自宅でも本格的に大胸筋・三角筋・上腕三頭筋を鍛えることのできるダンベルプレスの種類・バリエーションとフォームのコツを解説するとともに、床でのやり方や30kgのダンベルプレスができると何kgのベンチプレスが上がるかなど、ダンベルプレスプレスに関して詳しくご紹介します。
ダンベルプレスが効果のある筋肉部位
大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜
三角筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部|中部(側部)|後部
起始:鎖骨外側前縁|肩甲骨肩峰|肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面
上腕三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭|外側頭|内側頭
起始:肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面
停止:尺骨肘頭
ダンベルプレスが効果のある筋肉部位は、大胸筋をはじめとして三角筋や上腕三頭筋といった上半身の押す筋肉です。
また、ダンベルプレスのバリエーションにより、大胸筋のなかでも上部や下部など、効果の高い場所が異なります。
ダンベルプレスのメリット
可動範囲がベンチプレスよりも広い
ダンベルプレスは自宅などでベンチプレスができないから行う、というだけではありません。
実際にジムなどでも、ベンチプレスやマシンプレスと併用することもしばしばです。
それは、ダンベルプレスにはダンベルプレスにしかないメリットが理由で、それはベンチプレスよりもダンベルプレスの方が可動範囲が広く、大胸筋を最大伸展させて鍛えらることになります。
上半身の押す筋肉全体に効果的なダンベルプレス
ダンベルプレスのフォームとコツ
ダンベルプレスのなかでも最もスタンダードな、フラットベンチの上で行うノーマルダンベルプレスは、大胸筋・三角筋・上腕三頭筋といった上半身の押す筋肉全体に効果的です。
肩甲骨を寄せ胸を張り、肩甲骨二点と臀部一点のあわせて三点で身体を確保するのが最も安定します。
また、ダンベルを下ろす時に肩関節のラインより頭側に下ろさないように気をつけることも、肩の故障を防ぐためには重要です。
ダンベルを押し上げたフィニッシュポジションではダンベル同士を押し当て、さらにそこから絞るように数cmプレスすると大胸筋が最大収縮して効果が高まります。
また、苦しくなると首をベンチに押し付けるように顎を上げるのをよく見かけますが、大胸筋の収縮に対する首の連動は屈曲ですので、苦しい時こそ顎を引いて大胸筋を完全収縮させましょう。
◆ダンベルプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、ダンベルを胸の上でグリップして構える
②肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを押し上げる
③ダンベルを押し上げたら、肘をしっかりと伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
④ダンベルのウエイトに耐えながら、筋肉に負荷をかけながら元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肩を痛めないためには、ダンベルを肩のラインよりヘソ側に下ろすようにしてください。
大胸筋上部に効果的なインクラインダンベルプレス
大胸筋上部に効果の高いダンベルプレスのバリエーションがインクラインダンベルプレスです。
インクラインベンチの角度が30度前後が最も大胸筋上部に負荷がかかり、それより角度が緩いと大胸筋中央部に、角度が急だと三角筋に負荷がかかります。
なお、苦しくなると胸を張ってブリッジを作りたくなりますが、そうなると腕を押し出す軌道が通常のダンベルプレスに近くなり、大胸筋上部から刺激が逃げてしまうので気をつけましょう。
◆インクラインダンベルプレスのやり方と動作ポイント
①インクラインベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、ダンベルを胸の上でグリップして構える
②肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを押し上げる
③ダンベルを押し上げたら、肘をしっかりと伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
④ダンベルのウエイトに耐えながら、筋肉に負荷をかけながら元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
腰を浮かせると、せっかくの大胸筋上に負荷のかかる軌道が損なわれますので、しっかりとインクラインベンチに背中と腰をつけて動作を行ってください。
大胸筋下部に効果的なデクラインダンベルプレス
インクラインとは逆に、ベンチを下方に傾けて行うデクラインダンベルプレスは、大胸筋のなかでも大胸筋下部に効果的なバリエーションです。
苦しくなったらブリッジを作ることで、さらに大胸筋下部を追い込むことが可能です。
◆デクラインダンベルプレスのやり方と動作ポイント
①デクラインベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、ダンベルを胸の上でグリップして構える
②肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを押し上げる
③ダンベルを押し上げたら、肘をしっかりと伸ばし、顎をやや引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
④ダンベルのウエイトに耐えながら、筋肉に負荷をかけながら元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
はじめから腰を浮かせる前提で重量設定するのではなく、どうしても最後に挙げられない場合に腰を浮かせてセルフ補助をしてください。
上腕三頭筋に効率的なダンベルトライセプスプレス
通常のダンベルプレスのグリップとは逆の握り方でおすすめバリエーションはダンベルトライセプスプレスは、上腕三頭筋に負荷が集中するバリエーションです。
肘をできるだけ開かずに動作することがポイントになります。
肩が痛い時はハンマーダンベルプレス
ダンベルなど大胸筋トレーニングにつきものなのが肩の痛みです。痛みがある時に我慢していると、本格的に肩を故障しますので、痛みがある動作でトレーニングをすることは避けなくてはいけません。
ダンベルを通常の横方向ではなく、縦方向に構えて動作することで、肩の痛みが気にならないケースもありますので、ぜひ試してみてください。
もちろん、それでも肩に痛みを感じる場合は無理をせず、まずは肩の回復に専念しましょう。
ベンチがなければ床でフロアーダンベルプレス
ダンベルプレスはフラットベンチやインクラインベンチの上で行うのが普通ですが、ベンチがない場合は床の上でフロアーダンベルプレスを行ってもかなり効果はあります。
しかし、ダンベルプレスの最大のメリットである可動範囲の広さはなくなりますので、やはりベンチは入手したいものです。
また、こちらの動画のようにソファーに持たれてダンベルプレスをすることで、インクラインダンベルプレスに近い効果が得られます。
デクラインダンベルプレスもこちらの動画のように膝を立てて行うことで、ある程度は応用が可能です。
ダンベルプレス30kg8レップでベンチプレスはいくら上がるか
よく話題になることに、「ダンベルプレス30kgが8レップできたらベンチプレス100kgが上がる」というものがありますが、長年数多くのトレーニーを見てきて、それはだいたい正解かなと思います。
ちなみに、もちろん個人差はありますが、ダンベルプレス20kgが10レップできると、ベンチプレス90kgが上がります。
ダンベルプレスの呼吸方法
筋肉は息を吐く時に収縮し、息を吐く時に弛緩します。ですので、ダンベルを押し上げながら息を吐き、下ろしてから息を吸うのがスタンダードです。
しかし、高重力を扱う溶きには、ダンベルを下ろした状態で息を吸い、呼吸を止めたまま嵩レップ行い、ダンベルを下ろしてから一気に呼吸をするのがベストです。
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筋肉の名称と作用
身体を鍛えていく上で、まず理解したいのが全身の主な筋肉の名称と作用です。それぞれの筋肉の役割を知ることで、効率のよいトレーニングを行うことが可能になります。
▼筋肉名称デジタル図鑑
【筋肉名称デジタル図鑑】各部位の名前・作用・筋トレ方法(鍛え方)
身体を鍛えたら食事にも気を使う
筋トレの効果を高める食事や栄養の知識がなければ、いくらトレーニングだけを頑張っても大きな効果は得られません。下記の記事では、三大栄養素に関する基礎知識から、筋トレ目的別の食事メニューの基本理論、具体的な食品食材、実際の筋肥大期と減量期の食事レシピを解説・ご紹介しています。
▼筋トレの効果を高める食事
【目的別筋トレ食事メニュー例】増量期・減量期の食品と具体的レシピを紹介
当ジムで使用しているダンベル
当ジムで実際に使用している各種ダンベルについては下記の記事で解説しています。
本当におすすめのリストラップとは?
ジムトレーナーが本音で解説
プレス系トレーニングの効率を高め、手首を保護するために必須ともいえるマストアイテムがリストラップですが、本当にたくさんのメーカー・種類がありすね。そして、検索ででてくる「おすすめリストラップ」は正直、全くおすすめではありません。なぜなら、多くの記事は素人またはそれに近いライターさんが書いているもので、リストラップの本質について書かれてはいません。もちろん、そのチョイスについてもしかりです。
下記の記事は、国内主要メーカーのリストラップ(IPF公認含む)を「ウエイト下垂実験」もふくめて本気で試用・考察したものです。筆者のトレーナーとしての意見、パワーリフティング元日本王者の理論など、「本物のリストラップについて本音で解説」しています。
肩甲骨を寄せるギア
プレス系種目で大切なフォームの一つに「肩甲骨を寄せた姿勢を保つ」ことがありますが、これは肩関節が前方へ突出することを防ぎ、①大胸筋へ負荷を集中させる、②肩への余計な負担を防ぐ、という2つの意味があります。
肩甲骨を寄せた姿勢をとることが苦手な方は、スパインサポーターなど専用のトレーニンググッズを使用するのも一つの方法です。