日してはいけない」とよく言われるのはこのためですが、厳密には「同一の筋肉に毎日負荷を与えてはいけない」となります。
実際、身体の筋肉部位をいくつかのグループに分けてローテーションで鍛えていく「部位分割法」=「スプリットトレーニング」というプログラムの組み方が一般的です。
筋肉部位ごとの超回復期間
筋肉の大きさと使用頻度で決まる
超回復の期間は、年齢や体質などにより個人差がありますが、基本的には以下のような相関関係があります。
◯大きな筋肉:超回復が遅い
◯小さな筋肉:超回復が早い
◯使用頻度の低い筋肉:超回復が遅い
◯使用頻度の高い筋肉:超回復が早い
具体的な筋肉部位別の超回復期間
標準的な20~30代の男性の場合、筋肉部位別の超回復期間は以下の通りです。
72時間で超回復する筋肉
大腿四頭筋・ハムストリングスなど太ももの筋肉
僧帽筋・広背筋・長背筋などの背中の筋肉
48時間で超回復する筋肉
三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋など肩から腕にかけての筋肉
胸の筋肉・大胸筋やお尻の筋肉・臀筋群
24時間で超回復する筋肉
前腕筋群・腹筋群・ふくらはぎ(下腿三頭筋)など日常での使用頻度の高い筋肉
なお、10代の場合はこれより短く、女性や40代男性はこれより遅くなります。
※部位ごとの超回復期間には個人差があります。
トレーニングプログラムを組む場合、これら筋肉の超回復期間を考慮することが重要ですが、筋肥大トレーニングとダイエットトレーニングでは組み方が異なります。
これは、筋肥大では複数の筋肉を使い高負荷で鍛える高重量コンパウンド種目が主体となり、超回復に時間がかかること、ダイエットでは低負荷で細かい部位分割により、できるだけ代謝の高い状態を維持するほうが有利なことに起因しています。
筋肥大筋トレに最適な部位分割
上半身の押す筋肉・上半身の引く筋肉・下半身の筋肉
筋肥大バルクアップ筋トレに最適な部位分割方法は、全身の筋肉を「上半身の押す筋肉」「上半身の引く筋肉」「下半身の筋肉」の3つに分け、それぞれ週1回ずつ、週に3回のスプリットでトレーニングしていく方法です。
各グループの筋肉部位は以下の通りになります。
上半身の押す筋肉
大胸筋・三角筋・上腕三頭筋
上半身の引く筋肉
広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋
下半身の筋肉
大腿四頭筋・ハムストリングス
そして、上半身のトレーングが連続しないように、以下のように一週間のプログラムを組みます。
①週1回目のトレーニング
上半身の押す筋肉:大胸筋・三角筋・上腕三頭筋
②週2回目のトレーニング
下半身の筋肉:大腿四頭筋・ハムストリングス
③週3回目のトレーニング
上半身の引く筋肉:広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋
具体的なプログラムについては、下記の記事にまとめてありますので、ご参照ください。
ダイエット筋トレは毎日やる
全身を部位分割してローテーションする
ダイエット筋トレは常に代謝の高い状態を保つほうが効率的なので、できることなら毎日行うのがベストです。ただし、一つの筋肉は筋トレをすると回復するのに72時間かかり、回復前に負荷を与えると怪我の原因になってしまいます。
このため、全身の筋肉を動きのグループ別に分け、ローテーションをしながら毎日筋トレをしていくのがもっとも効率的になります。具体的には以下の通りです。
月曜日:胸を中心にした押す筋肉グループ
火曜日:腰まわりの筋肉グループ
水曜日:下半身の筋肉グループ
木曜日:腹まわりの筋肉グループ
金曜日:背中を中心にした引く筋肉グループ
土曜日:休養日または有酸素運動
日曜日;休養日または有酸素運動
※ただし、30代中盤を過ぎると、回復能力が若い時と違って遅くなりますので、中高齢のダイエット筋トレは週3回程度の部位分割が適切になってきます。