ベンチプレスを行うときの動作に有効な呼吸法を解説するとともに、通常の筋トレでの呼吸法との違いも解説します。あわせて、胸郭を広げて胸囲を増やす方法についてもご紹介します。
通常の筋トレの呼吸法
筋肉は息を吸う時に弛緩し、息を吐くときに収縮します。ですので、一般的な筋トレ動作においては、挙上動作に入る前に息を吸い、息を吐きながら挙上を行うのが正しい呼吸法です。
また、ただ息を吐くだけでなく、挙上をしながら叫ぶことにより最大筋力が数%上昇する「シャウティング効果」も知られています。
ベンチプレスの呼吸法
ベンチプレスにおいては、通常の筋トレとやや呼吸法が異なります。これは、ベンチプレスの大きな要素の一つである「胸の高さの確保」に関わっています。
ベンチプレスを行う場合、その稼動距離は最大挙上高(バーベルを押し上げた位置)と胸の高さの差です。
ですので、よりベンチプレスを最短距離で動作するためには、最大に肺に空気を入れて胸郭を広げ、高さを稼ぐ必要があります。
また、トレーニングで数回の反復回数を行う場合、途中で呼吸をすると肺の空気が抜けてしまい胸の高さをロストするので、少ないレップ数のベンチプレスセットでは、最終レップまでは息を吐かないのがコツになります。
なお、セットの途中で呼吸が必要になった場合は、トップポジションでバーベルを固定し、息を吐いてから最大に息を吸って、胸郭の高さを再構築してから次の挙上動作に入ります。
この時に、フォームを崩さないことを意識しないと、肩甲骨のロックが外れて胸の高さをロストしますので注意が必要です。
ハイパーベンチレーションの応用
ベンチプレス選手の中には、ハイパーベンチレーションと呼ばれる呼吸方法を応用して、通常よりも多い量の空気を肺に入れることにより胸郭をより一層広げて胸の高さを稼ぐ人も少なくありません。
ハイパーベンチレーションとは、人為的に過呼吸を作り出す方法で、フリーダイビング(素潜り)の世界では有名な呼吸方法です。
そのやり方は、早く浅い呼吸を繰り返しながら徐々に息を吐いていき、息を吐ききったら大きな呼吸で一気に肺に空気を送り込みます。
これにより、通常の呼吸より10%程度多くの空気を取り込むことができます(熟練度により個人差があります)。
胸郭を広げて胸囲100cmを超えるトレーニング法
ベンチプレスの呼吸法とはやや話がそれますが、呼吸法を活用したベンチプレスとスクワットの組み合わせトレーニングにより、胸郭自体を広げ、胸囲を増やすトレーニング方法があります。
20代前半までなら、10cm近く胸囲を増やすことも可能で、それ以降でも数cmは胸囲を増やすことができます。この機会に、その方法について詳しく解説した記事をご紹介します。ぜひ、ご一読ください。
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下記の記事は、当サイトGLINTに客員執筆いただいている、パワーリフティング選手で世界ランカーでもある奥谷元哉選手によるベンチプレス専門記事です。
【ベンチプレス100kgを挙げるやり方】フォームとメニューの組み方を元全日本王者が解説
【戦歴】
2009年全日本パワーリフティング選手権大会75kg級大会優勝
2011年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級優勝
2011日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2011年世界パワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級2位
2012年アジアパワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級1位
2014日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2015年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2017年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級3位
2018年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位