フォースドレップ法は、補助者をつける(種目によってはセルフ補助)ことにより、自分の挙上限界を超えて筋肉に負荷をかけて筋肥大を加速させるトレーニングメソッドです。
その具体的なやり方・鍛え方・セットの組み方を例示するとともに、メリット・デメリット・注意点についても解説します。
フォースドレップの筋肥大におけるメリット
自力では与えられない高負荷を筋肉にかけることが可能
フォースドレップ法の筋肥大における最大のメリットは、自分自身では挙上不可能な限界を超えたレベルの負荷を筋肉に与えられることです。
初心者→中級者→上級者と筋肉が発達するにしたがい、どんどんと筋肉は負荷耐性を増し、上級者レベルになると補助者なしでの筋トレでは、事実上限界を超えたトレーニング・筋肥大は得られなくなります。
また、中級者においても、フォースドレップトレーニングによる爆発的な負荷は筋肥大を加速させるのに非常に有効な手段です。
フォースドレップ法のデメリット・注意点
怪我のリスクとオーバートレーニングに注意する
フォースドレップ法は、筋肥大に非常に有効なメソッドである反面、その自己限界を超えた高負荷から、筋肉や関節を痛めるリスクもあります。
また、毎週フォースドレップ法を行うなど高頻度で行った場合、その負荷の強さからオーバートレーニングに陥り、逆に筋肥大が停滞してしまうというデメリットがあります。
フォースドレップ法を行うのは、一つの筋肉部位に対して二週間に一回程度が適切です。
なお、初心者の方は、まずは基礎筋力を着実につけることを最優先するべきであり、フォースドレップ法の導入はあまりおすすめしません。
具体的な筋肉部位・種目別フォースドレップ法のセット例・やり方
ここからは、全身の筋肉部位別の代表的なトレーニング種目の、具体的なフォースドレップ法のセットの組み方を例示するとともに、一般的な補助のやり方をご紹介します。
大胸筋・バーベルベンチプレス
読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜
ジムで行うバーベルトレーニングののなかで、大胸筋トレーニングの王道とも言えるのが「筋トレBIG3」の一つであるバーベルベンチプレスです。肩甲骨を寄せ、顎をやや引いて行うのがポイントです。
▼具体的なフォースドレップセット例
①MAXの80%重量×8レップ
②MAXの80%重量×8レップ
③MAXの80%重量を限界まで+フォースドレップ1~2レップ
▼補助の方法
補助者にベンチプレスの軌道がずれないように補助してもらいます。
三角筋・バーベルショルダープレス
読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部|中部(側部)|後部
起始:鎖骨外側前縁|肩甲骨肩峰|肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面
ジムでのバーベルトレーニングで三角筋を鍛えるのスタンダードな種目がバーベルショルダープレスです。反動を使わずに、上げる時も下げる時もゆっくりと動作をするのが最大のポイントになります。
▼具体的なフォースドレップセット例
①MAXの70%重量×10レップ
②MAXの70%重量×10レップ
③MAXの70%重量を限界まで+フォースドレップ1~2レップ
▼補助の方法
補助者にショルダープレスの軌道がずれないように補助してもらいます。
上腕三頭筋・ケーブルプレスダウン
読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭|外側頭|内側頭
起始:肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面
停止:尺骨肘頭
ジムでケーブルマシンを使って行うプレスダウンは、上腕三頭筋を集中的に鍛えることのできる種目です。ノーマルグリップだと外側頭に、ナローグリップだと内側頭に、ロープを用いて内旋(小指を上にする方向に手首を回す)しながら行うと長頭に効果があります。
▼具体的なフォースドレップセット例
①MAXの70%重量×10レップ
②MAXの70%重量×10レップ
③MAXの70%重量を限界まで+フォースドレップ1~2レップ
▼補助の方法
補助者にケーブルを引っぱってもらう、またはウエイトを持って補助してもらいます(器具の形状によります)。
背筋群・ケーブルラットプルダウン
読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜
読みかた:そうぼうきん
英語名称:trapezius muscle
部位詳細:上部|中部|下部
起始:後頭骨上項線・外後頭隆起・頚椎棘突起|第7頚椎・第1~3胸椎棘突起|第4~12胸椎棘突起
停止:肩甲棘・肩峰
ジムで行うマシン筋トレのなかでも広背筋を鍛えるのに最適な種目がラットマシンプルダウンです。胸を張り、肩甲骨を寄せるように引くと効果的です。また、ケーブルアタッチメントをパラレルグリップに交換することで、僧帽筋に刺激を集中させることが可能です。
▼具体的なフォースドレップセット例
①MAXの80%重量×8レップ
②MAXの80%重量×8レップ
③MAXの80%重量を限界まで+フォースドレップ1~2レップ
▼補助の方法
補助者に背面からグリップバーを一緒に持ってもらう、ケーブルを引っぱってもらう、またはウエイトを持って補助してもらいます(器具の形状によります)。
上腕二頭筋・バーベルカール
読みかた:じょうわんにとうきん
英語名称:biceps
部位詳細:長頭|短頭
起始:肩甲骨関節上結節|肩甲骨烏口突起先端
停止:橈骨粗面
ジムで上腕二頭筋を鍛えるスタンダードな種目がバーベルカールです。ただし、通常のバーベルでは上手くならないと手首を痛めがちなので、できれば曲線のついたWバーやEZバーを使うようにするとよいでしょう。
また、バーベルカールにはノーマルのもの以外に、リバースカールやドラッグカールなどのバリエーションがあり、それぞれ上腕二頭筋の長頭と短頭に効果のある比率が変化します。
▼具体的なフォースドレップセット例
①MAXの70%重量×10レップ
②MAXの70%重量×10レップ
③MAXの70%重量を限界まで+フォースドレップ1~2レップ
▼補助の方法
対面した補助者にシャフトを持ってもらって補助してもらいます。補助者のいない場合は反動を使ってセルフ補助をします(チーティング法)。
下半身・バーベルスクワット
読みかた:だいたいしとうきん
英語名称:quadriceps
部位詳細:大腿直筋|外側広筋|内側広筋|中間広筋
起始:腸骨下前腸骨棘・寛骨臼上縁|大腿骨大転子外側面・転子間線・殿筋粗面|大腿骨粗線内側唇|大腿骨前外側面
停止:膝蓋骨上縁・脛骨粗面|膝蓋骨上外側縁・頸骨粗面|膝蓋骨上内側縁・脛骨結節|膝蓋骨・頸骨粗面
読みかた:はむすとりんぐす
英語名称:hamstrings
部位詳細:大腿二頭筋長頭|大腿二頭筋短頭|半膜様筋|半腱様筋
起始:坐骨結節|大腿骨粗線外側唇・外側筋間中隔|坐骨結節|坐骨結節内側面
停止:腓骨頭|腓骨頭|脛骨内側顆・斜膝窩靭帯|脛骨粗面内側
読みかた:でんきんぐん
英語名称:gluteus muscles
部位詳細:大臀筋|中臀筋|小臀筋
起始:腸骨稜・腸骨翼|腸骨翼殿筋面・腸骨稜|腸骨翼
停止:大腿筋膜外側部・大腿骨粗面|大腿骨大転子尖端|大腿骨大転子前面
ジムで行うバーベルトレーニングのなかで、もっとも基本的なトレーニング種目が「筋トレBIG3」の一つであるバーベルスクワットです。自重スクワット同様にニーベントスタイルを作り、やや斜め後方に腰を下ろしてください。
▼具体的なフォースドレップセット例
①MAXの80%重量×8レップ
②MAXの80%重量×8レップ
③MAXの80%重量を限界まで+フォースドレップ1~2レップ
▼補助の方法
補助者に背面から脇の下に腕を入れてもらい、シャフト・ウエイトではなく身体を押し上げてもらいます。
フォースドレップの補助者について
トレーナーまたは筋トレ上級者に補助してもらう
フォースドレップの補助は、各種目の適正な軌道やスティッキングポイント(挙上が一番苦しいポジション)などを補助者が完璧に理解している必要があります。
知識の乏しい人に補助してもらうと、効果がでないばかりか、怪我の原因になりますので、トレーナーまたは筋トレ上級者に補助をお願いしましょう。
さまざまな筋トレメソッド
筋トレ効果を高める各種のメソッド・トレーニング方法を詳細解説したものが下記の記事です。刺激を変えたい、さらに追い込みたいときなどに是非ご活用ください。
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【筋トレ効果を高めるメソッド】効率的に筋肉を追い込むテクニック集
停滞期を突破するには食事の見直しも大切
筋肥大の停滞期に重要なのは、筋肉を騙すトレーニング法だけではありません。
筋トレの効果を出すための基本である食事メニューを見直すのも非常に重要です。
まず、筋トレをして筋肥大するためには体重あたり2gの純タンパク質が必要とされています。つまり、70kgの人の場合、一日に140gの純タンパク質(肉類に換算して700g)とかなり多く、この量を摂りきれていないために筋肥大が停滞しているケースも少なくありません。
なお、筋トレと食事に関する情報は多岐にわたりますので、下記の記事をご参照ください。
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【筋トレの食事メニューレシピ例紹介】バルクアップ・ダイエットそれぞれに最適なカロリー・栄養素比率
筋肉部位別ストレッチ法
筋トレと合わせて行うことで、トレーニング効果を高めてくれるのがストレッチです。ストレッチを行うタイミングはトレーニング前・トレーニング中・トレーニング後ですが、それぞれに異なる意味があります。
下記の記事では、全身の筋肉部位別のストレッチ方法を、大胸筋・背筋群(僧帽筋・広背筋)・三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋・大腿筋群それぞれに動画をまじえて詳しく解説しています。
また、筋トレにおけるストレッチの効果と行うのに最適なタイミングもご紹介していますので、ご参照ください。
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