バストアップに効果のあるアイソメトリックス筋トレの「合掌ポーズ」について、イラストをまじえて解説します。
また、合掌ポーズだけでは十分なバストアップ効果が得られるとは言い難く、アップとして行った後に動的な筋トレを行うことが大切です。ですので、自宅でもできる効果の高いバストアップ筋トレについても動画をまじえ解説していきます。
アイソメトリックストレーニングとは
筋肉を収縮させた状態で加圧する筋トレ法
アイソメトリックストレーニングとは、一般的な筋トレ=筋力トレーニングが関節を動かしながら筋肉を収縮させる動的トレーニングに対し、関節を動かさず筋肉を収縮させた状態を維持することで、筋繊維に負荷を与えて鍛える「静的トレーニング方法」です。
一定の姿勢を維持することで筋肉を鍛える体幹トレーニングも、広い意味でのアイソメトリックトレーニングに入ります。
合掌ポーズが効果のある筋肉
では、アイソメトリックトレーニングに筋肥大=バストアップに効果があるのでしょうか?
静的とは言え、筋肉に負荷を与えるのですから、もちろん効果はあります。合掌ポーズが効果のある筋肉部位は以下の通りです。
大胸筋内側:腕を身体の前側で閉じる作用があり、鍛えることでバスト全体を寄せる効果がある
大胸筋上部:腕を斜め上方に押し出す作用があり、鍛えることでバスト全体を上げる効果がある
小胸筋:大胸筋の補助筋で、鍛えることで大胸筋全体がリフトアップされる効果がある
では、その効果のほどはどのくらいなのでしょう?
ボディービルダーなども採用している
こちらは、男性ボディービルダーが合掌ポーズのアイソメトリックストレーニングを行っている動画です。
なお、合掌の向きが下向きですので、この合掌ポーズは大胸筋内側と大胸筋下部を狙ったやり方になります。
このように、合掌ポーズはボディービルダーですら取り入れるトレーニング方法ですから、効果はあると言えるでしょう。
効果的な合掌ポーズのやり方
女性が合掌ポーズで大胸筋を「寄せて上げるバストアップ」をするためには、イラストのようにやや斜め上に両手を押し込んで加圧する必要があります。
この方向に大胸筋を収縮させることで、大胸筋内側と上部に負荷がかかり、バストアップに最適な部位が鍛えられていきます。
1セット30秒を目安に2~3セット行ってください。
合掌トレーニングだけでは不十分
実際のところ、合掌ポーズには大胸筋の筋肥大=バストアップ効果はあるものの、やはり動的トレーニング=筋トレに比べると効果のほどは低くなります。
本格的なバストアップを目指すのであれば、筋トレを行うのが近道です。
それでは、次の項目からは自宅でできるバストアップ筋トレの要点と具体的な筋トレメニューをご紹介していきます。
バストアップ筋トレの三大要素
背すじを真っ直ぐにする筋トレ
バストアップ筋トレというと、どうしても胸の筋肉=大胸筋が着目されがちですが、基本として大切なのは背中=背筋のトレーニングです。
背筋のトレーニングを行うと、背骨回りの筋肉が強くなり、結果として背すじの伸びた姿勢になります。
背すじが真っ直ぐになると、自然と胸の土台=肋骨が前方に張り出し、それだけでずいぶんとバストアップ効果があるのです。
自宅でできるおすすめの背筋の筋トレメニューが以下の二種目になります。
バックエクステンション
バックエクステンションは自重で長背筋群(脊柱起立筋など)を鍛える基本種目です。反動を使って行うと腰を痛めるリスクがありますので、身体を起こすときも戻すときもコントロールした動作でゆっくりと効かせてください。
1セット20回が目安です。
【本種目のやり方とコツ】
①うつ伏せになり、頭の後ろで手を組んで構える
②上半身を起こしていく
③上半身を起こしたら、顎を上げて脊柱起立筋をしっかりと収縮させる
④効かせながら元に戻る
⑤反動を使わずに、再び上半身を上げていく
ダンベルローイング
ダンベルローイングは広背筋を中心として、背筋全体に高い効果があります。
動画のような、片腕ずつ行うワンハンドローイングが可動域が広く、広背筋を最大伸展→最大収縮させられるのでおすすめです。
胸を張り、前を見て腕を引き、最後にしっかりと肩甲骨を寄せきって背筋群を完全に収縮させてください。
1セット20回が目安です。
【本種目のやり方とコツ】
①ベンチに片手をつき、前傾姿勢を作り、腕を伸ばした位置でダンベルを持って構える
②肩甲骨を寄せながらダンベルを引き上げる
③ダンベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
胸郭を広げる筋トレ
バストアップのために大切なことに、大胸筋・バストの土台になる胸郭の拡張があります。そもそも、胸郭が狭くみぞおちが凹んだ状態では、大胸筋を鍛えても効果があらわれにくくなります。
胸郭とは、12個の胸椎と12対の肋骨および胸骨から構成される胸部の空間のことで、大切な臓器を守るとともに、胸式呼吸の胸部拡張作用を持った部分です。
胸郭トレーニングでは、この胸式呼吸の胸部拡張作用を利用して胸郭を広げていきます。
胸郭トレーニングでは、息を上げるためのスクワットと胸郭を拡げるダンベルプルオーバーを、インターバルをおかずに行いますが、それぞれのやり方は以下の通りです。
自重スクワット
まずは自重スクワットですが、この場合は下半身の筋肉を鍛えるのが目的ではなく、息を上げるのが目的ですので、20~30回の高反復回数で行ってください。
膝がつま先より前に出ないこと、胸を張り背中をそらせること、斜め後ろに腰を下ろすこと、などが動作のポイントです。
【本種目のやり方とコツ】
①足を肩幅程度に開き、背すじを伸ばして構える
②膝がつま先よりも前に出ないように気をつけ、お尻を突き出しながらしゃがんでいく
③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる
ダンベルプルオーバー
こちらが、ダンベルプルオーバーの基本的な動作の動画です。胸郭トレーニングとして行う場合は、大きく息を吸って肺にため、息を止めたままダンベルを下げて上げます。
そして、ダンベルを上げたら息を吐き、再び大きく息をため、繰り返し動作を行ってください。
1セット15回が目安です。
【本種目のやり方とコツ】
①ベンチに仰向けになり、肘を曲げてダンベルを胸の上で構える
②肩甲骨を寄せながら、肘を曲げたままダンベルを頭の後ろに下ろす
③肘を曲げたまま、肩甲骨を開きながらダンベルを上げていく
④ダンベルを元の位置まで上げたら、肘を絞り、やや顎を引いて大胸筋を完全収縮させる
大胸筋・小胸筋を鍛える筋トレ
バストアップのための大胸筋トレーニングのなかでも、自宅で行いやすい種目は以下の通りです。
腕立て伏せ
大胸筋上部に強い負荷をかけられる自重トレーニングが、この動画のような足上げ腕立て伏せです。ついお腹を突き出してしまいがちですが、そうなるとせっかくの「腕を斜め上方に押し出す」軌道が失われますので注意してください。
1セット15回が目安です。
【本種目のやり方とコツ】
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって足を台に乗せ、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せ、膝を床について構える
②肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり、逆に腰を曲げたりしないように気をつけて身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋上部を完全収縮させる
実際のところ、かなり強度の高い足上げ腕立て伏せをできる女性は多くありません。できない方は、この動画のような膝つき腕立て伏せで代用しましょう。
なお、そのまま普通に膝つき腕立て伏せを行うと、バストアップには不適切な、大胸筋下部に負荷のかかる軌道になりますので、図のように上半身を後ろに押す=腕を斜め上方に押し出す軌道で動作をし、大胸筋上部に負荷をかけて行ってください。
1セット15回が目安です。
【本種目のやり方とコツ】
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手をつき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せ、膝を床について構える
②肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり、逆に腰を曲げたりしないように気をつけて身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし、顎をやや引いて大胸筋を完全収縮させる
ダンベルプレス
腕立て伏せ系のトレーニングが、筋力的に難しい方は、ダンベルプレスで大胸筋全体を鍛えていきます。
トレーニングベンチがない場合は、床で行っても一定の効果はありあます。
1セット15回が目安です。
【本種目のやり方とコツ】
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、ダンベルを胸の上でグリップして構える
②肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを押し上げる
③ダンベルを押し上げたら、肘をしっかりと伸ばし、顎をやや引いて大胸筋を完全収縮させる
④ダンベルのウエイトに耐えながら、筋肉に負荷をかけながら元に戻る
ダンベルフライ
バストアップの仕上げに最適な種目がダンベルフライです。腕を閉じた時にダンベルを少し上に押し上げる動作を加えると、大胸筋が最大収縮してさらに効果的です。
1セット15回が目安です。
【本種目のやり方とコツ】
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、肘を伸ばして胸の上でダンベルを構える
②肩甲骨を寄せたまま、肘を曲げずに腕を開き、ダンベルをできるだけ深く下ろす
③ダンベルを下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま同じ軌道で腕を閉じる
④腕を閉じたら、ダンベルを少し押し上げながら顎をやや引いて大胸筋を完全収縮させる