筋トレの頻度は週何回が適切か、毎日やってはいけない理由とともに解説します。なお、競技選手や上級者ではなく、あくまでも初心者~中級者むけの解説です。
また、あわせて筋肥大バルクアップ筋トレと引き締めダイエット筋トレでのトレーニング頻度の違いについてもご紹介します。
筋トレと超回復理論
全ての基本となる理論
「超回復」とは、筋肉の持つ能力のことで、筋トレなど強い負荷を受けた筋肉が、その筋繊維破壊から「より強くなって回復する」能力です。
これは、筋肥大筋トレで鍛える対象となる瞬発筋(白筋)でも、ダイエット目的の筋トレ対象となる持久筋(赤筋)でも同じです。
筋トレで筋肉を鍛えると、瞬発筋は「より強く太く超回復する」特性があり、持久筋は「より強く引き締まって超回復」特性があります。
すなわち、筋トレという行為は「意図的に超回復を引き起こす行為」と言いかえることができるのです。
超回復理論のエビデンス
筋肉は筋トレによって負荷を受けると、筋繊維が破壊されます。そして、回復する時に、負荷を受ける前よりも強くなって回復する能力が備わっており、これを「超回復」と呼びます。
この超回復という筋肉の特性を利用し、定期的に筋トレによって意図的に筋繊維を破壊し、筋肉を強くしていくのが「筋トレと超回復」の基本理論です。
よく「超回復理論は証明されていない」と言う記載もありますが、公的機関のホームページにもしっかりと記載されていますので、筋トレはやはり超回復理論にのっとって行うことが大切です。
筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報
”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”
▼厚生労働省公式ページ
筋肉部位による超回復速度
その速度は大きな瞬発筋>小さな瞬発筋>持久筋
筋肉の超回復にかかる時間は、その筋肉部位と筋繊維の種類(瞬発筋か持久筋か)で異なります。
大腿筋群や背筋群などの大きな筋肉のなかでも瞬発筋は超回復にかかる時間が最も長く、完全回復には少なくとも72時間が必要です。
次に超回復にかかる時間が長いのが、大胸筋や上腕筋群などの小さな筋肉の瞬発筋で、最低でも48時間の時間が必要となります。
以下に、筋肉グループと筋肉部位別の一般的な超回復時間を記載します。諸条件により超回復時間は変動しますので、あくまで目安と考えてください。
上半身の押す筋肉グループ
大胸筋:48時間
三角筋:48時間
上腕三頭筋:48時間
上半身の引く筋肉グループ
僧帽筋:48時間
広背筋:72時間
上腕二頭筋:48時間
体幹の筋肉グループ
腹筋群:24時間
長背筋群:72時間
下半身の筋肉グループ
大臀筋:48時間
大腿四頭筋:72時間
大腿二頭筋:72時間
手足の筋肉グループ
前腕筋群:24時間
下腿三頭筋:24時間
最も超回復速度が速いのが、各筋肉部位のなかの持久筋および前腕筋群・腹筋群・下腿三頭筋(ふくらはぎ)で、その超回復時間は最短で24時間です。
ただし、これらの超回復時間は、10~20代の男性が、栄養補給や休養を完璧に行った場合の数値であり、女性や30代以降の男性、栄養学や休息方法を把握しきれていない初心者~中級者の場合は、例示した時間よりさらに多くの超回復期間が必要となります。
ですので、毎日全身を筋トレ…というのは、あまりに非科学的なのです。
なお、ダイエット目的の低負荷トレーニングを部位分割法で行う場合は、この限りではない場合もあります。
最適な筋トレの頻度
週に2~3回+アルファ
これらのことから、初心者~中級者の方は週に2~3回の頻度で、それぞれに鍛える場所を変えて筋トレをしていくのが最適です。具体的には以下のようになります。
週二回の筋トレ
一日目:上半身の押す筋肉群+下半身
二日目:上半身の引く筋肉群+腹筋群
週三回の筋トレ
一日目:上半身の押す筋肉群
二日目:下半身+腹筋群
三日目:上半身の引く筋肉群
※上半身の押す筋肉群=大胸筋・三角筋・上腕三頭筋
※上半身の引く筋肉群=広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋
※下半身の筋肉群=大腿四頭筋・大腿二頭筋・下腿三頭筋
なお、腹筋群・前腕筋群・下腿三頭筋に関しては超回復が早いので、筋肉痛の有無を目安に判断し、各筋トレ日にプラスアルファでセットを追加しても問題ありません。