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中学校2年生になり、最初の試合はJapanOpen国際でした。
前年の不可解な判定による王者陥落から一年、臥薪嘗胆の思いで、突き詰めて親子で過ごしてきました。
その過程で、ハヤテも格闘家としての本質に目覚めつつありました。
ハヤテの心の弱さを鍛えた先生の言葉は…… テコンドーのルーツは格闘技、格闘技のルーツは人を……文字にはしないほうがよい、厳しくも真実の言葉でした。
およそ、平和な日本で普通に生きていると、考えることのない、覚悟のいる領域です。
決勝の対戦相手は、幸か不幸か昨年と同じ、主催者側の現チャンピオンでした。
1ラウンド目、前年同様になぜか加点されないハヤテのハイキックに、このままでは同じことの繰り返しになると感じ……
ラウンドインターバルでセコンドの僕が出した指示は、「やれ」でした。
その言葉とおり、渾身のフルスイング左ハイを直撃させ、タイトル奪還をしたハヤテでした。
幸い、相手にも大きな怪我はなく安堵しました。
この一戦でハヤテが手に入れた大切なものは、タイトルなどではなく、格闘家の「心」であったと思います。