胸囲100cm以上は鍛えた男性ならまずは目指したい数値ですが、筋トレ初心者が胸囲100cmを超えていくためには、大胸筋のトレーニングだけではなく、大胸筋の土台となる胸郭を広げるトレーニングを行うことが有効です。
また、さらに胸囲100cmを超え110cmクラスになるためには、大胸筋を大きくするための土台=胸郭の広さがとても重要になってきます。
アーノルドシュエアルツネガーが提唱したメソッド
20代ならば10cm以上の胸囲アップも可能
今回ご紹介する胸郭トレーニングメソッドは、ボディービル世界チャンピオンとしても名高い、かのアーノルドシュワルツネガー氏が提唱したとされる理論です。
10代後半から20代前半であれば、半年ほど胸郭トレーニングを実施することで胸囲が10cm、20代後半以降でも数cm増加したという報告があります。
胸郭とは
胸郭とは、12個の胸椎と12対の肋骨および胸骨から構成される胸部の空間のことで、大切な臓器を守るとともに、胸式呼吸の胸部拡張作用を持った部分です。
胸郭トレーニングでは、この胸式呼吸の胸部拡張作用を利用して胸郭を広げていきます。
胸郭トレーニングの方法とは
二種類の筋トレを連続で行う
胸郭トレーニングでは、脈拍が上昇し呼吸回数が上がるような全身的トレーニングをまず行い、そのままインターバルをおかずに胸郭を広げる作用のあるプルオーバー系種目を行います。
代表的な組み合わせはバーベルスクワット→バーベルベントアームプルオーバーで、このほかにも自重トレーニングとダンベル筋トレやチューブトレーニングを組み合わせる方法もあります。
プルオーバー系種目の胸郭拡張作用
図の赤い部分が肋骨と胸骨を接合している軟骨部分ですが、胸郭拡張ためには、この部分に継続的なストレッチ負荷をかけていくことが重要で、その最適な伸展方向はちょうどプルオーバー系種目で上腕が向く方向と一致します。
このことが、プルオーバー系種目に胸郭拡張作用があると言われる理由です。
こちらの動画は、プルオーバー系種目を行ったときに、大胸筋・広背筋および肋骨がどのような動きをするか再現した3DCGです。
胸郭を取り囲む大胸筋・広背筋が大きく伸展・収縮するだけでなく、肋骨自体もかなり引っ張られ、先ほどの肋骨~胸骨間の軟骨部分も伸展されているのがおわかりいただけると思います。
それでは、次の項目からは具体的な胸郭トレーニングの方法を、自宅(自重+チューブorダンベル)、ジム(バーベルorマシン)からご紹介していきます。
自宅での胸郭トレーニング
①まずは自重でのブリージングスクワット
まずは、胸郭トレーニングの一種目としてブリージングスクワットを行います。自重スクワットの基本的な動作ポイントは以下の通りです。
○膝がつま先より前に出ないようにする
○胸を張り、背中を反らせる
○顎を上げやや上を見る
○椅子に座るように斜め後ろにしゃがむ
そして、胸郭トレーニングで行う自重スクワットは、あくまでも息を上げることが目的で、筋肉に効かせることが目的ではありませんので、そのことを十分意識して行ってください。
なお、ブリージングとは深く呼吸をし、肺に空気をためたまま動作をすることで、ブリージングスクワットの呼吸タイミングは以下の通りです。
①しゃがむ前に最大限肺に息を吸い込む
②息を止めたままできるだけ深くしゃがむ
③息を止めたまま立ち上がり息を吐く
目安としては20回ほどで息が上がるようにスピードなどを調整してください。
②連続してブリージングでのダンベルプルオーバー
ブリージングスクワットが終了したら、インターバルをおかずにダンベルプルオーバーを行いますが、体幹前面に負荷のかかるベントアームスタイル(肘を曲げる)が基本になります。
この種目も、あくまでも胸郭のストレッチが最大目標ですので、重量は軽めにして20回の反復でゆっくりと行っていきます。
その呼吸タイミングは以下の通りです。
①胸の上にウエイトを構え、最大限に肺に息を吸い込む
②息を止めたまま大きくウエイトをおろし胸郭を伸ばす
③ウエイトを元の位置に戻してから息を吐く
なお、胸郭背面にもストレッチをかけるため、体幹背面に負荷のかかるストレートアームプルオーバー(肘を伸ばす)も行っていくとさらに有効です。
また、ダンベルのかわりにトレーニングチューブを用いたチューブプルオーバーでも代用できますが、腕を下ろしたポジションでゴムの張力が弱まるため、伸展時の負荷の強さを考えると、やはりダンベルのほうが有効性が高いと言えます。
ジムでの胸郭トレーニング
①まずはブリージングバーベルスクワット
ジムでの胸郭トレーニングでは、まずバーベルスクワットを行っていきます。
フォームおよびブリージングの方法は自重スクワットの場合と同様です。
①しゃがむ前に最大限肺に息を吸い込む
②息を止めたままできるだけ深くしゃがむ
③息を止めたまま立ち上がり息を吐く
目安としては20回ほどで息が上がるようにスピードなどを調整してください。
マシンしかない環境の場合は、レッグプレスではなくハックマシンのほうが胸部への圧力がなく、呼吸メソッドにより胸郭を伸展しやすいので推奨されます。
②連続してバーベルプルオーバーを行う
バーベルスクワットに続いて、ブリージングでのバーベルプルオーバーを行いますが、体幹前面の負荷のかかるベントアームスタイルを優先して行います。
胸郭をストレッチすることを最大に意識して、20回1セットで行ってください。
また、体幹背面に効果のあるストレートアームプルオーバーも並行して行うとさらに有効です。