背筋のダンベルを使った筋トレ方法・鍛え方を、その部位別(僧帽筋・広背筋・長背筋)に徹底的に動画をまじえて解説します。
自宅トレーニングで逆三角形の背中を手に入れたい方には必見の内容です。
また、あわせて背筋群と強い共筋関係にある三角筋後部・上腕二頭筋長頭・上腕筋を鍛えるダンベルトレーニングもご紹介します。
背筋群の構造と作用
僧帽筋・広背筋(中央部・中部)・長背筋群に分かれ腕を後ろに引いたり姿勢を維持する
背筋群はおおきく僧帽筋・広背筋・長背筋群に分けることができます。その作用は以下の通りです。
僧帽筋
僧帽筋は首の後ろから腰にかけて位置しており、主に腕を下かエア引き上げるとともに、広背筋収縮後にさらに肩甲骨を引き寄せる作用があります。この部位を鍛えると横から見て分厚い上半身になります。
※上腕筋と強い共働関係にあります。
広背筋中央部
広背筋中央部は僧帽筋の下方延長線上に位置しており、主に腕を前方から引く作用があります。この部位を鍛えると背筋群の筋力全般が向上します。
※上腕二頭筋と強い共働関係にあります。
広背筋側部
広背筋側部は体幹背面側部に逆三角形状に位置しており、主に腕を上から引く作用があります。この部位を鍛えると逆三角形の上半身になります。
※三角筋後部と強い共働関係にあります。
長背筋群
長背筋群は板状筋・脊柱起立筋・半棘筋・多裂筋・回旋筋空構成される脊柱周辺に位置する筋肉の総称で、体幹の伸展と姿勢の維持をする作用があります。この部位を鍛えると姿勢がよくなるだけでなく、基礎的な運動能力が向上します。
なお、長背筋群に属する筋肉は以下の通りです。
板状筋(musculus spenius)
頭板状筋(musculus spenius capitis)
頸板状筋(musculus spenius cervicis)
脊柱起立筋(musculus erector spinae)
腸肋筋(musculus ilicostalis)
最長筋(musculus longissimus)
棘筋(musculus spinalis)
半棘筋(musculus semispinalis)
多裂筋(musculus multifidus)
背筋群全体に効果的なダンベル筋トレ
ダンベルデッドリフト
背筋群全体に効果的で、背筋のダンベルトレーニングの基本種目と言えるのがダンベルデッドリフトです。そのポイントは以下の通りです。
・膝をつま先より前に出さない
・胸を張り腰を反らせる
・やや上を見て動作する
※10~15回を1セットの目安にしてください。
◆ダンベルデッドリフトのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばし、足を閉じて膝を曲げて立ち、足の外側でダンベルを持って構える
②まずは膝を伸ばす動作で初動を行い、ダンベルが床から浮いたら、肩甲骨を寄せながら立ち上がりダンベルを引き上げていく
③ダンベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる
④ある程度コントロールした速度で元に戻り、反動を使わずに再びダンベルを引き上げていく
◆ワンポイントアドバイス
腰を曲げ、背中が丸まった状態で動作を行うと腰に対して大きな負担がかかりますので、視線を上に向け、背すじを伸ばすことを意識してください。
◆初心者の方へのアドバイス
効きにくい場合は、ダンベルを挙げる軌道を太腿の外側真横で行ってみてください。
ダンベルベントオーバーロー
背筋群全体に効果が高く、背筋のダンベルトレーニングの代表種目の一つとも言えるのがダンベルベントオーバーローです。このような姿勢を「ニーベントスタイル」と言い、フリーウエイトトレーニングの基本姿勢の一つなので、この機会に習得することをおすすめします。
なお、ニーベントスタイルの基本的なポイントは以下の通りです。
・膝が爪先より前に出ないようにする
・背中を反らせ胸を張った姿勢を維持する
・顎を上げやや斜め上方を見て動作する
※10~15回を1セットの目安にしてください。
なお、腰に不安のある場合は、図のように何かに頭をついて上半身を支えて行うことをおすすめします。
◆ダンベルベントオーバーローのやり方と動作ポイント
①前傾姿勢を作り、腕を伸ばした位置でダンベルを持って構える
②肩甲骨を寄せながらダンベルを引き上げる
③ダンベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
背中が丸まっていると背筋群が完全収縮しないので、視線を前に向け背すじを伸ばして行ってください。
広背筋に効果的なダンベル筋トレ
広背筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜
ワンハンドダンベルローイング
広背筋の中央部に効果的なダンベルトレーニングがワンハンドローイングです。ベントオーバーローに比べ、広背筋を最大伸展させられるのが大きなメリットになります。
背中をやや反らせ、前を見て動作を行ってください。
※10~15回を1セットの目安にしてください。
◆ダンベルローイングのやり方と動作ポイント
①ベンチに片手をつき、前傾姿勢を作り、腕を伸ばした位置でダンベルを持って構える
②肩甲骨を寄せながらダンベルを引き上げる
③ダンベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
背中が丸まっていると背筋群が完全収縮しないので、視線を前に向け背すじを伸ばして行ってください。
◆初心者の方へのアドバイス
手をつく台は、腕を完全に伸ばしきってもダンベルが床につかない高さのものを選んでください。
ストレートアームダンベルプルオーバー
広背筋上部に効果の高いダンベル種目がダンベルプルオーバーです。この種目はフォームにより大胸筋トレーニングにもなります。広背筋に負荷をかけるためには、肘を伸ばして行う必要があります。
◆ストレートアームダンベルプルオーバーのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肘を伸ばして胸の上でダンベルを構える
②肘を伸ばしたまま、肩甲骨を開きながらダンベルを頭の後ろに下ろす
③肩甲骨を寄せながら、肘を伸ばしたままでダンベルを元の位置まで上げていく
④ダンベルを上げたら、肘を外に張り出し肩甲骨を寄せきって背筋群を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
動作の最後に肩甲骨を寄せて背筋群を収縮させることが大切で、そのためには肘を外に張り出すようなテンションをかけます
◆初心者の方へのアドバイス
効きにくい場合は、肘を外側に開くようなテンションをかけて行ってみてください。
デクラインダンベルローイング
デクラインベンチを使い、本来は「腕から腕を引く」ことが不可能なダンベルトレーニングで広背筋側部を鍛えられる方法がデクラインダンベルローイングです。やや特殊な筋トレですが、是非チャレンジしてみてください。
※10~15回を1セットの目安にしてください。
プッシュアップローイング
プッシュアップローイングは腕立て伏せにダンベルローイングを組み合わせた、背筋にも効果のある腕立て伏せです。
僧帽筋に効果的なダンベル筋トレ
僧帽筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:そうぼうきん
英語名称:trapezius muscle
部位詳細:上部|中部|下部
起始:後頭骨上項線・外後頭隆起・頚椎棘突起|第7頚椎・第1~3胸椎棘突起|第4~12胸椎棘突起
停止:肩甲棘・肩峰
ダンベルシュラッグ
僧帽筋を集中的に鍛えることのできるダンベル筋トレ種目がダンベルショルダーシュラッグです。しっかりと肩甲骨を寄せて僧帽筋を最大収縮させてください。
※10~15回を1セットの目安にしてください。
◆ダンベルショルダーシュラッグのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばして立ち、肘を伸ばし腕を下ろした位置でダンベルを持って構える
②肘を伸ばしたまま肩甲骨を引き寄せてダンベルを引き上げていく
③肩甲骨を引き寄せたら、顎をやや上げて僧帽筋を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
肩関節や肘関節を動かしてしまうと、僧帽筋から負荷が逃げてしまいますので肩甲骨を寄せる動作だけに集中して行ってください。
脊柱起立筋に効果的なダンベル筋トレ
長背筋群・脊柱起立筋の英語名称・構造・部位詳細
読みかた:せきちゅうきりつきん
英語名称:erector spinae muscle
部位詳細:腸肋筋|最長筋|棘筋
長背筋群=脊柱起立筋+多裂筋+回旋筋など
ダンベルグッドモーニング
長背筋群を総合的に鍛えることのできるダンベルトレーニングがダンベルグッドモーニングです。反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので、ゆっくりとしっかりと効かせるようにしてください。
※20回を1セットの目安にしてください。
◆ダンベルグッドモーニングのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばし、ダンベルを保持して構える
②背中を丸めないように気をつけ、ダンベルを置くような動作で、上半身を倒していく
③上半身を倒したら、ゆっくりと効かせながら元に戻る
◆ワンポイントアドバイス
背中が丸くなると腰を痛めるリスクがありますので、前を見て背すじを伸ばした状態を保ってください。
◆初心者の方へのアドバイス
顎を引くと背中が丸まり効果が半減します。前を向くくらいの意識で行ってください。
ダンベルバックエクステンション
長背筋群を手軽に自宅でも鍛えられるのがダンベルバックエクステンションです。反動は使わないように気をつけてください。
※20回を1セットの目安にしてください。
筋肉の名称と作用
身体を鍛えていく上で、まず理解したいのが全身の主な筋肉の名称と作用です。それぞれの筋肉の役割を知ることで、効率のよいトレーニングを行うことが可能になります。
▼筋肉名称デジタル図鑑
【筋肉名称デジタル図鑑】各部位の名前・作用・筋トレ方法(鍛え方)
身体を鍛えたら食事にも気を使う
筋トレの効果を高める食事や栄養の知識がなければ、いくらトレーニングだけを頑張っても大きな効果は得られません。下記の記事では、三大栄養素に関する基礎知識から、筋トレ目的別の食事メニューの基本理論、具体的な食品食材、実際の筋肥大期と減量期の食事レシピを解説・ご紹介しています。
▼筋トレの効果を高める食事