筋肉のコンセントリック収縮=短縮性収縮を主体とした筋トレは、競技と並行しながら筋肉を鍛えていくために有効なトレーニング方法としてトップ競技者にも取り入れられています。その特徴について解説します。
コンセントリック収縮とは
コンセントリック収縮は短縮性収縮とも呼ばれる筋収縮の仕方で、筋肉の収縮方向にむかって関節が屈曲または伸展しながら筋力を発揮する状態です。
わかりやすく具体的に表現すると、肘を曲げながらウエイトを持ち上げる時の上腕二頭筋がコンセントリック収縮をしている状態です。
軽視されがちなコンセントリック収縮
筋トレにおいては、コンセントリック収縮とは逆の収縮方向であるエキセントリック収縮(筋肉が負荷に耐えながら伸ばされる収縮)が着目される傾向にあり、コンセントリック収縮は軽視されがちな傾向にあります。
これは、エキセントリック収縮において筋肉痛が発生するので、筋トレの効果を体感しやすいことが原因です。もちろん、エキセントリック収縮を重視したネガティブトレーニングは有効なメソッドであることに間違いはありません。しかし、コンセントリック収縮にも大きなメリットがあります。
コンセントリック収縮のメリット
では、コンセントリック収縮の筋トレ効果・メリットとはどんなものでしょう?
あまり着目されないコンセントリック収縮ですが、トレーニング効果は決して低くありません。
ある権威のあるスポーツ科学の研究機関の調査によれば、コンセントリック収縮のみのトレーニングでも十分な筋肥大・筋力向上の効果があることが立証されています。
そして、コンセントリック収縮のメリットは、筋力トレーニング効果はありながらも「筋肉痛になりにくい」ことです。
これは、スポーツ競技と並行しながら筋力トレーニングを行わなくてはならないシーズン中のスポーツ選手にとっては、筋肉痛のまま試合に出場しなくてよくなるので、とても大きなメリットなのです。
競技と筋トレを並行したい方は、是非お試しください。
超回復とは
筋肉は筋トレによって負荷を受けると、筋繊維が破壊されます。そして、回復する時に、負荷を受ける前よりも強くなって回復する能力が備わっており、これを「超回復」と呼びます。
この超回復という筋肉の特性を利用し、定期的に筋トレによって意図的に筋繊維を破壊し、筋肉を強くしていくのが「筋トレと超回復」の基本理論です。
よく「超回復理論は証明されていない」と言う記載もありますが、公的機関のホームページにもしっかりと記載されていますので、筋トレはやはり超回復理論にのっとって行うことが大切です。
筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報
”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”
▼厚生労働省公式ページ
筋肉痛になりやすい筋トレ
エキセントリック収縮主体のトレーニング
エキセントリック収縮=伸張性収縮とは、文字通り筋繊維が伸ばされながら力を発揮する時の収縮で、筋肉痛の主な原因となる動作とされています。具体的には、ウエイトを重力に耐えながらゆっくりと下ろす時などに発生し、ウエイトを挙上する時の短縮製収縮(コンセントリック収縮)と正反対の動作になります。
なお、筋肉痛のメカニズム自体は、現在でもまだ完全に解明されていませんが、エキセントリック収縮が筋肉痛の原因になることは経験上知られており、筋肥大の効果の高い収縮方法であると推測されています。
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