ブルガリアンスクワットはブルガリアの体操女子五輪チームが発案したとされる下半身の総合トレーニングで、数ある下半身種目のなかでも最高レベルの強度と効果を誇っています。
また、女性のダイエット・ヒップアップに対しても非常に高い効果があることでも知られています。そのやり方とポイント・バリエーションを動画をまじえて解説します。
ブルガリアンスクワットがダイエットに効果的な理由
人体最大の筋肉群である大腿筋群を強く刺激できる
ブルガリアンスクワットは、下半身全ての筋肉を強く刺激します。その結果、翌日や翌々日はかなりの筋肉痛になりますが、これを回復するために新陳代謝が活発になり、この二日間は、トレーニングをしていない間も寝ている間も代謝カロリーが消費され続ける状態になります。
さらに、ブルガリアンスクワットを続けていると、下半身の筋密度が向上し、基礎代謝の高い「太りにくく痩せやすい体質」になっていきます。
これらのことが、ブルガリアンスクワットがダイエットに最高レベルの効果があるとされる理由です。
ブルガリアンスクワットが効果のある筋肉
大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋群・腸腰筋群・下腿三頭筋・前脛骨筋に効果がある
それでは、次にブルガリアンスクワットが効果のある筋肉を詳しく見ていきましょう。
ブルガリアンスクワットは、大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋群・腸腰筋群・下腿三頭筋など、下半身の筋肉に広く効果があります。
それぞれの筋肉と作用と特徴、そしてブルガリアンスクワットの効果は次の通りです。
大腿四頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:だいたいしとうきん
英語名称:quadriceps
部位詳細:大腿直筋|外側広筋|内側広筋|中間広筋
起始:腸骨下前腸骨棘・寛骨臼上縁|大腿骨大転子外側面・転子間線・殿筋粗面|大腿骨粗線内側唇|大腿骨前外側面
停止:膝蓋骨上縁・脛骨粗面|膝蓋骨上外側縁・頸骨粗面|膝蓋骨上内側縁・脛骨結節|膝蓋骨・頸骨粗面
大腿四頭筋は太もも前側の筋肉で、大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋の四部位から構成されており、主に膝関節を伸ばす作用があります。人体でも最大の筋肉で、筋トレをして刺激する事で高いダイエット効果が得られます。
ハムストリングスの英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:はむすとりんぐす
英語名称:hamstrings
部位詳細:大腿二頭筋長頭|大腿二頭筋短頭|半膜様筋|半腱様筋
起始:坐骨結節|大腿骨粗線外側唇・外側筋間中隔|坐骨結節|坐骨結節内側面
停止:腓骨頭|腓骨頭|脛骨内側顆・斜膝窩靭帯|脛骨粗面内側
ハムストリングスは太もも後側の筋肉群で、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋から構成され、主に膝関節を曲げる作用があります。また、お尻の筋肉と強い連動性があり、鍛えることでヒップアップ効果が得られます。
臀筋群の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:でんきんぐん
英語名称:gluteus muscles
部位詳細:大臀筋|中臀筋|小臀筋
起始:腸骨稜・腸骨翼|腸骨翼殿筋面・腸骨稜|腸骨翼
停止:大腿筋膜外側部・大腿骨粗面|大腿骨大転子尖端|大腿骨大転子前面
臀筋群は大臀筋・中臀筋・小臀筋から構成されるお尻の筋肉群で、主に脚を後ろに上げる作用があります。この筋肉群を鍛えることで、高いヒップアップ効果があります。
腸腰筋群の英語名称・構造・部位詳細
読みかた:ちょうようきんぐん
英語名称:iliopsoas
部位詳細:腸骨筋|大腰筋|小腰筋
腸腰筋群は大腰筋・小腰筋・腸骨筋から構成される骨盤と大腿骨をつなぐインナーマッスルで、主に脚を前に上げる作用があります。鍛えることで骨盤の位置が正しく維持されるとともに、内臓の代謝も上がりダイエット効果があるとされています。
下腿三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:かたいさんとうきん
英語名称:triceps muscle of calf
部位詳細:腓腹筋外側頭|腓腹筋内側頭|ヒラメ筋
起始:大腿骨外側上顆|大腿骨内側上顆|腓骨頭・脛骨後面
停止:踵骨隆起|踵骨隆起|踵骨隆起
下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉で、足首を伸ばす作用があります。高反復回数で鍛えることにより引き締め効果が得られます。
前脛骨筋
前脛骨筋は脛の筋肉で、足首を曲げる作用があります。ふくらはぎと同時に鍛えることで引き締め効果が得られます。
ブルガリアンスクワットの前足と後ろ足の動作と筋肉
太もも引き締めなら前足・ヒップアップなら後ろ足を意識する
こちらの画像は、ブルガリアンスクワットの前足と後ろ足がそれぞれどの筋肉に効果があるかを図式化したもので、詳しくは以下の通りになります。
○前足:腸腰筋群・大腿四頭筋・下腿三頭筋
○後ろ足:臀筋群・ハムストリングス・前脛骨筋
これらを把握し、太ももやふくらはぎの引き締め重視で行う場合は前足主働で、ヒップアップを目的で行う場合は後ろ足主働で行うと能率的です。
ブルガリアンスクワットの正しいフォーム
胸を張り背中を反らせ上を見て膝がつま先より前に出ないよう斜め後ろに腰を下ろす
こちらが、ブルガリアンスクワットの正しいフォームと注意点を図式化したもので、その要点は以下のようになります。
・胸を張る
・やや背中を反らせる
・やや上を見る
・膝をつま先より後ろにする
・斜め後ろに腰を下ろす
ブルガリアンスクワットの模範動画
こちらが、ブルガリアンスクワットの模範的な動画になります。先の項目で解説したフォームと動作の注意点・ポイントを意識して行ってください。
ミスボディーフィットネストップ選手による解説
戦績:H26オールジャパンミスボディフィットネス 163cm以下級 第3位など
当サイトに客員執筆をしていただいているミスボディーフィットネストップ選手のMIKIKO選手による、ブルガリアンスクワットの解説は以下の通りです。
「片脚ずつ行う種目です。片脚の甲、足首をベンチ台などに置き、内転筋のストレッチを感じながらできるだけ深くしゃがみ、床を押すように片脚でグッと立ち上がります。」
「前に置いた脚の膝がつま先より前に出ないように、視線は前を見据えたままです。この時にお尻の筋肉をギュッと硬くすることが大切です。まずはウエイトなしで深くゆっくりしゃがむ練習をしてから、徐々にウエイトを増やしていきましょう。」
▼引用記事
【女性のジム下半身痩せ筋トレ】マシン中心のダイエット方法をミスボディフィットネストップ選手が解説
ブルガリアンスクワットの効果的な回数
片足15回を目安に1セットを行なう
ブルガリアンスクワットの女性にとって適切な回数は、遅筋をターゲットにする1セット15回(片足あたり)で限界がくる負荷設定が目安になります。これよりも少ない回数で限界がくる負荷で行うと、筋肥大する速筋が刺激されますので注意してください。
負荷調整は、台の高さを変化させるか、下記のような強度を増減させるバリエーションで行ってください。
ブルガリアンスクワットのバリエーション
強度を下げるフロントランジスクワット
ブルガリアンスクワットが片足15回できない方は、こちらのような台を使わないフロントランジスクワットから始めるとよいでしょう。
やや強度を下げるダンベルフロントランジスクワット
また、フロントランジスクワットではやや強度がたらないという方には、ブルガリアンスクワットよりやや強度の低い、ダンベルフロントランジスクワットがおすすめです。
強度を上げるダンベルブルガリアンスクワット
通常のブルガリアンスクワットでは強度不足という方は、こちらの動画ようにダンベルを保持して行うダンベルブルガリアンスクワットが最適です。
ブルガリアンスクワットとあわせて行いたい種目
内もも(内転筋群)を引き締める種目がおすすめ
読みかた:ないてんきんぐん
英語名称:adductors muscles
部位詳細:大内転筋|長内転筋|短内転筋|薄筋|恥骨筋
ブルガリアンスクワットは、下半身ほぼ全ての筋肉に効果のあるトレーニング方法ですが、唯一鍛えられないのが内ももの筋肉である内転筋群です。なお、内転筋群は大内転筋・薄筋・恥骨筋・長内転筋・短内転筋から構成されており、脚を内転させる(横向きに閉じる)作用があります。
ブルガリアンスクワットとあわせて行うと、下半身ダイエットがさらに効果的になる内転筋群のトレーニング方法は次のようなものがあります。
ワイドスクワット
内転筋群に効果の高いスクワット系種目が、大きく脚を開いて行うワイドスクワットです。つま先を外向きに構え、膝をその方向に曲げるように動作をしてください。
サイドランジ
内転筋群を集中的に鍛えることのできる種目が、サイドランジです。伸ばしたほうの脚を主体にして動作するように意識しましょう。
ダイエット筋トレの負荷回数設定
女性のダイエット筋トレでは、筋肥大する速筋への刺激を避け、筋密度が上がるだけの遅筋を刺激するため、20回以上の反復で限界がくる負荷回数設定で行ってください。
筋肉の名称と作用
身体を鍛えていく上で、まず理解したいのが全身の主な筋肉の名称と作用です。それぞれの筋肉の役割を知ることで、効率のよいトレーニングを行うことが可能になります。
▼筋肉名称デジタル図鑑
【筋肉名称デジタル図鑑】各部位の名前・作用・筋トレ方法(鍛え方)
身体を鍛えたら食事にも気を使う
筋トレの効果を高める食事や栄養の知識がなければ、いくらトレーニングだけを頑張っても大きな効果は得られません。下記の記事では、三大栄養素に関する基礎知識から、筋トレ目的別の食事メニューの基本理論、具体的な食品食材、実際の筋肥大期と減量期の食事レシピを解説・ご紹介しています。
▼筋トレの効果を高める食事
【目的別筋トレ食事メニュー例】増量期・減量期の食品と具体的レシピを紹介
自重トレーニングをランクアップ
自重トレーニングの負荷をランクアップさせ、さらに効率的にボディメイクをしていくのに便利なのが、トレーニングチューブ=レジスタンスバンドの併用です。当ジム運営ショップでは、品質確認を行った海外製品を輸入してリーズナブルにご提供しています。