ベンチプレスなどのプレス系種目や懸垂などのプル系種目に有効な握り方「サムレスグリップ」について解説するとともに、具体的な使い方をご紹介します。
サムレスグリップとは?
サムレスグリップとは、英語で記載すると「thumbless grip」で、直訳すると「親指のない握り」となります。
実際には親指と他の4本の指を向かい合わせて握る「サムアラウンドグリップ」に対する対語で、親指を他の四本の指と向きを揃えて握る方法を「サムレスグリップ」と言います。
プレス系種目のサムレスグリップ
ベンチプレス
(写真上サムアラウンドグリップ・下サムレスグリップ)
筆者が実際にベンチプレスにおけるサムレスグリップのやり方を行い、それを撮影したのが上の画像です。
トレーニングでのベンチプレスでは、一般的にバーベルシャフトの真下に手首と前腕を置き、垂直を保つことが重要とされていますが、上図のようにサムアラウンドグリップだと手首関節からシャフトまでの距離がやや長くなり、前後にぶれやすくなるのがお分かりいただけると思います。
逆に、下図のサムレスグリップでは手首関節とシャフトの距離が若干短くなり、また前後方向へのぶれ幅も小さくなります。
ですので、トレーニングのベンチプレスではサムレスグリップのほうが安定して大胸筋に付加を加えやすくなります。
※競技ベンチプレスではサムレスグリップは規則で禁止されています。
※競技ベンチプレスでは手首を反らせ、バーベルを斜めに下ろして斜めに上げるのが主流テクニックです。
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ディップス
(写真上サムアラウンドグリップ・下サムレスグリップ)
また、サムレスグリップはベンチプレスのように「上に押す種目」だけでなく、ディップスのように「下に押す種目」でも有効で、このグリップを使うことによってよりストリクトに大胸筋下部や上腕三頭筋に負荷を加えることが可能です。
プレス系サムレスグリップと組み合わせたいギア
プレス系サムレスグリップと組み合わせたいギアが「リストラップ」です。特に高重量トレーニングの場合はIPF(世界パワーリフティング協会)公認品が適切です。リストラップの種類と巻き方・使い方については下記の記事をご参照ください。
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プル系種目のサムレスグリップ
懸垂
(写真上サムアラウンドグリップ・下サムレスグリップ)
懸垂に代表される高負荷のプル系トレーニングにおいてサムレスグリップは非常に有効ですが、これは握力と関係しています。
プル系トレーニングによくある問題が「背筋群よりも先に握力が疲れてしまい十分に背中を追い込めない」というものですが、サムレスグリップは親指もフッキングに使用するため、四本の指でフックするサムアラウンドグリップよりもシャフトやバーの保持力が大幅にアップします。
この結果、握力・前腕が疲れにくくなり、背中を追い込みやすくなるのです。
ケーブルローイング
(写真上サムアラウンドグリップ・下サムレスグリップ)
プル系種目におけるサムレスグリップはケーブルローイング・ラットプルダウン系種目でも有効で、握力が疲れにくい分、厳しく背筋を追い込むことが可能です。
ただし、サムレスグリップを多用していると、逆に握力が強くなりにくい・前腕が成長しにくい、というデメリットもあります。
デッドリフトにおけるグリップ
なお、プル系種目のなかでもデッドリフトは、特に高重量になるとオルタネイトグリップが必須となります。そして、オルタネイトグリップとサムレスグリップの相性はあまりよくないため、デッドリフトにおいてはサムアラウンドグリップのほうが適切でしょう。
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