広背筋のなかでも逆三角形体型に大きく関わる広背筋側部は、上から腕を引く動作で鍛えられるため、懸垂器具やケーブルマシンのない環境の自宅トレーニングでは鍛えにくい筋肉部位です。
しかしながら、タオルを使ってラットプルのような動作をすることにより、広背筋側部に負荷がかかり鍛えることが可能です。そのやり方を動画をまじえて解説するとともに、自宅で簡単にできるトレーニングチューブを使った広背筋の筋トレ方法・鍛え方についてもあわせて解説します。
広背筋の構造と作用
背筋には僧帽筋・広背筋・長背筋群があり、なかでも広背筋は逆三角形状に広がる上半身でも最大の筋肉です。広背筋は大きく中央部と側部に分けられますが、その作用は以下の通りです。
○広背筋中央部:前から腕を引く作用があります。
○広背筋側部:上から腕を引く作用があります。
前から腕を引く作用のある広背筋中央部は、ダンベルローイングなどで自宅でも簡単に鍛えることができますが、腕を上から引く作用のある広背筋側部は懸垂台やケーブルマシンラットプルなどの器具を使って鍛えるのが通常です。
このように、実際に広背筋側部を自宅で鍛えようとすると器具を入手するしかないのですが、本記事では、自宅で懸垂台やダンベルも使わずに、広背筋側部を刺激する方法と、もっともリーズナブルな器具であるトレーニングチューブを使った鍛え方について解説していきます。
タオルを使って広背筋側部を鍛える方法
広背筋側部をタオルを使って集中的に鍛えることのできるタオルラットプルの動画がこちらのものです。
タオルラットプルのやり方を図にしたものが上図で、そのやり方とポイントは以下の通りです。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①両手で真横にタオルを強く引く
②肩甲骨を寄せながら力を加えていく
③肘を斜め下方に絞りながら引く
④肘を引いたら、肩甲骨を寄せきり広背筋を完全収縮させる
タオルさえあれば、すぐにできると思いますのでまずは試しに動作をしてみてください。広背筋側部に集中的に負荷がかかることを体感できるはずです。
チューブを使った広背筋側部の鍛え方①
タオルラットプルのタオルをそのままトレーニングチューブに置き換えることで、さらに強い負荷で広背筋を鍛えることも可能です。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①両手で真横にトレーニングチューブを強く引く
②肩甲骨を寄せながら力を加えていく
③肘を斜め下方に絞りながら引く
④肘を引いたら、肩甲骨を寄せきり広背筋を完全収縮させる
チューブを使った広背筋側部の鍛え方②
トレーニングチューブを高い位置に取り付けて、ケーブルマシンのラットプルダウンと同様の動作で広背筋を鍛える方法もあります。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①背すじを真っ直ぐにし、膝がつま先よりも前に出ないようにお尻を突き出し、上半身を前傾させ、トレーニングチューブをグリップして構える
②背中が丸まらないように、上を見てトレーニングチューブを引き上げる
③トレーニングチューブを引き上げたら、肩甲骨を完全に寄せきって背筋群を完全に収縮させる
④ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る
チューブを使った広背筋側部の鍛え方③
高い場所にトレーニングチューブを取り付けることができない場合は、このように身体を前方に曲げて「腕を上から引く軌道」を作ることで広背筋側部を鍛えることも可能です。
チューブを使った広背筋側部の鍛え方④
また、どうしても低い位置にしかトレーニングチューブを取り付けられない場合は、この動画のように床にうつ伏せになって広背筋側部を鍛える軌道を作ることもできます。
チューブを使った広背筋側部の鍛え方⑤
また、ラットプルダウン系の種目以外にも、バーベルプルオーバーのように肘を伸ばしたまま縦方向に腕を下ろすことで、違った刺激で広背筋側部をトレーニングすることも可能です。なお、プルオーバー系の種目は肘の使い方によって大胸筋に効いたり広背筋に効いたりします。
広背筋をターゲットにする場合は「肘を大きく開く」「肘を真っ直ぐに伸ばしたまま動作する」という二つのポイントを意識して行ってください。
トレーニングチューブで逆三角形になれる?
今回は、タオルにはじまり、さらに効果的なトレーニングチューブでの広背筋側部の鍛え方をご紹介していきましたが、実際、これらだけで逆三角形ボディーになれるのでしょうか?
トレーナーとして正直なことを言えば、「若干はそうなる」というところです。やはり、鍛えこんだ逆三角形ボディーになるためには、もっと高負荷で鍛える必要があります。
そのために、もっともおすすめなのが「懸垂」です。