よくある疑問に「筋トレに適しているのは空腹時か満腹時か」というものがあります。結論から言えば、どちらも適していません。「適切な糖質摂取をして行う」のが筋トレに最適です。
空腹筋トレで脂肪は燃焼しない
一般的に「空腹時に運動を行うと、そのエネルギー源として脂肪が分解されて燃焼する」と言われています。
これは、半分正解で半分間違いです。脂肪を分解してエネルギー源とする運動は、緩やかで持久的な「有酸素運動」の場合です。
急激で瞬発的な筋トレは「無酸素運動」であり、そのエネルギー源は筋肉細胞中のブドウ糖で、これはグリコーゲンとして蓄えられています。
筋トレのような急激な運動では、脂肪を分解していては間に合わないのです。では、空腹時でグリコーゲンも枯渇している時に筋トレをするとどうなるのでしょう?
筋肉はエネルギー源であるブドウ糖を得るために「筋肉を分解」します。これでは、何のために筋トレをしているのか、無意味になってしまいますね。
筋肥大目的の筋トレはもちろんですが、このように筋肉を分解してしまう状態でのダイエット筋トレも非効率です。ダイエット筋トレの理論は、筋トレによって筋密度を上げることにより、基礎代謝を上げて痩せる、というものなので、筋密度が下がってしまう要因となる空腹時の筋トレは無意味です。
満腹時の筋トレでは十分に追い込めない
では、逆に満腹時の筋トレはどうでしょう?
満腹時には、その食物を消化吸収するために胃腸に血液が集中します。つまり、筋トレで鍛える骨格の筋肉は「貧血状態」です。このような状態では、筋肉は十分な力を発揮できず、成果を出すために不可欠な「限界まで追い込む筋トレ」ができなくなります。
また、食事を摂り満腹になると血糖値は上昇し、身体は副交感神経優位の「休息モード」に入ります。この状態では、交感神経優位の「活動モード」で行うべき筋トレが十分にできないのは想像に難しくないことです。
筋トレ前の適切な栄養摂取とは
では、筋トレ前の適切な栄養摂取の仕方とはどのようなものでしょう?
筋トレ開始時の理想的な状態は、消化吸収が終わり、筋肉細胞中にグリコーゲンが十分に貯留され、なおかつ副交感神経が静まり交感神経が立っている状態です。
グリコーゲンの源となる糖質(炭水化物)が消化吸収されるまでには、およそ1時間が必要です。
ですので、筋トレ開始の一時間前におにぎりやパンなどの炭水化物を食べ終わるのが理想です。また、糖質として砂糖や単糖類を摂取する場合は、消化吸収が若干早いので、トレーニング開始の30分前の摂取が適切です。