大胸筋や背筋群(僧帽筋・広背筋)など体幹の筋肉は、その収縮が首と深い連動性を持っています。このため、筋トレで最大収縮をさせて効率的に鍛えるためには、体幹の筋肉と首の屈曲方向を正しく理解しなくてはいけません。
大胸筋の収縮と首の屈曲方向
大胸筋の収縮に連動する首の屈曲方向は前(顎を引く方向)です。ダンベルプレスやベンチプレスの時によく見かける光景が、力むあまり頭をベンチに押し当てて(顎を上げて)挙上するスタイルです。
結論から言うと、これは完全に間違いです。大胸筋が完全収縮せず最大筋力が発揮できないだけでなく、頚椎損傷のリスクもありますので絶対にやめましょう。
このことを体感的に理解するためには、腕を伸ばし手を胸の前で合わせ、手の平同士を押しあってみてください。この時に顎を上げたり下げたりすると、顎を下げたときに大胸筋が強く収縮し力が出せることがわかりやすいと思います。
このことは、ダンベルプレスやベンチプレスだけでなく全ての大胸筋トレーニングに当てはまることです。大胸筋トレーニングの基本中の基本、腕立て伏せもトップポジションで顎を引いたほうが、もちろん効果が高くなります。
背筋群の収縮と首の屈曲方向
大胸筋の拮抗筋である背筋群(僧帽筋・広背筋)を最大収縮させるために適切な首の屈曲方向は、当然、大胸筋の場合とは逆に後ろ(顎を上げる方向)になります。
これもよく見かける光景ですが、ラットプルやケーブルローなどで、力むあまり顎を引いて行うスタイルです。顎を引くと肩甲骨が寄せられず、その結果、背筋群も完全収縮しません。背中が丸まったフォームでは、背中の筋肉ではなく腕の筋肉で引いているだけのトレーニングになってしまいます。
今回、ご紹介した筋トレと首の連動方向を意識するだけで、大胸筋や背筋群への効き方が劇的に増加しますので、心当たりのある方は、是非フォームを改善してみてください。
発想の筋トレ
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