筋肉痛を引き起こす原因とされ、筋肥大効果の高いとされるエキセントリック収縮=伸張性収縮の特徴とそれを応用したトレーニング方法について解説します。
筋肉痛の原因となるエキセントリック収縮
エキセントリック収縮=伸張性収縮とは、文字通り筋繊維が伸ばされながら力を発揮する時の収縮で、筋肉痛の主な原因となる動作とされています。
具体的には、ウエイトを重力に耐えながらゆっくりと下ろす時などに発生し、ウエイトを挙上する時の短縮製収縮(コンセントリック収縮)と正反対の動作になります。
上の写真のような、ベンチプレスのバーベルの重さに耐えながらゆっくりとバーを下ろす動作がその典型例です。
なお、筋肉痛のメカニズム自体は、現在でもまだ完全に解明されていませんが、エキセントリック収縮が筋肉痛の原因になることは経験上知られており、筋肥大の効果の高い収縮方法であると推測されています。
伸張性収縮を応用したネガティブトレーニング
このエキセントリック収縮=伸張性収縮を応用したトレーニング方法として、「ネガティブトレーニング法」が広く知られています。
具体的な方法は、通常のセット終盤で筋力を使い果たし自力で挙上ができなくなった状態から、補助者によってウエイトを挙上し(または反動を使って挙上し)、できる限りウエイトをゆっくりと下ろすことで筋肉に効かせる方法です。多くの場合、セット終盤の1~3レップに導入されます。
ネガティブトレーニングの動画
こちらが、典型的なベンチプレスのネガティブトレーニングの様子です。かなり苦しいですが、その分、効果は絶大です。
ネガティブトレーニングは全身のほぼ全ての筋肉部位に応用が可能です。こちらの動画はエキセントリック収縮で効かせることをメインにしたバーベルカールの様子です。
超回復とは
筋肉は筋トレによって負荷を受けると、筋繊維が破壊されます。そして、回復する時に、負荷を受ける前よりも強くなって回復する能力が備わっており、これを「超回復」と呼びます。
この超回復という筋肉の特性を利用し、定期的に筋トレによって意図的に筋繊維を破壊し、筋肉を強くしていくのが「筋トレと超回復」の基本理論です。
よく「超回復理論は証明されていない」と言う記載もありますが、公的機関のホームページにもしっかりと記載されていますので、筋トレはやはり超回復理論にのっとって行うことが大切です。
筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報
”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”
▼厚生労働省公式ページ
筋肉痛になりにくい筋トレ方法
コンセントリック収縮のみのトレーニング
筋肉のコンセントリック収縮=短縮性収縮を主体とした筋トレは、筋肉痛になりにくい特徴があるため、競技と並行しながら筋肉を鍛えていくために有効なトレーニング方法としてトップ競技者にも取り入れられています。
▼関連記事