ダンベルプルオーバーはフォームによって大胸筋にも広背筋にも効果のある変わった種目です。大胸筋に対しては数少ない縦方向の刺激が与えられ、また、背筋トレーニングそしては、数少ない「上から腕を引かなくても広背筋に効く」種目で懸垂設備のないトレーニング環境で広背筋を鍛えるのに重宝します。
ただし、動作がやや難しく、大胸筋に対して効果のあるフォームと広背筋に対して効果のあるフォームの違いを認識していなければ、「どっちつかずの筋トレ」になってしまいます。
そのフォームのポイントは肘の角度にありますので、ご紹介します。
ダンベルプルオーバーが効果のある筋肉部位
大胸筋と広背筋に効果がある
大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜
広背筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜
ダンベルプルオーバーは冒頭で述べたとおり、大胸筋と広背筋に効果があります。ただし、同時に効果があるわけではなく、大胸筋を狙ったフォームで行えば大胸筋に、広背筋を狙ったフォームで行えば広背筋に効果があるということです。
大胸筋を鍛えるダンベルプルオーバー
この二つの動画が、典型的な大胸筋を鍛えるためのダンベルプルオーバーです。
広背筋に効果のあるダンベルプルオーバー
そして、こちらの二つの動画が広背筋に対して効果のあるダンベルプルオーバーのフォームです。
違いがおわかりでしょうか?
ダンベルプルオーバー時の各筋肉の動作
続いて、こちらの動画をご覧ください。ダンベルプルオーバー時の大胸筋と広背筋の動きが視覚的にわかりやすい動画です。
肘を曲げて開くと大胸筋・伸ばして閉じると広背筋
大胸筋にダンベルプルオーバーを効かせる時は、肘を曲げて内側に絞る(閉じる)のが正しいやり方です。そして、ダンベルを身体の上に戻しながら、肘を伸ばしていき、最後には大胸筋を収縮させてダンベルを押し上げる動作をします。
一方、広背筋にダンベルプルオーバーを効かせる時は、動作の間は常に肘を伸ばし、ダンベルを身体の上に戻しながら肩甲骨を寄せて、広背筋を収縮させる動作をします。
まとめると、肘を曲げて閉じると大胸筋に効き、肘を伸ばして開くと広背筋に効くというのが、それぞれのフォームです。
バストアップにも効果的なダンベルプルオーバー
大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーは、バストアップの効果の高いことから女性にも人気の種目です。手の平に乗せるようにダンベルを保持し、最後に押し上げる動作を強く意識して行うとよいでしょう。
ダンベルプルオーバーを上手くコントロールするには
とにかくやってみて慣れるのが近道
ここまで、ダンベルプルオーバーの大胸筋・広背筋それぞれの効かせ方の違いを解説してきましたが、とても微妙な違いであり、意識の仕方で効き具合も変わってきます。
この種目に関しては、とにかくやってみて、体感して、慣れていただくのが最適です。
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筋トレを快適にする3大マストアイテム
①手首を保護するリストラップ
ジムトレーナーが本音で解説
プレス系トレーニングの効率を高め、手首を保護するために必須ともいえるマストアイテムがリストラップですが、本当にたくさんのメーカー・種類がありすね。そして、検索ででてくる「おすすめリストラップ」は正直、全くおすすめではありません。なぜなら、多くの記事は素人またはそれに近いライターさんが書いているもので、リストラップの本質について書かれてはいません。もちろん、そのチョイスについてもしかりです。
下記の記事は、国内主要メーカーのリストラップ(IPF公認含む)を「ウエイト下垂実験」もふくめて本気で試用・考察したものです。筆者のトレーナーとしての意見、パワーリフティング元日本王者の理論など、「本物のリストラップについて本音で解説」しています。
②グリップを助けるパワーグリップ
握力を補助してオールアウトする
プル系トレーニングによくあるのが「握力が先になくなってターゲットの筋肉を十分に追い込めない」というケースです。このような場合、パワーグリップやエイトストラップと呼ばれる握力補助グッズを使うことで、限界まで追い込めオールアウトが可能になります。
その特徴や具体的な使い方は下記の記事で、実際に使用しているものを解説しています。
リストストラップ&パワーグリップの種類と筋トレ目的別の使い方