懸垂は1セット何回やればよいのでしょう?
それは、筋トレの目的が筋肥大バルクアップなのか、細マッチョ目的なのか、引き締めダイエット目的なのかによって変わってきます。
適切な回数設定をするためには、まずは筋繊維の種類と特性を知る必要があります。
懸垂の目的別の筋肉の種類
瞬発筋TYPE2b・瞬発筋TYPE2a・持久筋
懸垂に代表される筋トレの対象となるのは横紋筋と呼ばれる随意筋(自分の意思で収縮させられる筋肉)で、その特性によって大きく三種類に分類されます。
○瞬発筋TYPE2b:速筋繊維TYPE1b|収縮速度が速く(Fast)グリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源としているためFG筋とも呼ばれる
○瞬発筋TYPE2a:速筋繊維TYPE2a|収縮速度が比較的速く(Fast)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからFO筋とも呼ばれる
○持久筋:遅筋繊維TYPE1|収縮速度が遅く(Slow)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからSO筋とも呼ばれる
筋肥大しやすい速筋繊維TYPE2b・瞬発筋TYPE2b(白筋・FG筋)
筋肥大をして、いわゆるゴリマッチョと俗称される体型を目指す場合にターゲットにするのか瞬発筋TYPE2b・速筋繊維TYPE2bです。
この筋肉は鍛えると筋肥大しやすい特性があり、グリコーゲンをエネルギー源として収縮します。その収縮持続時間は長くても10秒程度と短いのですが、その反面、最大の筋力を一瞬で発揮します。
FG筋や白筋とも呼ばれる瞬発筋TYPE2bは、6~10回の反復回数で限界がくる高重量高負荷で鍛えることで発達します。
ほどよく筋肥大し引き締まる瞬発筋TYPE2a・速筋繊維TYPE2a(ピンク・FO筋)
ほどよく筋肥大し引き締まる特性がある瞬発筋TYPE2a・速筋繊維TYPE2aは、いわゆる細マッチョと俗称される体型を目指す場合にターゲットにする筋肉の種類です。
この筋肉は、30~60秒のやや持久的で強めの筋収縮の主体となり、酸素をエネルギー源としています。
ピンク・FO筋とも呼ばれる瞬発筋TYPE2aを鍛えるためには、15回ほどの反復回数で限界がくる中重量中負荷でトレーニングをするのが最適です。
筋肥大せず引き締まる持久筋・遅筋繊維TYPE1(赤筋・SO筋)
持久筋・遅筋繊維TYPE1は鍛えても筋肥大せず引き締まるという特性があり、ダイエット筋トレのターゲットとなる筋肉です。
この筋肉は酸素をエネルギー源としており、数分から数時間の持続的な筋収縮を行います。
赤筋やSO筋とも呼ばれる持久筋を鍛えるためには、20~30回以上の反復回数で限界がくるような低負荷高回数で筋トレをするのが最適です。
懸垂の目的別に鍛える筋繊維
ここまで解説した三種類の筋繊維の特徴から、具体的には懸垂の目的に応じてターゲットにする筋繊維を変えていきますが、それは以下の通りです。
筋肥大筋トレ:速筋繊維TYPE2aをターゲットにし、6~10回の回数でトレーニングする|いわゆるゴリマッチョ筋トレ
ボディメイク:速筋繊維TYPE2aをターゲットにし、15回前後の回数でトレーニングする|いわゆる細マッチョ筋トレや女性のボディーメイク筋トレ
ダイエット:遅筋繊維1をターゲットにし、20回以上の回数でトレーニングする|いわゆる引き締め筋トレ
懸垂の負荷調整
懸垂はフリーウエイトトレーニングやマシントレーニングと違い、自分の体重を負荷に使うため重量調整ができません。
このため、負荷を調整するためには以下の二つの方法を用います。
①動作スピードを速くしたり遅くしたりする
②低強度バリエーションまたは高強度バリエーションを行う。
以下に、低強度バリエーションと高強度バリエーションのやり方を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
強度が低い懸垂
順手斜め懸垂の動画とやり方
順手斜め懸垂は、このように机の下に潜り込んで行うことができます。胸を張り、身体を持ち上げながら肩甲骨を寄せることで背筋群が完全収縮します。
◆斜め懸垂のやり方と動作ポイント
①肩幅よりも広い手幅でバーをグリップし、背すじを伸ばして構える
②肩甲骨を寄せながら、腰を曲げたりお腹を突き出したりせずに体を引き上げていく
③身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④コントロールした速度で身体を下ろし、反動を使わずに再び身体を引き上げる
◆ワンポイントアドバイス
顎をバーより上に出すのではなく、バーに胸をつけにいく軌道で動作を行い、背筋群を完全収縮させることが重要です。
逆手斜め懸垂の動画とやり方
逆手斜め懸垂は、先ほどとは逆に身体を構えることで行うことが可能です。あまり肩甲骨を寄せずに行うと上腕二頭筋に、肩甲骨を寄せて行うと僧帽筋に効果的です。
トレーニングチューブ補助懸垂
懸垂ができない方におすすめなのが、こちらのようなトレーニングチューブを補助に使用した懸垂です。
足で補助する懸垂
また、このように台の上に立ち、自身の脚力を補助に使う懸垂のやり方もあります。
強度が高い懸垂
懸垂は腰に重りをぶら下げて行うことで、いくらでも負荷強度を上げることが可能です。