空手など打撃格闘技では、つい派手な攻撃技に気をとられがちですが、それよりも重要で、組手の基礎となるのが防御=受け・ガードです。
今回は、防御の基本となる中段回し蹴りに対する受け方の悪い例と良い例を解説するとともに、フルコンタクト空手からテコンドーに転向し、小・中・高と全日本ジュニアメダルを奪取、現東日本地区チャンピオンのHayate Kamioka選手の行う「攻撃的防御」=「盾を剣とするガード」をご紹介します。
※本記事は免責同意下の格闘競技におけるノウハウを解説した記事です。他の目的で訪れた方はブラウザの「戻る」ボタンでお戻りください。
テコンドー主戦績
全日本選手権東日本地区大会3位
全日本選手権東日本地区大会優勝
全日本学生選手権準優勝
全日本選手権準優勝
【Hayate Kamioka選手監修ここから】
中段回し蹴りに対する悪い受け方
身を引いたり捻るとダメージは倍増
初心者に見られがちな、中段回し蹴りに対する悪い受け方が、「恐くてつい身を引いたり捻ってしまう」動作です。
上腕回し蹴りならば、身を引く=スウェーでかわせることも少なくありませんが、距離の近い中段回し蹴りは、スウェー系の動作でかわすことはほぼ不可能です。
もし、かわせたとしても、大きく後退するため、受けからのカウンターや反撃を行うことができません。
そして、ほとんどの場合がそうですが、身を引いたり捻る動作中は腹部を固めることができないため、より深く打撃ダメージを受けてしまい、特にレバーを狙った左中段回し蹴りなどの場合は、一撃で倒されてしまうこともあります。
まだ、その場で硬直してしまうほうがましなくらいです。
中段回し蹴りに対する良い受け方
腹部とガードを固めてやや前にでる
こちらの写真は、中段回し蹴りに対する防御姿勢を師範が生徒に教えている様子ですが、まさに、良い受け方の典型例です。
肘を90度前後に曲げて腹部ガードを固めます。さらにガードを固めたい場合は、もう片方の手をガード腕の肘内側に当てるとよいでしょう。
また、中段からの変化上段回し蹴りを警戒する場合は、もう片方の手を頭部に添えておきます。
なお、ガードを固めるとともに、息を詰めて腹部を固めることも重要です。
さらに、相手の蹴りを見切れていれば、蹴りのインパクトより一瞬速く身体を前に出し、相手の蹴りが最大速度に達する前に受け止めてしまえば、受けるダメージが半減するだけでなく、こちら側の反撃のチャンスもひろがります。
盾を剣にする究極の受け方
ガードの肘を相手の足に突き刺す
こちらは、Hayate選手が中学二年生の時のスパーリングの風景です。
この時点で、すでにJOC全日本ジュニア三位のレベルだったため、同年代にスパーリング相手がおらず、一般(大人)のフルコンタクト空手選手と組手練習をしていました。
なかでも、いつも苦戦していたのが動画の相手(極真空手の茶帯県チャンピオン)で、KOされることもしばしばでした。
かなり苦しい組手練習の日々でしたが、そんな中でHayate選手が誰に教えられるでなく使い始めたのが、この動画の肘迎撃ガードです。
動画を見ていただくと、中段回し蹴りのインパクトの瞬間に、相手の足の甲・すねに対して肘が垂直に入射する角度に張り出していることがわかります。
相手にすれば、固く尖った肘をフルスイングで蹴ることになりますから、受けるダメージは甚大です。
結局、このスパーリングではガードで相手をKOしてしまいました。
撮影をしながら見ていた、父である筆者は、追い詰められた実戦のなかでしか生まれない「戦場の拳技」だなと、感じたことを覚えています。
【Hayate Kamioka選手監修ここまで】
戦績:全日本選手権準優勝・全日本学生選手権準優勝・東日本選手権優勝・全日本ジュニア選手権準優勝など
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