女性がジムで行うバストアップ筋トレについて、ミスボディーフィットネストップ選手のMIKIKO様に客員執筆いただきました。
チェストプレスマシンやチェストフライマシンのほか、各種のベンチプレスバリエーション、ダンベル種目についても解説していただいてます。
※写真:MIKIKO様ご本人
バストアップ筋トレの考え方
筋トレ=ダイエットではない場合もある
どうしても女性は「筋トレ」=「ダイエット」と直結しがちですが、バストアップ筋トレに関してはこの考えは間違いになります。
バストを形成する主な組織は脂肪組織ですので、ダイエットをすると脂肪量が減少し、必然的にボリュームダウンにつながります。
ですので、筋トレをしながらほんの少し体重を増やすくらいの気持ちで取り組んでください。
もちろん、ただ体重を増やすだけでもバストボリュームは上がりますが、それでは下垂してしまいますので、大胸筋をトレーニングしてリフトアップを行うのが正しいメソッドです。
あえて体重をほんの少し(数キログラム)増やし、なおかつウエストラインやヒップアップなどのボディーメイキングを行うのが、凹凸のある身体つくりには最効率です。
大胸筋と小胸筋の構造
大胸筋は上部・下部・内側に分かれ小胸筋は全体をリフトする
バストの土台となる胸部前面には、表層に位置する大きな筋肉である大胸筋とその補助筋で深層インナーマッスルである小胸筋とがあります。
大胸筋は上部・下部・内側に分けられ、その作用は以下の通りです。
大胸筋上部:腕を斜め前に押し出す
大胸筋下部:腕を斜め下に押し出す
大胸筋内側:腕を前で閉じる
小胸筋:大胸筋を補助する
寄せて(内側)上げて(上部)ボリュームアップ(下部)と全体リフト(小胸筋)
また、大胸筋の各部位と小胸筋の、女性のバストアップに関する具体的な働きは以下のようになります。
大胸筋上部:全体を上に持ち上げる
大胸筋内側:全体を中央に寄せる
大胸筋下部:全体をボリュームアップさせる
小胸筋:全体をリフトアップする
これらのことを踏まえた上で、どの種目にどのうような効果があるのかを把握したうえで実際のトレーニングを行うと、個人の特性に合わせたトレーニングプログラムが組め、とても効率的です。
バストアップ筋トレの重さの設定
バストアップの場合は速筋繊維をターゲットにする
筋肉を構成する筋繊維には、主に三種類があり、その名称とトレーニングでの負荷回数設定は以下の通りです。
①遅筋:筋繊維タイプⅠ:SO筋|20回以上の反復
②速筋:筋繊維タイプⅡb:FG筋|10回前後の反復
③速筋:筋繊維タイプⅡa:FO筋|15回前後の反復
①の遅筋は、持久的な動作に使われる筋繊維で、具体的には1分以上の継続操作に使われます。遅い動き(Slow)を酸素(Oxgen)をエネルギー源として行うためSO筋とも呼ばれます。鍛えても筋肥大せず、引き締まっていく特性がありますので、バストアップ筋トレのターゲットではありません。
②の速筋タイプⅡbは、瞬発的な動作に使われる筋繊維で、具体的には10秒前後の動作に使われます。速い動き(Fast)をグリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源として行うためFG筋とも呼ばれています。鍛えると非常に強く筋肥大し、ボディービルダーなどがターゲットにする筋繊維です。これも、ムキムキになりたくない女性にとってはターゲットではありません。
③の速筋タイプⅡaは、やや瞬発的で持久的でもある動作に使われる筋繊維で、具体的には30~60秒程度の動作に使われます。速い動き(Fast)を(Oxgen)をエネルギー源として行うためFO筋とも呼ばれています。鍛えると程よく筋肥大し、男性の細マッチョトレーニングなどで鍛える筋繊維でもあり、女性のバストアップ筋トレでターゲットにするべき筋繊維です。
バストアップは15回で限界がくる重さに重さをセット
以上のことから、女性のバストアップ筋トレは速筋タイプⅡaをターゲットにするのが最適ですが、そのためには15回の反復回数で限界がくる重さの設定が理想的です。
まずはアップとしての小胸筋トレーニング
合掌アイソメトリックスと部分プッシュアップ
まずは、トレーニングのアップ運動として合掌ポーズを行います。胸の前で両手を合わせ、少しずつ力を加えながら大胸筋を刺激していきます。
このようなトレーニング方法をアイソメトリック筋トレ(静的トレーニング)といい、本格的な筋トレ前に行うことで、対象となる筋肉を効率的に刺激できる環境にします。
1セット30秒を目安に2~3セット行ってください。
基礎知識の解説が終わったところで、ここからはミスボディーフィットネストップ選手のMIKIKO様に、具体的なジムでのバストアップ筋トレに関して解説していただきます。
【MIKIKO様執筆ここから】
※写真:ご本人
バストアップの基本マシン筋トレ
チェストプレスマシン(大胸筋全体)
どのマシンにも共通して言えることですが、まずはじめにマシンの位置調整をしましょう。ジムにあるマシンは外国製であることが多いので、座面の高さ・可動域・背もたれの角度など、わからない時はジムスタッフさんに聞いてみて、マシンをジャストフィットさせることが大切です。
まずイスに座ったら前方の握り手を握り、肩甲骨を少し寄せ気味にして胸を張ります。この時握った手がバストトップの高さぐらいにあるように座面を調整して下さい。
背中の緊張を保ったまま手を前に押し出します。手を伸ばした時に、肩が一緒に動かないように、首がすくまないように注意します。ここがバストトレーニングの大切なポイントです。
次に押し出した手をゆっくり戻してきます。大胸筋の解剖図を思い描きながら、ストレッチがかかっているのを感じることが大切です。
息を吐きながら押し出す、吸いながら戻すを繰り返します。
リフトアップの大胸筋上部マシン種目
インクラインチェストプレス(大胸筋上部)
インクラインチェストプレスは、デコルテのボリューム不足でお悩みの方におすすめです。
鎖骨の下?胸の上部に効きますが、基本はチェストプレスマシンの項と同じですが、このマシンはイスに角度がついているので、斜め上に押し出す形になります。
肩甲骨を寄せ気味にし、肩をすくめないように注意して繰り返してみましょう。
スミスマシンベンチプレス(大胸筋全体)
いきなりバーベルベンチプレスは不安だな…と感じる方はまずスミスマシンで基本フォームの練習から始めるといいと思います。真上からのし掛かる重りをしっかり受け止めて、それを押し戻す感覚に慣れましょう!
まずセーフティーバーを最適な場所にセットさえすれば、女性でも一人で不安なく練習できますよ。
安全の確保ができたらベンチ台に仰向けになり、シャフトを見つめましょう。シャフトには81cm幅のところに印が刻まれています。この辺りを握ったらバストトップまでスーッとシャフトを降ろし、また押し戻します。
シャフトを下ろした時、肘の角度がおよそ90℃になるように手幅を調整しましょう。
バストを寄せる大胸筋内側マシン種目
チェストフライマシン(大胸筋内側)
チェストフライマシンを行うときは、まずイスの高さの調整を忘れずに行ってください。
動作中、肘が肩より少し下にくるぐらいのイスの高さがベストです。
次にしっかり肩甲骨を寄せ、肩をすくめないようにして、胸を張ります。息を吸ったら、フーッと吐きながら両手を前方で合わせましょう。ここでしっかり右と左の手が当たるまで合わせる事がポイントです!
デコルテ中央にうっすら走る谷間を作る為です(私は心の中で「だっちゅ?の!」とつぶやきながら行ってます)。
疲れてくると、肩甲骨の寄せが甘くなってきますので(だんだん背中の意識が抜けてくる)気をつけて下さい。
ケーブルフライ(大胸筋内側)
ケーブルフライは運動経験のない方や、ちょっと体幹弱いかも…という方は難しいかもしれませんが、ジムでのトレーニングに慣れてきたらチャレンジしてみましょう。
ケーブルの重さに引っ張られてバランスを崩したり、力を抜きすぎてストレッチがかかり過ぎないように注意が必要です。
かといって、軽すぎるとケーブルマシンの良さが得られないので、重さの設定が大切です。
息を吸いながら胸を思いっきり膨らませ、フーッと吐きながら体の中心線前方で手のひらを合わせる感じです(肘は少し曲げ気味で)。
両手が合わさったところで心の中で「だっちゅ?の」と唱えながら最後の一押しをしてみて下さい。
バストアップの基本バーベル筋トレ
バーベルベンチプレス(大胸筋全体)
写真:ベンチプレス大会でのご本人
「ビッグ3」と呼ばれるトレーニングの基本種目の一つで、私は女性らしい立体的な曲線美を作るためにはもってこいのトレーニングだと思っています。
スミスマシンでベンチプレスのおおよその感じを掴めたら、ぜひバーベルベンチプレスに挑戦することをおすすめいたします。
「胸」だけでなく、全身を使って重量を挙げる爽快感と達成感を味わってみて下さい!
まず初めにすることは、セーフティーバーのセットです。わからない場合はスタッフさんに聞きましょう。
あとはスミスマシンベンチプレスの項を参照にして手幅を決めます。
では次にアーチを作ってみましょう。体全体で重りを受け止め、挙げるためです。アーチを作る手順は人それぞれですが、私の場合はベンチに横たわる→手を頭の方にまわしベンチ台の角を掴む→足裏はベンチ台の上に置く→お尻とお腹を天井に向け思いっきり突き上げる→背中のアーチが潰れないようにそーっとお尻だけベンチにつける→足裏を床につける→バーベルを握り肩甲骨を寄せて横のアーチをつくる→完了です。
縦と横、背中に十字架のアーチをイメージしています。
次に大きく息を吸って胸を膨らませ、胸を張ったまま、ラックから外してバストトップの真上辺りで一時停止、そこから真っ直ぐ下にシャフトを下ろしてきましょう。慣れないうちは下ろす軌道が安定せず頭側や、お腹側にフラつくことがありますが、繰り返すうちに安定してきます。
ここで大切なポイントがあります。
腕だけでバーベルを押し上げないことが大切
挙げる時に、アーチが潰れて腕だけ伸ばさないようにしましょう。肩甲骨を寄せて押し下げ、胸を張ったままプレス動作をすることが大切です。プレス時に肩の後ろがベンチから離れると、肩の痛みの原因になってしまいます。(画像参照)
シャフトだけの重量=20kgが安定したフォームで続けて挙げられるようになったら、少しずつプレートを増やしていくことに挑戦してみましょう!
扱える重さが少しずつ増えるごとに、ふっくらと変化していく自分のデコルテに出会えるかもしれませんね。
リフトアップの大胸筋上部バーベル筋トレ
インクラインバーベルベンチプレス(大胸筋上部)
鎖骨の下からふっくら盛り上がるバストを目指すならインクラインベンチプレスをやってみましょう。背もたれに角度がついているのがインクラインベンチです(30?45度くらい)。
背中の十字架アーチの作り方はベンチプレスの場合と同じです。足裏をしっかり床につけて踏ん張り、手幅はフラットベンチの時より少し狭めて調整します。
そしてフラット(普通のベンチプレス)の時はバストトップに下ろして真上に挙げる…でしたが、インクラインの場合は鎖骨下あたりに下ろし(鎖骨にぶつけないように)挙げます。
まずはシャフトだけで練習して、慣れたら少しずつプレートを増やしていきましょう!
バストの土台を広げる種目
ダンベルプルオーバー(胸郭)
ダンベルプルオーバーを行うようになってから、少しずつ胸郭が広がり、よりたくさん息が吸えるようになり、胸の厚み(立体感)が増したなと感じた種目です。
胸に強烈な縦方向のストレッチがかかります。まずは軽めのダンベルで挑戦してみましょう。
私は反り腰気味なので、腰の負担を減らす為フラットベンチに対し直角に横になります。肩甲骨の下(ブラのベルトあたり)でベンチにもたれ天井をむきます。
脚は肩幅くらいで踏ん張って下さい。ダンベルは握らずにバレーボールのトスをするように両手の平を上に向け、人差し指と親指で囲んだ三角部分を小さくしてダンベルシャフトを挟み手の平に乗せる感じになります。
ダンベルは胸の上に差し上げ、肘を少し曲げ気味にし、息を吸いながらゆっくりと顔の上空を通過してそのまま頭の後ろまでバンザイする感じです。脇腹?脇の下がどんどん伸ばされた、行き過ぎたバンザイのイメージです。
胸が縦に充分伸ばされるのを感じたら、ゆっくりと戻して下さい。
ディップス(大胸筋下部)
ディップスは女性には少し難易度が高い種目かもしれません。自重でもなかなかキツいと思います。
しかし強烈なストレッチがかかり、この種目をやるようにってから、胸のトレーニングの他の種目の重量も伸びました。
基本のトレーニングに慣れてきて、ベンチプレスで自分の体重くらいの重さが挙げられる位の、ある程度の筋力がついてきたら挑戦してみて下さい!
トレーニング動作自体は非常にシンプルです。ディップスタンド(もしくは平行棒)を利用します。
スタンドを掴み、腕を伸ばし体重を支えます。上半身を少し前傾気味にし、ゆっくり息を吸いながら肘を曲げ、大胸筋のストレッチを感じながら下ろしていき(肘90度くらい)、反動をつけずにゆっくり肘を伸ばしていきます。
大胸筋の拮抗筋トレーニングも大事
背筋群を鍛える重要性
胸のトレーニングの成果は、どれだけ肩甲骨の動きを制御できるか→胸を張ったまま動作を行えるか?にかかっているといっても過言ではありません。
肩甲骨を寄せ下げる姿勢を維持できるだけの背中の筋力が必要です。
ベンチプレスを始めたばかりの頃は、ジム以外でもしょっちゅう肩甲骨を寄せ下げる筋肉を動かす練習をしていました。
両手を前に出し肘をのばし、目の前にバーベルがあると想定して、卵を握るように軽くエアバーベルを包み込みます。肘を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せ下げてみましょう。ブラの背中のホックを手を使わずに外すようなイメージで思いっきり寄せてみて下さい。これを何度か繰り返します。
胸と背中の筋肉はセットで動きます。肩甲骨を寄せると胸は広がり、胸を縮めると背中側の肩甲骨は広がります。
【MIKIKO様執筆ここまで】
【戦績】
・H25ミス21健康美オーバーオール優勝
・H26 オールジャパンミスボディフィットネス 163cm以下級 第3位など
・H26 近畿クラシックベンチプレス 女子52kg級 第1位
・H28 京都府クラシックパワーリフティング 女子52kg級 第1位
・H29 女子関西フィージーク 優勝
・H29 日本グアム親善ボディビル・フィットネス選手権 ボディフィットネスオーバーオール優勝
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