今や幻!?絶品の二枚貝、マテ貝
西日本を中心に食用として流通している二枚貝の一種「マテ貝」。かつては国内中の干潟でごく普通に見られていましたが、現在その生息数は激減。そのため、「名前は知っているが、売られているのは見たことがない」という方も多いのではないでしょうか?今回は、九州のスーパーで実際に入手した生のマテ貝を調理して食していきたいと思います。
その他、マテ貝の歴史や栄養価等についても詳しくご紹介。二枚貝と言えば、アサリ・シジミ・ハマグリなどを思い浮かべますが、果たしてマテ貝の味とは?そしてその面白い捕獲方法とは?皆様も是非一度ご賞味あれ。
※本記事は所属選手の実際の食レポです。
「マテ貝」とは?
アサリ・カキ・ホタテ等と同じく二枚貝の仲間。塩を利用したユニークな捕獲方法は有名
特徴的な外見の二枚貝。その面白い捕獲方法とは?
「マテ貝」とは、マルスダレガイ目・マテガイ科・マテガイ属に属する生物の総称です。アカマテガイやオオマテガイなど複数種が存在していますが、多くは単に「マテ貝」という名で扱われています。砂の中(数十cm~1m)に生息しており、そこから水管だけを露出させ水中のプランクトン補食しています。成貝の殻長は約10cm程、殻は薄く、非常に脆くなっています。
潮干狩りでも有名な貝の一種であるマテ貝ですが、干潮時の彼らは砂深くに潜ってしまっています。これを一体どうやって捕獲するのか…意外にも、どこのご家庭にもある有名なあの調味料が大活躍してくれるのです。その調味料とは、なんと「塩」!
マテ貝は、塩分濃度の変化に非常に敏感に反応します。そのため、干潮時に現れる彼らの巣穴に塩を一振りすると…驚いたマテ貝が飛び出してくるのです。これを優しい掴み上げれば、捕獲完了です。他の貝類の潮干狩りにはない面白みがありますね。
「マテ貝」の栄養価とその歴史
肝臓に嬉しい成分が豊富!今や幻となった漁「マテ突き漁」とは?
冬から春にかけ旬を迎えるマテ貝。しかし市場での流通量は年々減少しており、現在そのほとんどは産地で消費されています。そう、ほぼ地産地消状態。このため、スーパーで売られている状態を目にする…というのは、かなり稀になっています。
このマテ貝には高血圧の予防や肝機能を高める効果があるタウリンの他、動脈硬化・肝硬変・糖尿病などを予防する働きがあるアミノ酸の一種ベタインや、味覚を正常に保ったり代謝を活発にする効果がある亜鉛なども豊富に含まれています。これらの栄養素はマテ貝をはじめ、多くの貝類が含有しています。どうせなら美味しく摂取したいものですね。
タウリンやベタインなど、肝臓に嬉しい成分が豊富!
日本で古くから食されいるマテ貝。かつては薬として扱われていたこともあるようですね。マテ貝は砂深くに生息しているため、矢形の金棒を穴に入れて獲る独特な漁法「マテ突き漁」が古くは主流となっていました。しかし、乱獲や環境汚染などによりマテ貝の漁獲量は年々減少していきます。
結果、マテ貝と共にこのマテ突き漁も少しずつその姿を消してしまいました。
ちなみにこの「マテ貝」という名前の由来ですが、主に二つの説が有力だとされているようです。一つ目は、「マテ(真手)」からきているという説。この真手とは「両手」という意味を持っており、マテ貝の両端から水管と足が出ている状態が両手のように見えたためだと言われています。
そして二つ目は、中国の「馬刀(マータオ)」という刀に酷似しているためという説。マータオ…マーテオ…マーテ…マテ、ガイ?やや無理があるようにも感じますが、こうして名前が徐々に変化して今の形になったというものは結構多く存在しているため、可能性は大いに高いでしょうね。
「マテ貝」料理の実食レポート
二枚貝独自の旨味!塩焼きや酒蒸し、バターソテー、味噌汁におすすめ
さてそれでは実際に、入手したマテ貝を塩焼きと酒蒸しにして食べていきたいと思います。スーパーではあまり見かけないマテ貝。潮干狩りで入手するほうが確実かもしれませんね。
その特徴的な外見から、「下ごしらえが難しいのでは?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、そんなことはありません!調理は非常に楽な上、身自体に苦味もないためとても食べやすい貝なのです。是非チャレンジしてみて下さい。
軽く洗えば下ごしらえ終了!
まずはじめに、貝同士を手で擦り合わせながら軽く洗います。そう、これでほぼ下ごしらえは終了!どうしても貝特有の臭みが気になるという方は酒と塩を加えたお湯でさっと下茹でするという手もありますが、そこまでするほど気にはなりません。気になる場合は是非試してみて下さい。また砂はほとんど混入していないため、砂抜きをする必要もありません。嬉しい限りですね。
さて、このまま軽く網やグリル、フライパン等で焼いて塩を一振りすれば…塩焼きの完成です。早いでしょう?殻は非常に薄く脆いため、貝を開く際にはご注意下さい。
加熱することにより、身に程よい弾力が!
続いては酒蒸しです。これも非常に簡単で、焼きよりも身がぷりぷりと仕上がりますので個人的にはこちらのほうが好きですね。フライパンにマテ貝を投入後、酒を加え、蓋をして数分間蒸せば完成です。お好みで塩や醤油を加えて下さい。バターと醤油を加えても美味ですね!
蒸せば身はぷりっぷり!加熱しすぎないように注意しましょう
なお、長時間蒸すと身が小さくなりすぎてしまう場合があります。歯応えは出ますがどうしてもぷりぷり感は無くなってしまいますので、お好みで時間は調整するようにしましょう。
気になるそのお味は?
苦味も無く食べやすい!身は大きく、過熱すると程よい食感に
それでは実際に食べてみます。見た目は少し独特なマテ貝…人によっては若干食べるのに躊躇するかもしれません。アサリやハマグリなどのような日頃目にする二枚貝とは形が全く違いますから。気になるお味はいかに。
苦みは全くなく、とても食べやすい!
では一口…なんと、全く苦みがない!貝類といえば、どうしてもその内臓などに苦みをもっています。この苦みがどうしてもだめで貝が食べられない…という方も多いのではないでしょうか?しかし、このマテ貝にはその苦みがほとんどありません!身の弾力も程よく、そして大振り。ボリューム満点です。
酒蒸しにすると、身がぷりっぷり!
さてお次は酒蒸しです。これはすごくいい!焼くよりも水分が保持されているためか、身がぷりっぷり!歯ごたえもありながらぷりっぷりです!バター醤油で味付けしてもさぞ合う事でしょう。貝嫌いの方にも是非一度試してみて頂きたいです。