テニスに必要な筋肉とその部位別の筋トレメニュー(アウターマッスル)と体幹トレーニング(インナーマッスル)の方法を解説します。
テニスに重要な筋肉部位
テニスにとって重要な筋肉部位と競技における働きは以下の通りです。
表層筋|アウターマッスル
胸の筋肉|大胸筋:フォアストロークにおいて上半身動作の基礎になります。
背中の筋肉|広背筋:バックストロークにおいて上半身動作の基礎になります。
腕の筋肉|前腕筋群:ストローク・ボレー・スマッシュ・サーブなど全てのスイングの最終加速に非常に重要です。
太ももの筋肉|大腿四頭筋:前後ステップと軸足の安定に働きます。
太ももの筋肉|ハムストリングス:前後ステップのストローク動作で下半身の原動力になります。
お尻の筋肉|臀筋群:ハムストリングスと協働します。
ふくらはぎの筋肉|下腿三頭筋:下半身全体の安定とステップの最終加速に働きます。
深層筋|インナーマッスル
股関節周辺
腸腰筋群:下半身の動作を体幹に連動させるために重要です。
内転筋群:サイドステップに働きます。
体幹周辺
腹筋群:ストローク動作の体幹での加速(捻り動作)に重要です。
脊柱起立筋:腹筋群と協働して捻り動作を生みます。
肩関節周辺
回旋筋腱板:下半身で生まれ体幹で加速されたストローク動作のパワーを腕に伝える最重要部位です。
筋肉名称デジタル図鑑
さらに詳しい全身の筋肉の構造・作用については筋肉名称デジタル図鑑をご参照ください。
【筋肉名称デジタル図鑑】各部位の名前・作用・筋トレ方法(鍛え方)
大胸筋の構造とテニスのための筋トレ
大胸筋は腕を前方に押し出し閉じる作用があります。このため、チェストプレス系種目やチェストフライ系種目で鍛えることができます。
大胸筋のトレーニング例
自宅でのダンベルトレーニングのなかで、大胸筋を鍛えるのに最適な種目がダンベルプレスです。
ベンチがない場合は、床の上で行っても効果を得ることが可能です。
◆ダンベルプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、ダンベルを胸の上でグリップして構える
②肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを押し上げる
③ダンベルを押し上げたら、肘をしっかりと伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
④ダンベルのウエイトに耐えながら、筋肉に負荷をかけながら元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肩を痛めないためには、ダンベルを肩のラインよりヘソ側に下ろすようにしてください。
広背筋の構造とテニスのための筋トレ
広背筋は腕を前方や上方から引き寄せる作用があります。このため、ローイング系種目やプル系種目で鍛えることができます。
広背筋のトレーニング例
ダンベル筋トレで背筋トレーニングの基本となるのがダンベルローイングです。
標準的なやり方だと僧帽筋を中心に効きますが、頭を低くし前方から引く軌道で行うと広背筋に負荷が強くかかります。
◆ダンベルローイングのやり方と動作ポイント
①ベンチに片手をつき、前傾姿勢を作り、腕を伸ばした位置でダンベルを持って構える
②肩甲骨を寄せながらダンベルを引き上げる
③ダンベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
背中が丸まっていると背筋群が完全収縮しないので、視線を前に向け背すじを伸ばして行ってください。
回旋筋腱板の構造とテニスのための筋トレ
回旋筋腱板(ローテーターカフ)は肩甲骨と上腕骨を結ぶインナーマッスルで、肩関節の動きをつかさどっています。
肩甲骨の背面に位置する棘上筋・棘下筋・小円筋は、肘を直角に曲げ前腕を後方に旋回させるエクスターナルローテーション系種目で鍛えるのが一般的です。
また、肩甲骨前面に位置する肩甲下筋は、肘を直角に曲げ前腕を前方に旋回させるインターナルローテーション系種目で鍛えるのが一般的です。
ローテーターカフの鍛え方として、もっとも手軽でリーズナブルなのがトレーニングチューブを用いたエクスターナル・インターナルローテーションです。
使いやすいトレーニングチューブセット
トレーニングチューブにはさまざまなタイプがありますが、使いやすいのは強度の異なる複数のトレーニングチューブがセットになったものです。
トレーニングチューブセットの実際の使用方法や使用感については下記の記事で解説しています。
当サイト運営ショップでは大型カラビナフックが標準装備され、各種ケーブルアタッチメントを取り付けることもできるトレーニングチューブセットを品質確認の上で輸入し、取り扱っています。
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前腕筋群の構造とテニスのための筋トレ
前腕筋群は大小合わせて20近い筋肉から構成されていますが、大きくは前腕屈筋群と前腕伸筋群に分けられます。
掌屈はリストカール系種目、背屈はリバースリストカール系種目、撓屈はリストハンマー系種目、尺屈はリバースリストハンマー系種目、回内と回外はリストローテーション系種目で鍛えられます。
前腕のトレーニングは特殊で動作もピンポイントになるため、それぞれ専用の器具を用いて鍛えるのが効率的です。
リストカール系専門器具|Mazurenkoウルトラグリップ
ウルトラグリップは前腕のストローク力を鍛えるための特化したトレーニング器具で、ハンドルを交換することでさまざまなバリエーションのリストカールを行うことができます。
リストハンマー系専門器具|バーチカルバー
バーチカルバーはリストハンマーを最適な角度と負荷で行えるように設計された専門器具です。
リストローテーション系専門器具|Dハンドル
Dハンドルは回内(プロネーション)・回外(スピネーション)をフレキシブルな軌道で鍛えることのできる専用器具です。
腹筋群の構造とテニスのための筋トレ
腹筋群は体幹を屈曲・回旋させる作用があります。このため、クランチ系種目やサイドベント系種目で鍛えることができます。
腹筋群のトレーニング例
腹筋運動の基本となるのがカールアップクランチで、特に腹直筋上部に効果的です。
息を吐きながら身体を曲げていき、フィニッシュポジションで完全に息を吐ききるとともに顎を引いて腹筋を最大収縮させてください。
◆カールアップクランチのやり方と動作ポイント
①膝を曲げて仰向けになり、頭の後ろで手を組んで構える
②息を吐きながら上半身を起こしていく
③上半身を起こしたら、息を全て吐いて顎を引き腹直筋を完全収縮させる
④効かせながら元に戻る
⑤反動を使わずに再び上半身を起こしていく
◆ワンポイントアドバイス
呼吸と顎の動作を意識して腹直筋を最大収縮させることが大切です。また、反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので注意してください。
脊柱起立筋の構造とテニスのための筋トレ
脊柱起立筋は体幹を伸展・回旋させる作用があります。このため、バックエクステンション系種目やグッドモーニング系種目で鍛えることができます。
バックエクステンション
チューブグッドモーニング
ダンベルグッドモーニング
スミスマシングッドモーニング
バーベルグッドモーニング
腸腰筋群の構造とテニスのための筋トレ
腸腰筋群は大腿を前方に上げる作用があります。このため、レッグレイズ系種目で鍛えることができます。
内転筋群の構造とテニスのための筋トレ
内転筋群は大腿を閉じる作用があります。このため、アダクション系種目やサイドランジ系種目で鍛えることができます。
サイドランジ
ダンベルサイドランジ
マシンアダクション
バーベルサイドランジ
大腿四頭筋の構造とテニスのための筋トレ
大腿四頭筋は膝を伸ばす作用があります。このため、スクワット系種目やレッグエクステンション系種目で鍛えることができます。
大腿四頭筋のトレーニング例
大腿四頭筋のトレーニングとして最適かつ基本的な種目がスクワットです。
胸を張り、背中を反らせたニーベントスタイルが動作の基本です。
また、膝関節を痛めないために、膝がつま先より前にでないように気をつけてください。
◆自重スクワットのやり方と動作ポイント
①足を肩幅程度に開き、背すじを伸ばして構える
②膝がつま先よりも前に出ないように気をつけ、お尻を突き出しながらしゃがんでいく
③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
◆ワンポイントアドバイス
椅子に座る要領で動作をすると正しいフォームになります。また、背中が丸くならないように、視線をやや上に向けるのがコツです。
臀筋群の構造とテニスのための筋トレ
臀筋群は大腿を後方に上げる作用があります。ハムストリングスとの協働性が高く、フロントランジ系種目やブルガリアンスクワット系種目で鍛えることができます。
ハムストリングスの構造とテニスのための筋トレ
ハムストリングスは膝を曲げる作用があります。このため、レッグカール系種目で鍛えることができます。
ハムストリングスのトレーニング例
フロントランジはブルガリアンスクワットの強度を落としたようなスクワット系種目です。
後ろにした足を中心に動作を行うことでハムストリングスに効果があります。
◆フロントランジのやり方と動作ポイント
①片側の足を前に出し、片側の足を後ろに引いて構える
②前にした足の膝がつま先よりも前に出ないように、斜め後ろにしゃがんでいく
③前にした足の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
④所定回数を行った後、足の前後をかえて再び同様の動作を行う
◆ワンポイントアドバイス
前にした足を主働で行うと大腿四頭筋に、後ろにした足を主働で行うとハムストリングスに効果があります。
下腿三頭筋の構造とテニスのための筋トレ
下腿三頭筋は足首を伸ばす作用があります。このため、カーフレイズ系種目で鍛えることができます。
ふくらはぎ=下腿三頭筋を鍛える種目は総称してカーフレイズとされますが、自重で行うカーフレイズやドンキーカーフレイズ、ダンベルカーフレイズ、バーベルカーフレイズ、マシンカーフレイズなど、その方法は様々です。
具体的な週2・3・4回の筋トレメニュー
部位分割筋トレとは、全身の筋肉をいくつかのグループに分け、一週間をかけてローテーションで鍛えていく方法です。
筋肉は一度鍛えると72時間程度の超回復期間が必要なため、一度に全身の筋肉を鍛えると、週に二回鍛えるのが限度です。しかし、部位を分割することにより、ローテーションで鍛えながら超回復もさせられるので、部位分割筋トレは非常に効率的なトレーニングメソッドです。
週4回の部位分割トレーニング
週3回の部位分割トレーニング
週2回の部位分割トレーニング
スポーツのための筋肉図鑑
スポーツと食事